「四国こんぴら歌舞伎大芝居」5年ぶりの開催に、松本幸四郎「春の琴平町に旅に行きませんか?」

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「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」制作発表記者会見が、本日2月20日に東京都内で行われた。

左から中村鴈治郎、松本幸四郎、中村雀右衛門。

左から中村鴈治郎、松本幸四郎、中村雀右衛門。

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1985年に初演された「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、1835年に建築された日本最古の本格的芝居小屋、香川・旧金毘羅大芝居(金丸座)にてたびたび行われている興行。2020年に予定されていた第36回が新型コロナウイルスの影響で中止になったため、「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が実施されるのは2019年以来のこと。2021年には耐震補強工事が行われたため、今回は“令和の大改修 杮落とし”と冠し行われる。

「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」制作発表記者会見より。

「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」制作発表記者会見より。[拡大]

制作発表記者会見には、出演者の松本幸四郎中村雀右衛門中村鴈治郎、そして金丸座が建つ琴平町の片岡英樹町長、金刀比羅宮の琴陵泰裕宮司、松竹の山根成之副社長・演劇本部長が出席。片岡町長は「長らくお待たせいたしました。琴平町にようやく春がやってきます。5年ぶりに復活、そして開催できることに感謝申し上げます」と言葉に思いをにじませる。琴陵宮司は「歌舞伎好きの町長さんに『一緒に記者会見に出ないか』と誘われてやってきた、歌舞伎大好きな宮司でございます(笑)。私は幼稚園に通っていた頃から、歌舞伎を観て育ってきました。5年ぶりに開催できることをありがたく思います」と、自己紹介を交えながら開催への喜びをあらわにした。

山根副社長・演劇本部長は「5年ぶりに金丸座で歌舞伎公演が打てることは、コロナ禍以降の興行において、最後の1ピースがハマったような気持ち。松竹としてもうれしい思い」と話し、上演演目と配役を紹介。第一部には、鴈治郎が雲助平作、幸四郎が呉服屋十兵衛を勤める「沼津」、雀右衛門と市川染五郎による「羽衣」、そして第二部には幸四郎が紅屋長兵衛、中村壱太郎が八百屋お七、鴈治郎が釜屋武兵衛、雀右衛門がお七母おたけを演じる「松竹梅湯島掛額」、そして雀右衛門、幸四郎、鴈治郎による舞踊「教草吉原雀」が披露されることを明かした。

松本幸四郎

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中止となった第36回は、“松本幸四郎改め二代目松本白鸚 市川染五郎改め十代目松本幸四郎襲名披露”と銘打たれ、幸四郎とその父・白鸚にとって、金丸座での襲名披露興行となる予定で、幸四郎、雀右衛門、鴈治郎もキャスティングされていた。幸四郎は、2020年に東京・歌舞伎座での「三月大歌舞伎」の「沼津」で、十兵衛を初役で勤めるはずだったが、その公演も新型コロナウイルスの影響で上演中止となったことに触れつつ「やっと、十兵衛をお客様に観ていただく日が来ました。私にとって『沼津』は、(中村)吉右衛門のおじに教えていただいた、特別な狂言」とコメント。また、1987年に開催された「第三回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」で、白鸚の十兵衛、十七代目中村勘三郎の平作で「沼津」が上演されていたことに「船で琴平町に行っていた時代です。ことあるごとに父からはその話を聞いていたので、今回、父と同じ十兵衛役で金丸座の舞台に立ったとき、自分がどのような気持ちになるのか、楽しみでもあり、緊張もしています」と語る。

幸四郎は、第二部について「お土砂(『松竹梅湯島掛額』)は、金丸座の舞台機構を生かし、この小屋ならではの楽しい時間にできれば。『教草吉原雀』にも出演するので、今回はたくさんの舞台で汗をかくことになりますが(笑)、こんなに楽しみなことはございません」とコメント。さらに「今回、ようやく『春の琴平町に旅に行きませんか?』と大きな声で言えることがうれしい。多くの方にご来場いただき、楽しんでいただければと思っております。我々は金丸座でお待ちしております」と笑顔を見せた。

中村雀右衛門

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雀右衛門は、中止となった第36回について「参加予定でしたので、(中止が)さみしいなあと思っておりました。今回の『四国こんぴら歌舞伎大芝居』の復活に、私も参加させていただけるとのこと、こんなにうれしいことはありません」と語り、「私が今回演じるお役は、私の父(四世中村雀右衛門)は何度も勤めた経験がございますが、私にとってはいずれも初役。3役とも一生懸命、精一杯勤めます」と述べる。また「羽衣」では、初めて宙乗りを披露する。このことに雀右衛門は「私自身、高いところは嫌いじゃないので、ワクワクしております。高いところでできるだけ暴れ、お客様に楽しんでいただけたら」とニヤリと笑った。

中村鴈治郎

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鴈治郎が「四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演するのは、2016年に自身の五代目鴈治郎の襲名披露として行われた第32回以来のこと。コロナ禍で、公演がすべて中止になったときのことを「こんなことがありえるのか、と衝撃でしたね」と、稽古すらできなかった日々を振り返り「(『四国こんぴら歌舞伎大芝居』で)再び、お客様が肩を寄せ合って、歌舞伎を観られる状況になったこと、そしてその光景を舞台上から見られることを心待ちにしています」と話す。また「琴平町に行けていない間も、商店街の方々と連絡は取っていましたが、『伺います』と“行く行く詐欺”をしてしまっていましたので(笑)、今回、やっと皆さんとお会いできることも楽しみです」と述べた。公演は4月5日から21日まで。チケットの一般販売は、2月24日10:00にスタート。

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令和の大改修 杮落とし「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」

2024年4月5日(金)~21日(日)
香川県 旧金毘羅大芝居(金丸座)

第一部

一、「伊賀越道中双六 沼津(ぬまづ)」

出演
雲助平作:中村鴈治郎
娘お米:中村壱太郎
荷持安兵衛:市川染五郎
池添孫八:中村亀鶴
呉服屋十兵衛:松本幸四郎

二、羽衣

出演
天女:中村雀右衛門
伯竜:市川染五郎

第二部

一、松竹梅湯島掛額

作:福森久助
出演
紅屋長兵衛:松本幸四郎
八百屋お七:中村壱太郎
小姓吉三郎:市川染五郎
長沼六郎:中村吉之丞
同宿了念:大谷廣太郎
月和上人:松本錦吾
若党十内:中村亀鶴
釜屋武兵衛:中村鴈治郎
お七母おたけ:中村雀右衛門

二、「教草吉原雀」

鳥売りの女実は雀の精:中村雀右衛門
鳥刺し実は鷹狩の侍:松本幸四郎
鳥売りの男実は雀の精:中村鴈治郎

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※初出時、作品タイトルに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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松竹演劇部 @shochiku_stage

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【会見レポート】「四国こんぴら歌舞伎大芝居」5年ぶりの開催に、松本幸四郎「春の琴平町に旅に行きませんか?」 https://t.co/fta2HWqSQv

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