「スカーレット・プリンセス」開幕、「南北を1人の作家として扱いテキストに注目した」

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東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」が本日10月8日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕する。

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

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東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

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本作は、ルーマニアを代表する演出家のシルヴィウ・プルカレーテが、四代目鶴屋南北の「桜姫東文章」を原案に、2018年のシビウ国際演劇祭にて発表した作品。2020年に来日予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となっていた。

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

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今回、公演のために来日したルーマニア文化大臣のルチアン・ロマシュカヌは「ルーマニアの作品を日本で上演できることはとても特別なイベントだと思っています。ルーマニアと日本の親善に貢献してくれたキリアックに感謝しています」と述べ、「昨今のウクライナ侵攻について、ルーマニア国内では文化的には直接の影響はありませんが、ウクライナから避難されて来られる方たちが数多くいらっしゃいます。アーティストの方も1000人以上いますので、ルーマニアでも活躍できるよう環境を整えていきたいと思います。そして日本のみなさんがルーマニア・シビウに来られる機会がありましたら、どうぞよろしくお願いします」とコメント。

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)[拡大]

ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場総裁のコンスタンティン・キリアックは「中村勘三郎丈が最初にルーマニアに来た時、歌舞伎を盛り上げるために今までにないようことをやりたいと話していました。男女逆転の役を演じるのも、その一つの新しい試みで、外国でも称賛の声を沢山聞いてきたので、とても手ごたえを感じています」と自信を見せる。さらに自身がディレクターを務めるシビウ国際演劇祭について「シビウ演劇祭はこの30年でとても成長して世界最大規模の演劇祭になりました。日本からもたくさんの人が参加してくれて、今後ルーマニアと日本との交流を深めていけることをとても楽しみにしています」と語った。

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)[拡大]

美術を手がけるドラゴッシュ・ブハジャールは「日本の大切な伝統である歌舞伎を広めるということを、串田(和美)さんと共に携われたことは、意味のある事でした」と言い、「通りがかったメトロポリタンプラザでやっていた本のフェスティバルで、歌舞伎や、歌舞伎のデザインについての本がたくさんあったので、スーツケースに入りきらないぐらい買ってしまいました(笑)。その本からいろいろなことを勉強して自分の中に取り込んで“日本の歌舞伎の再現”ではなく、自分たちのアプローチをして発展させていきたいと考えています」と意気込みを述べる。

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より。(撮影:後藤敦司)[拡大]

そして本作の演出を手がけるプルカレーテは「歌舞伎を本当に理解するためには、歌舞伎役者さんのようにその伝統に身をおくことが必要なのですが、私たちは、(鶴屋)南北を一人の作家として扱い、そのテキストに注目しました。串田さんの思いとして歌舞伎を様々な国で作ってほしいというところから始まったこのプロジェクトで、ひとつのテキスト、台本として演劇の作品に仕上げることは、串田さんの思いに少なからず応えることができたのではないか、と思います」と手応えを語る。さらに「南北の台本は、とても多様で多面的な要素をあわせもつ、豊かなものです。笑いや悲劇、残酷さなど極端なお話の展開や、そのディテールまでも描かれていて、楽屋オチまでテキストに含まれているんです。それをヨーロッパ風のお芝居にしたのが今回の作品です」と見どころを語った。

公演は10月11日まで。なお9日はゲストにルーマニア文化大臣のロマシュカヌ、キリアック、11日はゲストにキリアックとプルカレーテ、串田和美を招いたアフタートークあり。いずれもモデレーターを演劇評論家のオクタビアン・サイウが務める。

なおステージナタリーでは「東京芸術祭 2022」芸劇オータムセレクション特集を展開中。「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」より、上演のきっかけを作った串田と、ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場総支配人でシビウ国際演劇祭芸術監督のキリアックの対談を掲載しているほか、フランスのテアトル・デュ・ソレイユ(太陽劇団)とオランダのインターナショナル・シアター・アムステルダム(ITA)の話題作が映像で堪能できる「WORLD BEST PLAY VIEWING ワールド・ベスト・プレイ・ビューイング」について紹介している。

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東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」

2022年10月8日(土)~11日(火)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

原作:四代目鶴屋南北「桜姫東文書」
上演台本・演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:オフェリア・ポピ、ユスティニアン・トゥルク ほかルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー

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東京芸術劇場 @geigeki_info

本日10月8日(土)初日開幕!ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess」四代目鶴屋南北の「桜姫東文章」を原案に。
東京芸術劇場プレイハウスにて。当日券有。
「南北を1人の作家として扱いテキストに注目した」https://t.co/dfca7Pugyd

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