阿久津仁愛ら“N学年”の生徒が悩み、迷い、全力で向き合う…「しばしとてこそ」劇場に誕生

1

81

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 27 53
  • 1 シェア

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」が、本日2月21日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕する。これに先駆け、昨日20日に公開ゲネプロが行われた。なお、本記事には舞台写真を掲載しているため、未見の読者は注意してほしい。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

大きなサイズで見る(全11件)

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

「しばしとてこそ」は、ヨーロッパ企画の大歳倫弘が作劇、小沢道成が演出・美術を担う新作公演。“卒業するタイミングは自由に自分で決めることができる世界”を舞台に、3年で卒業せずに“N学年”へ進学した高校生たちの姿が描かれる。“N学年”の生徒役を阿久津仁愛押田岳坪倉康晴小島梨里杏富山えり子中川晴樹池津祥子大鷹明良が演じ、“N学年”の担任教師・スズキ役を安西慎太郎が務める。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

会場の中央には高床式の四角いステージが設置され、ステージの上には、物語の軸となる仲良し3人組のダイチ(阿久津)、ミツル(押田)、タクロウ(坪倉)が使用する3脚のイスが置かれている。3人を含む生徒役のキャストはそれぞれ、ギターをモチーフにしたイスや引き出しが設置されたイス、ボールが収納されたイスなど、キャラクターの個性に合わせたイスを持ち運びながら演技を行う。また、ステージ下のゾーンがアクティングエリアになっているのも、本作の特徴の1つだ。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

まずは、高校3年時にバンドを結成した仲良し3人組が、悩みながらも“N学年”に進学することを決めるシーンからスタート。制服の着こなしにも特色があり、純朴で、損な役回りを引き受けることが多いダイチは、ネクタイはしっかりと締めているものの、シャツは少し着崩している。目立ちたがり屋のミツルは、派手な柄のシャツをブレザーの中に着込み、おっとりとしていて心優しいタクロウはベージュのベストを着用している。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

続いて、“N学年”の日常が描かれるシーンへ。これまでなんとかバランスを保ってきた仲良し3人組の関係性に対して、長い期間“N学年”に所属しているとおぼしきワタナベ(中川)、セワ(池津)、最年長のアサオカ(大鷹)がおせっかいを焼き、どんどん首を突っ込んでいく。“N学年”の中でも比較的しっかり者のユメ(富山)が彼らのやり取りに乗っかると、あまりのカオスさに会場から笑い声が上がった。そこに、自由奔放な生徒たちに振り回される担任教師・スズキ(安西)が加わり、“N学年”の教室はさらににぎやかさを増す。一方、周囲との馴れ合いを好まない孤高な生徒・チヒロ(小島)は、ワイワイと楽しそうに文化祭の準備する生徒たちを、複雑な表情で眺めていた。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。

MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」公開ゲネプロより。[拡大]

本作では、仲良し3人組だけでなく、それぞれのキャラクターにスポットが当たる形で、終始軽快なテンポで青春群像劇が展開していく。物語が進むにつれて、“青春とは何か”“自由とは何か”というテーマが浮き彫りになり、チヒロがなぜ“N学年”の生徒たちと距離を置いているのか、ダイチがバンドメンバー2人に抱える思いなどが次第に明らかになっていく。

作劇を手がけた大歳は、開幕に際し、「役者さん達と、小沢さんの試行錯誤と積み重ねに感謝しかありません! 面白いです。ぜひ、みなさんもご覧いただき、眠っていた思い出と向き合ってください!」とコメント。演出・美術を担った小沢は「9人の役者さんたちが見事に面白く愉快に、真面目に、すごく心を震わせてやっていただいているので、稽古場としてもとても楽しかったです。そして、大歳さんが書いたこの世界をスタッフチームの方がさらにさらに広げてくださいまして、やっと劇場に誕生しました。後はお客様が来ていただけるのみとなっております。ぜひ、お時間がある方はお越しくださいませ」と観客にメッセージを送る。

阿久津は「楽しみながらもたくさん悩み、迷い、全力で向き合ってきました。劇場の雰囲気もとても素敵で、小道具や照明、音楽も魅力的なので、ワクワクしています! 皆さんにこの作品をお届けできることが、本当に楽しみです」と心境を語った。

上演時間は約1時間40分。公演は3月2日まで。

ステージナタリーでは現在、「しばしとてこそ」の特集を展開中。特集には、稽古レポートのほか、クリエイター・キャストのコメントを掲載している。

大歳倫弘コメント

学生時代、友人から「卒業を意識し始めたときに、時間は形を変える」と教えてもらいました。その言葉は当時、学生たちの心を鷲掴みにしていた詩人、326さんの詩のほぼ丸パクリだった、と後ほど判明しますが、聞いたときには「おおっ!」と思ったのでした。舞台のリハーサルを見ていると、そんな細かい学生時代の思い出が次から次へと思い出されていきます。見ると眠っていた学生時代の思い出がどんどんと浮かび上がってくるような舞台になればいいね!と小沢さんと話していたので「うわ、本当にそうなってる!」と驚いています。しかも、それは一度だけじゃなく、見るたびにまた別の思い出が浮かんでくるのですから、本当にどうなっているのでしょうか。

ともかく役者さん達と、小沢さんの試行錯誤と積み重ねに感謝しかありません! 面白いです。ぜひ、みなさんもご覧いただき、眠っていた思い出と向き合ってください!

