第12回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞の贈賞式が昨日3月31日に東京都内で行われた。
受賞作に選ばれたのは、昨年8・9月に上演されたイキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」。「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」は、小泉八雲原作のオムニバス作品として、2009年に東京・シアタートラムにて初演された。劇中では古びた旅館を舞台に、ある事件を追ってきた男たちとそこで出会った人々によって語られる物語が展開。昨年8・9月に上演されたのは、そのリメイク版となる。なお本作は第32回読売演劇大賞で優秀作品賞を獲得。また本作の演出が評価され、同アワードにて脚本・演出の
贈賞式には前川をはじめ、出演者の
既報の通り、5・6月の
その後、壇上に出演者も登場してあいさつした。浜田は、本作のテーマが怪談や読書と深く関連していることを挙げて「僕らも、日本の夏の文化を豊かにしてくれるものの一助になれたらとてもうれしい」と笑顔。安井は「恥ずかしながら少し前まで『悲劇喜劇』賞のことを知りませんでしたが、もらえるものはもらっておこうと」と切り出して笑いを誘い、「我々は劇団活動を完全に休むわけではなく、新しい方向を目指します。ここから試練が続くと思いますが、まずは今年の公演をぶっかまし、それからいろいろ考えたいと思います。温かく見守ってもらえたら」とスピーチした。
盛は「お客様と自分たちが面白いと思うものを作りたいと思って劇団を続けてきた。受賞できて本当にうれしい」と顔をほころばせる。森下は「『悲劇喜劇』は、国内外の幅広い作品を紹介してくれていて、俳優の僕らにとっても大切な雑誌。受賞できてありがたい」と喜びを口にした。
大窪が緊張した表情で「劇団は過去にも賞をいただいていますが、自分が壇上に立つところは想像がつかなかった。今の気持ちは幸せであり、地獄。俳優は台本がないと何もできないなって……」と率直に打ち明けると、安井が「そんなことないだろ!?」とツッコミを入れ、登壇者を和ませる。さらに大窪は「身内を褒めるのもどうかと思いますが(笑)、前川さんの作品はやはり素晴らしい。自分は恵まれていると感じます」とコメントした。
客演の松岡は「暑かった昨年の夏、着物の所作を練習しながらみんなで舞台を作りました。賞もいただくことができ、この作品は私の演劇人生の宝物になりました」と笑顔。イキウメの作品を観劇してきたという客演の生越は「『こんなことがあるんだ』と私もうれしい。イキウメの皆さん、これからもがんばってください!」と劇団の面々にエールを送る。さらに客演の平井は「緊張しすぎて不整脈が出ている」と明かして会場を笑いで包み、「この作品に参加した記憶が、今後しんどいときに自分を助けてくれると思います。私も、これからもがんばります!」と瞳を輝かせた。
早川書房と公益財団法人早川清文学振興財団が主催する「悲劇喜劇」賞は、選考委員と批評・評論家の劇評意欲を最も奮い立たせる演劇作品を顕彰することを目的とした賞。第12回の選考会は有吉玉青、辻原登、濱田元子、矢野誠一により行われ、受賞作には正賞として雑誌「悲劇喜劇」にちなんだ賞牌、副賞100万円が贈られた。詳しい選考過程の採録、各選考委員が推薦する作品の劇評は、4月7日発売の「悲劇喜劇」5月号(早川書房)に掲載される。
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小泉八雲記念館 @hearnmuseum
「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」
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