新作歌舞伎「流白浪燦星」で片岡愛之助、市川中車演じる銭形警部に「だいたい想像つく」

片岡愛之助がルパン三世を勤める新作歌舞伎「流白浪燦星（ルパン三世）」の取材会が本日11月7日に東京都内で行われ、愛之助と脚本・演出を担当する戸部和久が登壇。公演にかける思いを語った。

「流白浪燦星（ルパン三世）」は、マンガやテレビアニメなどで展開されてきたモンキー・パンチ原作の人気シリーズを元にした新作歌舞伎。劇中ではオリジナルストーリーが展開し、石川五右衛門が実在した安土桃山時代を舞台に、国宝級の秘宝“卑弥呼の金印”を巡り、怪盗・ルパン三世と大盗賊・石川五右衛門が激しい闘いを繰り広げる。なお、本作では立廻り、本水、だんまりといった歌舞伎の手法が取り入れられる。

愛之助は「まさか自分がルパン三世を勤めさせていただくとは。『ルパン三世』を歌舞伎にするのは難しく、いろいろと話し合ったうえで落ち着いたのが、安土桃山時代にルパン一味がいたらどんな感じか、というところ。歌舞伎は夢の世界です。ありえないことが起こるのが歌舞伎の世界。全力でがんばりたい」と意気込む。

一方、戸部はタイトルについて「盗賊が活躍する“白浪もの”から“白”の字を取った」と当て字の経緯を説明しつつ、「流白浪燦星」を閃いたときに公演への手応えを感じたと振り返る。さらに、「ルパン三世」歌舞伎化のきっかけについては、「コロナで歌舞伎も大変な時代を迎え、古典歌舞伎として発展していけるような汎用性の高い作品を探していました。『ルパン三世』は出てくるキャラクターがカッコいいですし、音楽（メインテーマ）も聞き飽きることがありません。400年の歴史がある歌舞伎にはさまざまなキャラクターがいますが、それらは歴史や観客によって作り上げられてきたもの。今回も将来を楽しみに思ってもらえるような作品を作りたい」と述べる。また、脚本を手がけるにあたり「モンキー・パンチ先生が歌舞伎にリスペクトをお持ちなのではないかと思う部分がたくさんあり、台本上はそんなに苦労はしませんでした。石川五右衛門は日本で有名なキャラクター。『ルパン三世』と歌舞伎の石川五右衛門が結びつくことによって、より深い世界を描けたら」と語った。

愛之助はルパン三世について「平たく言うとダークヒーローのカッコよさがあって、ダンディで面白く、おっちょこちょい。峰不二子には一途で、決めるところは決める」とその印象を話し、作品が長年愛されてきた秘訣を「人の感情の機微やさまざまな愛の形、友情、絆が見事に描かれているから」と言う。また、劇中ではルパン三世のお決まりのセリフが登場することを明かした。さらに銭形警部役の市川中車との共演について「久しぶりにご一緒させていただくので、楽しみしかない。どんな銭形警部になるか？ だいたい想像つきますよね（笑）。さすがに土下座は出てこないと思いますが、まずはお稽古を楽しみにしています」と周囲の笑いを誘い、取材会を締めくくった。

公演は12月5日から25日まで東京・新橋演舞場にて。

※初出時、人名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。