小沢道成コメント

この作品は、卒業するタイミングは自由に自分で決めることができるという世界軸を元に大歳さんが書いてくださいまして、それを全員で稽古をしてきて、実に愉快な楽しいお芝居になりました。

今回の舞台美術は、対面舞台になっております。どこから観るも自由です。

2回観てもらうもよし、バルコニー席から観てもらうもよし、様々な楽しみ方ができると思っております。

僕は、人間のもつエネルギーというものを常に大事にしていて、9人の役者さんたちが見事に面白く愉快に、真面目に、すごく心を震わせてやっていただいているので、稽古場としてもとても楽しかったです。

そして、大歳さんが書いたこの世界をスタッフチームの方がさらにさらに広げてくださいまして、やっと劇場に誕生しました。後はお客様が来ていただけるのみとなっております。

ぜひ、お時間がある方はお越しくださいませ。

阿久津仁愛コメント

ついに初日を迎えますね!稽古期間があっという間に過ぎ去っていったような感覚です。楽しみながらもたくさん悩み、迷い、全力で向き合ってきました。劇場の雰囲気もとても素敵で、小道具や照明、音楽も魅力的なので、ワクワクしています! 皆さんにこの作品をお届けできることが、本当に楽しみです。2面のステージは、見る場所によって違った印象になると思うので、そこも楽しみながらご覧いただけたら嬉しいです!

押田岳コメント

いよいよ公演が始まります。ここまで、スタッフキャスト一同愛情を持ってこの作品を育ててきました。皆様とこの作品を通して、時間を共有できることが楽しみです。ぜひぜひ楽しんでください。

坪倉康晴コメント

稽古の時からまるで本当の学生かのように全員で楽しみながら作品を創ってきました。平場のストレート舞台で芝居中はほぼ音楽もありません。役者の持てる力を全て発揮します! リアリティー溢れる作品となっていますので、きっと物語の中で共感できる人物やシーンがあると思います。4面にまっさらな舞台上だからこその楽しさを味わいながら、この演劇をタクロウとして千秋楽まで誠心誠意演じていきます! 最後まで宜しくお願いします!

小島梨里杏コメント

ようやく私たちの愉快で奇妙な学校生活が始まります。時間は有限です。そんな中でも、ここにいることを選択している彼女彼らは、何を考え、何に揺られて、何を掴もうとしているのでしょうか。本当の意味で笑える決断を、わたしもとっていきたい、時には大胆に、と感じています。 足を運んでくださる皆さまには、感謝しかありません。皆さまの大事な一歩を少しでもお手伝いできるよう、しかとチヒロを務めてまいります!

富山えり子コメント

“しばしとてこそ組”のスタッフ、キャストの皆さんと“クラスメイト”になれたこと、そして初日を迎えられることをとても嬉しく思います。学校に通うように毎日稽古場に通い、お稽古に励んできました。これから劇場でお客さまが、クラスメイトなのか、保護者なのか、はたまた観察者なのか、私たちや物語とどのような関わり方をしてくださるのかとても楽しみです。

中川晴樹コメント

1月14日から始まった稽古の日々。30年近く演劇をやってきましたが、「しばしとてこそ」の作品作りは、初心を思い出したり、新たな体験をしたりと、自分にとって、かけがえない時間となりました。皆様に観て頂ける事を嬉しく思います。

安西慎太郎コメント

まずは誰一人欠けることなく無事に開幕できる事が嬉しいです。この1カ月、演出の小沢道成さんの元、カンパニー全員で作品と役について懸命に考えてきました。今作はコメディではありますが非常に細かい感情が流れていてそれが連鎖しまくります。何だか分からないけど心が動きます。何だか笑えるし、何だか笑っちゃいけない気持ちにもなったりします。何だか懐かしい気持ちにもなるし、何だか不思議な気持ちにもなるし、でもやっぱり笑えたりもします。超自然体で油断しながら劇場へお越し下さい。「何だか分からない、何か」が貴方に寄り添ってくれると思います。劇場でお待ちしています。

池津祥子コメント

ここは様々な年代の高校生が決断のための準備期間を過ごすクラスです。私が演じるのはクラスメイトのお世話をせずにはいられない「セワ」さん。たくさんの荷物を持ち、情報を集め、走り回る生徒役です。日々若返るような気分で稽古を重ねました。いよいよ開幕です。皆様に甘苦い青春のひとときをお届けできれば嬉しいです。劇場でお待ちしております。

大鷹明良コメント

通し稽古を重ね、ブラッシュアップしてきたこの作品も、稽古終盤となりました。この時期、いつも悩ましいのは、まだまだ、足し算するか、そろそろ、引き算した方がいいのか、です。未知の相手役である「お客様」を迎えるまでが、稽古という名の準備。まぁ、結局、答えもないので、最後の最後まで、ジタバタするんでしょうね。いつものように。てな感じで、お客様に、楽しんでいただける様、キャスト、スタッフ、一丸となって励んでおります。皆様の、ご来場、お待ちしております。

関連する特集・インタビュー

この記事の画像(全11件)

読者の反応

  • 1

ステージナタリー @stage_natalie

【公演レポート】阿久津仁愛ら“N学年”の生徒が悩み、迷い、全力で向き合う…「しばしとてこそ」劇場に誕生(舞台写真 / コメントあり)
https://t.co/EjKdYboKV7

#大歳倫弘 #小沢道成 #阿久津仁愛 #押田岳 #坪倉康晴 #小島梨里杏 #富山えり子 #中川晴樹 #安西慎太郎 #池津祥子 #大鷹明良

コメントを読む(1件)

関連記事

阿久津仁愛のほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 MMJプロデュース公演「しばしとてこそ」 / 阿久津仁愛 / 大歳倫弘 / 小沢道成 / 押田岳 / 坪倉康晴 / 小島梨里杏 / 富山えり子 / 中川晴樹 / 安西慎太郎 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします