片隅企画「壁ーその前に広がる曠野 その果てにある都市ー」が、1月20・21日に広島・山小屋シアター、3月9・10日に香川・善通寺市民会館 講堂にて上演される。
大瀬戸正宗が2020年に立ち上げた片隅企画は、香川県善通寺市を拠点に活動する舞台芸術ユニット。今回は、安部公房の芥川賞受賞作「壁-S・カルマ氏の犯罪」を原作に、現代社会の“空虚”にスポットを当てた舞台を立ち上げる。
上演台本・演出を担う大瀬戸は「平均25歳以下の私たちがファンタジーの裏にある現代社会をどう舞台に映すのか、片隅企画にとって大きな挑戦作となりそうです」とコメントした。
本作の出演者には黒木麻絢、小林明葉、椙田航平、福島優菜、堀慎太郎が名を連ねている。広島公演のチケット予約は現在受付中で、香川公演のチケット予約受付は1月29日にスタートする。なお一部公演では終演後にアフタートークを実施。アフタートークのゲストとして、1月20日昼公演に
大瀬戸正宗コメント
今回「壁」の演出をする大瀬戸正宗と申します。
ただの自己紹介ですが、この一文で、私の存在が明確に意味づけされています。
その前に広がる曠野その果てにある都市朝起きると名前を失っていたS・カルマ氏。フランツ・カフカの「変身」さながらの不条理的展開ですが、カルマ氏が他のものに変容してしまったわけではなく、カルマ氏への「意味づけ」そのものを背負い分離した彼の名刺が、カルマ氏として周りから認識され、生活を始めているのです。この設定があまりにも秀逸で、現代社会の冷たさというか、空虚さを感じて惚れ込んでしまいました。自分って一体何をもって自分なんでしょうか。「意味づけ」を他者から与えられることによってしか自分というものを証明できないのでしょうか。安部公房作品のすごいところは、それらを悲劇的に描かず、ぼんやり抽象的に描くところだと私は思います。だからこそ今と重なるテーマを含んでいますし、現代の温度感を作品から肌感覚で感じ取れるのかもしれません。
今回戯曲化し上演する「壁-S・カルマ氏の犯罪」はファンタジー作品です。ファンタジーだからこそ、そこに反転して映し出された現代社会はよりグロテスクに見えます。平均25歳以下の私たちがファンタジーの裏にある現代社会をどう舞台に映すのか、片隅企画にとって大きな挑戦作となりそうです。感想のようになってしまいましたが、ご来場のお客様に良い作品をお届けできるよう頑張っています。ご来場お待ちしております。
片隅企画 #2「壁ーその前に広がる曠野 その果てにある都市ー」
2024年1月20日(土)・21日(日)
広島県 山小屋シアター
2024年3月9日(土)・10日(日)
香川県 善通寺市民会館 講堂
原作:安部公房
上演台本・演出:大瀬戸正宗
出演:黒木麻絢、小林明葉、椙田航平、福島優菜、堀慎太郎
ホッタタカシ @t_hotta
『S・カルマ氏の犯罪』は安部公房スタジオでも舞台化されており、その際に主演を務めたのは、今やナレーターとして大活躍の垂木勉だった。
【安部公房「壁-S・カルマ氏の犯罪」を舞台化、平均25歳以下の片隅企画が挑む(コメントあり)】 https://t.co/0Nsku7dhV5