「團菊祭五月大歌舞伎」第3部「弁天娘女男白浪 浜松屋見世先の場 稲瀬川勢揃いの場」に出演する
右近は、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の偉業を顕彰する5月の恒例行事「團菊祭」で、五世菊五郎が19歳で初演した役・弁天小僧菊之助を演じる。まず演目と役が決まったときの感慨を「ついに来たか、と静かに興奮していました」と述べる。さらに「歌舞伎座の5月興行が、3年ぶりに“團菊祭”と銘打つことは、出演が決定したあとに知りました。ベッドの上で体育座りしながら『團菊祭に弁天……』と泣きました」と話す。
右近は同役を、2019年に自主公演「研の會」で勤めている。当時、菊五郎から「歌舞伎の匂いがしねえなあ」と言われたことを振り返り、「“歌舞伎の匂い”を感じさせるためには、自分がこれまでやってきたことを信じてやり続けるしかないと思いました。今回もおじさまに稽古を見ていただくのですが、おじさまからは『(弁天娘女男白浪は)ほかの役との掛け合いが大切な芝居。だからマンツーマンで教えることなんてないから』『自分の弁天をやりな』と言われています」と菊五郎からのメッセージに触れる。
役との出会いについて「祖母の家で、4・5歳の頃に曾祖父(六世菊五郎)の音源を聞きました。音源から覚えたセリフを尾上流の稽古場で披露したら、ふすまの向こうに(尾上)菊之助さんがいらしたことを覚えています(笑)。子供でも真似をしたくなるセリフ回しと音楽性ですよね」と語り、「僕が音羽屋さんにつき始めた頃、2003年におじさま(当代菊五郎)の弁天を生で観て、その迫力に衝撃を受けました。また(十八世中村)勘三郎さんが弁天を演じていらしたときには、『いつかやるんだから観ておきな』と、着替えに同席させていただいたことがあります」と思い出を振り返る。そして演じるにあたっての意気込みを「弁天は不良の役。なので真面目になりすぎないよう、生意気に、役を大事にしながらも、自由にやりたい。自分が演じることを楽しむことで、お客様にも楽しんでいただきたいですね」と述べた。
出演者には、右近のほか、南郷力丸役で坂東巳之助、忠信利平役で中村隼人、赤星十三郎役で中村米吉、日本駄右衛門役で坂東彦三郎が名を連ねている。右近は「先日、夜中の3時半に巳之助さんとLINEをしました。『楽しみ』『俺も楽しみ』と」とそのやり取りを明かした。
「團菊祭五月大歌舞伎」は5月2日から27日まで、東京・歌舞伎座で上演される。
「團菊祭五月大歌舞伎」
2022年5月2日(月)~27日(金)
東京都 歌舞伎座
第1部
一、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」
出演
松永大膳:尾上松緑
此下東吉後に真柴久吉:片岡愛之助
十河軍平実は佐藤正清:坂東亀蔵
松永鬼藤太:尾上左近
狩野之介直信:上村吉弥
慶寿院尼:中村福助
雪姫:中村雀右衛門
二、「あやめ浴衣」
出演
芸者:中村魁春
船頭:中村鷹之資
水売り:中村歌之助
町娘:中村玉太郎
あやめ売り:坂東新悟
第2部
一、「歌舞伎十八番の内 暫」
出演
鎌倉権五郎:市川海老蔵
鹿島入道震斎:中村又五郎
那須九郎妹照葉:片岡孝太郎
成田五郎:市川男女蔵
桂の前:中村児太郎
加茂三郎:大谷廣松
大江正広:市川男寅
小金丸行綱:片岡千之助
荏原八郎:中村吉之丞
足柄左衛門:市川九團次
埴生五郎:片岡市蔵
局常盤木:市川齊入
家老宝木蔵人:市村家橘
東金太郎:市川右團次
茶後見:大谷友右衛門
加茂次郎:中村錦之助
清原武衡:市川左團次
二、「新古演劇十種の内 土蜘」
作:河竹黙阿弥
出演
叡山の僧智籌実は土蜘の精:尾上菊之助
侍女胡蝶:中村時蔵
巫子榊:中村梅枝
渡辺綱:中村歌昇
坂田公時:中村種之助
碓井貞光:市川男寅
太刀持音若:尾上丑之助
石神実は小姓四郎吾:小川大晴
卜部季武:尾上菊市郎
番卒藤内:中村萬太郎
番卒次郎:中村錦之助
番卒太郎:河原崎権十郎
平井保昌:中村又五郎
源頼光:尾上菊五郎
第3部
一、「市原野のだんまり」
出演
平井保昌:中村梅玉
鬼童丸:中村莟玉
袴垂保輔:中村隼人
二、「弁天娘女男白浪 浜松屋見世先の場 稲瀬川勢揃いの場」
作:河竹黙阿弥
出演
弁天小僧菊之助:
南郷力丸:坂東巳之助
忠信利平:中村隼人
赤星十三郎:中村米吉
鳶頭清次:中村橋之助
浜松屋倅宗之助:中村福之助
丁稚長松:坂東亀三郎
番頭与九郎:市村橘太郎
日本駄右衛門:坂東彦三郎
浜松屋幸兵衛:中村東蔵
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ryugo hayano @hayano
【会見レポート】尾上右近が「團菊祭」で弁天小僧に!坂東巳之助とのやり取り明かす https://t.co/UsITvOt3A7