「八月納涼歌舞伎」第2部「安政奇聞佃夜嵐」に出演する
「安政奇聞佃夜嵐」は、明治の初めに起きた脱獄事件をもとに、1914年に古河新水(十二世守田勘弥)が書き下ろした作品。劇中では、人足寄場(監獄)で苦役の日々を過ごす青木貞次郎と神谷玄蔵の2人が、隅田川を渡る脱獄を計画するところから始まる物語が描かれる。青木を演じるのは幸四郎、神谷を演じるのは勘九郎だ。
作品について幸四郎は「勘九郎さんと一緒にやりたいお芝居の最たるもので、その機会がきて本当に良かった!」と出演を喜び、勘九郎は「子別れや敵討ちもありますが、歌舞伎ならではのばかばかしさもあって、“歌舞伎”が詰まった作品ですよね。引いて見るとちょっと間抜けな人たちの話ですが、がんばって生きている人の姿が短いなかに詰まっている気がします」と思いを語る。
上演に向け幸四郎は「島抜けの場面の、泳げる青木と泳げない神谷の関係性をどう見せるか。『〇〇島からの脱出!』みたいな壮大な感じではないけど(笑)」と意気込みを述べる。また幸四郎は「役者が生で、舞台で、お芝居をする、芸をお見せする、それをお客様に堪能していただくというところを目指して選んだ作品です」と述べ、「『これは(幸四郎と勘九郎の)2人でしかできないだろ』というところを目指したいですね。勘九郎さんと僕の2人の芝居で歌舞伎を堪能してもらいたい!」とメッセージを送った。
勘九郎は「幸四郎さんと僕には『かわいらしさ』があると思うんですよね(笑)」と言い、「悪いやつなんだけど、どこか憎めないチャーミングさが出せたらいいなと。僕が演じる神谷は水がだめなんですが、川を渡る場面で幸四郎さん演じる青木が神谷を『安心させる』とト書きがあるので、今回は青木がいったいどう安心させてくれるのか楽しみにしてます(笑)」と期待を述べた。
「八月納涼歌舞伎」の公演は明日8月5日から30日まで、東京・歌舞伎座で行われる。
「八月納涼歌舞伎」
2022年8月5日(金)~30日(火)
東京都 歌舞伎座
第1部
一、「新選組」
原作:手塚治虫
脚本:日下部太郎
出演
深草丘十郎:中村歌之助
鎌切大作:中村福之助
近藤勇:
土方歳三:中村七之助
仏南無之介:中村橋之助
沖田総司:中村虎之介
娘八重:中村鶴松
庄内半蔵:片岡亀蔵
芹沢鴨:坂東彌十郎
坂本龍馬:中村扇雀
※手塚治虫の「塚」は旧字が正式表記。
二、「闇梅百物語」
作:三世河竹新七
出演
骸骨 / 読売:中村勘九郎
傘一本足:中村種之助
河童:中村虎之介
小骸骨 / 読売:中村勘太郎
小骸骨 / 読売:中村長三郎
籬姫:中村鶴松
新造:片岡千之助
狸:中村橋之助
小姓白梅 / 雪女郎:中村七之助
第2部
一、「安政奇聞佃夜嵐 佃島寄場島抜けより甲州金鉱洞穴まで」
原作:古河新水
脚色:巖谷槇一
補綴・演出:今井豊茂
出演
青木貞次郎:
神谷玄蔵:中村勘九郎
おさよ:中村米吉
木鼠清次:中村隼人
上州屋倅半次郎:中村玉太郎
三好野亀次郎:市川猿弥
元締宇野与兵衛:澤村由次郎
飯屋女房お米:市村萬次郎
おさよの父義兵衛:坂東彌十郎
二、「澤瀉十種の内 浮世風呂」
作:木村富子
出演
三助政吉:市川猿之助
なめくじ:市川團子
※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、わかんむりが正式表記。
第3部
「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚(やじきたリターンズ)」
原作:十返舎一九
構成:杉原邦生
脚本:戸部和久
脚本・演出:市川猿之助
出演
弥次郎兵衛:松本幸四郎
総長シー子:坂東新悟
子分ジャック:大谷廣太郎
芹沢綾人:中村隼人
旗持ちトラ:市川男寅
親衛隊長タカミ:中村鷹之資
旗持ちオタマ:中村玉太郎
伊月梵太郎 / 娘オリビア:市川染五郎
五代政之助 / 娘お夏:市川團子
下剃虎奴:市川青虎
家族商店店長寿知喜:市川寿猿
特攻隊長ムネ:澤村宗之助
海賊王ジョニー・テープ:松本錦吾
緑婆奈々夫人:市川笑三郎
天照大神:市川笑也
父次右衛門:市川猿弥
釜掛之丞:片岡亀蔵
ザブエル:市川門之助
副支配人つる紫:市川高麗蔵
喜多八:市川猿之助
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