松竹創業百三十周年「壽 初春大歌舞伎」夜の部「二人椀久」に出演する
「二人椀久」は、これまで数々の名コンビを生んだ舞踊作品。作中では、大阪の豪商・椀屋久兵衛(通称椀久)が、恋焦がれる遊女・松山太夫の幻と出会い、舞い踊る姿が描かれる。椀久役を右近、松山役を壱太郎が勤める「二人椀久」は、2018年に右近の自主公演「第四回 研の會」で初披露された。このたび東京・歌舞伎座の正月公演として、約6年半ぶりに上演される。
右近は「『二人椀久』は、私のルーツである日本舞踊尾上流の代表作ですので、心してこの作品に取り掛かりたいと思います。これぞ『二人椀久』だというものをお届けして、正月の歌舞伎座に来て良かったと思ってもらえる作品にしたい」と意気込む。壱太郎は「自主公演の演目は大抵主催が決めるものですが、『第四回 研の會』で(右近は)何をやろうかと相談してくれたので、一緒に『二人椀久』に決めることができたと同時に、私たちが同じ熱量を持つことに気付いた。今後もケンケン(右近)と一緒にいろいろな作品をやっていきたいと思うきっかけになった作品」と振り返り、歌舞伎座公演に向けて「“究極に美しい舞台にする”というのが私の中のテーマです」と言葉に力を込めた。
記者から「2人はなぜそんなに仲が良いのか?」と問われると、右近は「お互い目標があり、熱量が同じ。目指す頂上は同じだけれど、道のりが違うということをわかり合っているので、依存はしていないはず(笑)。人間みんなこれくらいの距離感でいられたら、自分たちのように仲良くなれるのになあと。人間関係のモデルケースになるのが自分たちの使命かもしれませんね(笑)」とおちゃめに話す。壱太郎は「私は吾妻流の家に生まれ、ケンケンはの尾上流のルーツがある。初代尾上菊之丞がこの作品を作り、私の曽祖母である初代吾妻徳穂と踊っている。導かれていると思いますね。ただ、縁だけではなくて、私たちは根っからこの作品と踊りが大好き」と述べる。
壱太郎が「第四回 研の會」について「当時は夏でしたが(三代目尾上)菊之丞さんも熱く教えてくださり、汗をかきながら何度も何度も練習して。まさに青春の1ページでした」と回顧すると、右近も「『研の會』の千秋楽翌日に壱太郎さんが仕事で地方に行ったあと、空をふと見上げたらすごい晴天で。なんでこの空を壱太郎さんと一緒に見られないんだろうと思った」と当時を振り返る。右近は「2人とも歌舞伎座でやらせていただく機会が増える中で、より説得力のある作品にできれば。たくさんのものを背負いながら、楽しんでいる2人でいられたらと思います」と語った。
公演は来年1月2日から26日まで歌舞伎座にて。チケットの一般販売は12月14日10:00に開始される。
松竹創業百三十周年「壽 初春大歌舞伎」昼の部
2025年1月2日(木)〜26日(日)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
二、陰陽師〈大百足退治〉〈鉄輪〉
作:夢枕獏
二、陰陽師〈大百足退治〉
脚本:今井豊茂
二、陰陽師〈鉄輪〉
脚本:戸部和久
出演
一、寿曽我対面
曽我五郎時致:坂東巳之助
曽我十郎祐成:中村米吉
大磯の虎:坂東新悟
小林朝比奈:
鬼王新左衛門:市川中車
工藤左衛門祐経:中村芝翫
二、陰陽師〈大百足退治〉
藤原秀郷:尾上松緑
大蜈蚣の魂魄:坂東亀蔵
永薙姫:中村魁春
二、陰陽師〈鉄輪〉
安倍晴明:松本幸四郎
源博雅:中村勘九郎
徳子姫:
藤原兼家:市川門之助
蜜虫:市川高麗蔵
蘆屋道満:松本白鸚
三、恋飛脚大和往来 玩辞楼十二曲の内 封印切 新町井筒屋の場
亀屋忠兵衛:中村鴈治郎(2~14日) / 中村扇雀(15〜26日)
丹波屋八右衛門:中村扇雀(2~14日) / 中村鴈治郎(15〜26日)
傾城梅川:片岡孝太郎
槌屋治右衛門:中村東蔵
井筒屋おえん:中村魁春
松竹創業百三十周年「壽 初春大歌舞伎」夜の部
2025年1月2日(木)〜26日(日)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
三、大富豪同心 影武者 八巻卯之吉篇
原作:幡大介「大富豪同心」(双葉文庫)
脚本:戸部和久
演出:松本幸四郎
演出・振付:尾上菊之丞
出演
一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋
熊谷直実:尾上松緑
相模:中村萬壽
源義経:中村芝翫
堤軍次:坂東亀蔵
藤の方:中村雀右衛門
白毫弥陀六:中村歌六
二、二人椀久
椀屋久兵衛:尾上右近
松山太夫:中村壱太郎
三、大富豪同心 影武者 八巻卯之吉篇
八巻卯之吉 / 幸千代:中村隼人
美鈴:中村壱太郎
清少将:坂東巳之助
徳川家政:坂東新悟
銀八:尾上右近
真琴姫:中村米吉
本多出雲守:市川中車
荒海ノ三右衛門:松本幸四郎
三国屋徳右衛門:中村鴈治郎
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加美幸伸(Yukinobu KAMI) @kami_rock
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