中島京子「やさしい猫」を劇団民藝が舞台化、入管行政に翻弄される家族の愛と闘い描く

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劇団民藝「やさしい猫」が2月3日から11日まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される。

劇団民藝公演「やさしい猫」出演者。左から橋本潤、井上晶、森田咲子、船坂博子。

劇団民藝公演「やさしい猫」出演者。左から橋本潤、井上晶、森田咲子、船坂博子。

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「やさしい猫」は、「小さいおうち」「長いお別れ」などで知られる中島京子の小説。日本の入管行政に翻弄される家族の姿が描かれる同小説は、吉川英治文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、貧困ジャーナリズム特別賞を受賞し、昨年はNHKでテレビドラマ化された。劇団民藝では、同作を小池倫代の脚本で舞台化。演出を劇団民藝の丹野郁弓が担う。

シングルマザーのミユキは、スリランカ青年の恋人・クマラとずっと一緒に暮らすつもりでいた。しかしある日突然、在留資格手続きにおける理不尽な警察と出入国在留管理局の対応により、クマラは収監されてしまう。奔走するミユキに娘マヤと祖母も加わり、当たり前の幸せを求めて闘い始める。

出演者にはミユキ役の森田咲子、マヤ役の井上晶、クマラ役の橋本潤、ナオキ役の一之瀬朝登、マツコ役の船坂博子、恵耕一郎役の神敏将らが名を連ねた。森田は公演に向け「若い人たちを中心に先輩の力を借りながら、民藝の新しい可能性が見える舞台にしていきたいです」と意気込みを語った。

森田咲子コメント

スリランカ人のクマさんと一緒に暮らせることを願うシングルマザーのミユキを演じます。入管問題や裁判のことなど何も知らないまま、娘のマヤと2人で明るく生きてきたミユキ。愛するクマさんが収容され途方に暮れ苦しみます。しかし、理不尽なことには孤軍奮闘果敢に立ち向かっていきます。人間的な弱さも持っているけれど、必死に娘を育ててきた母親を目指して演じます。若い人たちを中心に先輩の力を借りながら、民藝の新しい可能性が見える舞台にしていきたいです。

井上晶コメント

2021年、民藝稽古場で上演されたKEIKOBA公演「破戒」に省子役で出演しましたが、東京公演では初舞台になります。愛するクマさんをとり戻そうと奮闘するミユキを応援する娘マヤを演じます。ミユキはシングルマザーですが、実は私も母子家庭で育ちました。ミユキとマヤの関係は母と私の関係とよく似ていて、母と子というより学校生活や恋愛相談等すべてを話せる友だちに近いです。初舞台でマヤ役を演じることに運命的な出会いを感じています。お母さん役の森田さんとも強い絆で結ばれるよう一所懸命演じたいと思います。

橋本潤コメント

「巨匠」ではドイツ人ゲシュタポを演じましたが、今回はスリランカ人のクマラ役を演じます。クマラは自動車整備士として働いていましたが、会社が倒産、しかもオーバーステイで収容されます。いまメディアでも報じられている入管問題を身近な問題としてみなさんに伝える重要な役どころだと思っています。ミユキさんとの出会いは東日本大震災の被災地でのボランティア活動。入管問題以外の社会的な事件や問題も抱えた舞台の世界を直接肌で感じようと、クマラの故郷ヒッカドゥワをはじめ作品に出てくる場所を巡り歩いています。

神敏将コメント

専門は労働問題、入管問題の凄腕弁護士、恵耕一郎を演じます。治療ミスで死んだペットのハムスターの賠償責任を問うた異例な裁判で見事に勝ち、「ハムスター先生」と呼ばれています。弁護士と聞くと知的でクールで近よりがたいイメージがありますが、「天然パーマ」で「アニメのキャラクターみたい」な風貌からも親しみやすい存在として描かれます。お金や名声を目的とせず、社会的弱者に真に寄り添う精神をもつプロの弁護士として、ミユキさん家族の幸せを共に勝ち取るために尽力したいです。

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劇団民藝「やさしい猫」

2024年2月3日(土)~11日(日・祝)
東京都 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

原作:中島京子「やさしい猫」(中央公論新社)
脚本:小池倫代
演出:丹野郁弓

キャスト

ミユキ:森田咲子
マヤ:井上晶
マヤの子供時代:漆畑有里菜、佐々木咲華
クマラ:橋本潤
ナオキ:一之瀬朝登
ナオキの子供時代:上野黎也、関大輝
マツコ:船坂博子
恵耕一郎:神敏将
上原:いまむら小穂
ペレラ:佐々木梅治
ウラベ:河野しずか
裁判長(声):前田真里衣
特別審理官:大野裕生
タナベ:野田香保里
警官A:保坂剛大
警官B:花城大恵
通訳:望月ゆかり
入管職員:保坂剛大

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※2024年2月4日追記:本公演は公演関係者の体調不良により7日まで公演中止となりました。

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河添 誠 KAWAZOE Makoto @kawazoemakoto

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