石見神楽×日本舞踊×文楽の共演「魂神楽」が京都で公演

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「魂神楽」が3月27日に京都・先斗町歌舞練場にて上演される。

石見神楽より。

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石見神楽より。

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これは、島根県に根付く伝統芸能・石見神楽を行っている、益田市石見神楽神和会の選抜メンバーである“石見神楽@Masuda”の、初の京都公演。石見神楽の代表的な演目である「岩戸」「大蛇」を中心に、“石見神楽@Masuda”と日本舞踊の尾上菊之丞、文楽の竹本織太夫が共演する。なお脚本を戸部和久、音楽・演出・演奏を吉井盛悟が担当している。

上演に向けて尾上菊之丞は「アメノウズメの神遊びから始まったと言われる、日本の芸能に於いて、同じ先祖を持ちながら、日常の生活の中に息づく神楽と、非日常の舞台を生業とする我々とは、いつの間にか近くて遠い存在となっていたように思います。しかし、今こそ祈り、願い、舞い、踊るという人間の根源的な魂の躍動に立ち帰り。伝統芸能を見つめ直す時が来ているのではないかと思っております」とコメント。竹本織太夫は「私は今回、語りでの出演となりますが、音楽家で演出も担当される吉井盛悟さんともご相談して、吉井さん、そして石見神楽の音楽と響き合う事が出来ればと思います。また、これまでも様々な舞台で共演をしてまいりました、尾上菊之丞さんと新たな舞台で共演出来ることも楽しみでございます。皆さんと楽しく、“神楽で遊ぼう”と思っております」と意気込みを語る。

吉井は「神楽とは人々の心を束ね、笑顔を求め前向きに生きることの指針とも言えると考えています。時代の流れと共に日本の芸能は発展し枝別れしていきましたが、根底には心惹と感興を求める心があり、それは恙ない平和を願うことが源流にあると思っています。今回の公演を通じ、世界の中での『日本芸能』の役割について今一度思いを巡らせてみたいと思っております」、益田市石見神楽神和会の神田惟佑は「芸能の聖地でもある京都『先斗町歌舞練場』にて石見神楽を上演できます事身に余る光栄と存じます。石見神楽と古典芸能が織りなす新たな創造の舞台、是非ご覧いただければと思います」とそれぞれの思いを語っている。

尾上菊之丞コメント

尾上菊之丞

尾上菊之丞[拡大]

この度、石見神楽の公演に参加させて頂く事となりました尾上菊之丞です。石見神楽は石見の地に根付き、愛され、地元の方々によって受け継がれてこられました。また、日本舞踊は日本の様々な芸能を取り入れながら、独自の身体表現として発展し、先人より受け継がれていく中で、その芸を磨いて参りました。アメノウズメの神遊びから始まったと言われる、日本の芸能に於いて、同じ先祖を持ちながら、日常の生活の中に息づく神楽と、非日常の舞台を生業とする我々とは、いつの間にか近くて遠い存在となっていたように思います。しかし、今こそ祈り、願い、舞い、踊るという人間の根源的な魂の躍動に立ち帰り。伝統芸能を見つめ直す時が来ているのではないかと思っております。神楽、日本舞踊、郷土、古典などの隣り合った高い垣根を取り払うことで、伝統芸能は進化をしてゆくと思いますし、私自身、同じ舞台で、神楽の息づかいを肌で感じながら一つの作品を作る事で、自分の中でも新しい発見が生まれることを、ワクワクしますし、今回の公演を非常に楽しみにしております。

竹本織太夫コメント

竹本織太夫

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皆様、ごきげんよろしゅうございます。竹本織太夫です。私は、かねてより石見神楽を興味ぶかく思っておりまして、今回の企画のお話を頂く以前にも面白く、楽しく拝見させて頂いて居りました。益田市の石見神楽の皆様と出演できますことは、私自身、とても楽しみにしております。今回の「魂神楽」という作品は石見神楽の「岩戸」、「大蛇」を中心に据えております。『岩戸』は日本芸能の始まりと言われるアメノウズメの岩戸開き舞を題材。そして、『大蛇』に描かれる、スサノオの大蛇退治は戦後、文楽、歌舞伎で復活され、私にとって所縁の深い近松門左衛門作の「日本振袖始」にも描かれており、今回の公演とのご縁を感じております。私は今回、語りでの出演となりますが、音楽家で演出も担当される吉井盛悟さんともご相談して、吉井さん、そして石見神楽の音楽と響き合う事が出来ればと思います。また、これまでも様々な舞台で共演をしてまいりました、尾上菊之丞さんと新たな舞台で共演出来ることも楽しみでございます。皆さんと楽しく、“神楽で遊ぼう”と思っております。皆様におかれましてもご無理のないように、遊びに来ていただければ幸いです。

吉井盛悟コメント

吉井盛悟

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みなさま、こんにちは。吉井盛悟です。この度、演出と言う身に余るお役目を頂き身が引き締まる思いがしております。さて、「神楽」と聞くと「日本固有の伝統的な芸能」を想像しがちですが、天岩戸開きや大蛇退治に類似する神話は世界にちりばめられています。それは人々が抱える苦悩との向き合い方であり、心の不安を「闇」や「怪物」になぞらえ可視化することでネガティビティを乗り越える心をまとめ上げてきました。それが「まつり」であり、古来は「政:まつりごと」と表裏一体でありました。神楽とは人々の心を束ね、笑顔を求め前向きに生きることの指針とも言えると考えています。時代の流れと共に日本の芸能は発展し枝別れしていきましたが、根底には心惹と感興を求める心があり、それは恙ない平和を願うことが源流にあると思っています。今回の公演を通じ、世界の中での「日本芸能」の役割について今一度思いを巡らせてみたいと思っております。

神田惟佑コメント

この度、「Masudaカグラボ京都公演実行委員会」委員長を仰せつかっております神田惟佑でございます。石見神楽は令和2年5月に「神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽~」として日本遺産の認定という大きな名誉を頂きました。当実行委員会は石見神楽の保存と活用に向けて、将来ビジョンの計画と実行を行う民間団体「MASUDAカグラボ」を母体とし組織しており、将来ビジョンの一つである興行化のもとに「魂神楽」の企画・運営を行っております。本公演の開催に際し、多くの方々のご尽力を賜り開催する運びとなりました事、大変有難く幸甚の至りであります。また、この度の公演には尾上流家元・尾上菊之丞様をはじめとして人形浄瑠璃文楽太夫・竹本織太夫様、演出 / 出演・吉井盛悟様また脚本・戸部和久様、このそうそうたる方々と同じ舞台を踏める喜びと誇りを胸に、石見神楽の新たな可能性と創造を見出して行きたいと思っております。また、芸能の聖地でもある京都「先斗町歌舞練場」にて石見神楽を上演できます事身に余る光栄と存じます。石見神楽と古典芸能が織りなす新たな創造の舞台、是非ご覧いただければと思います。

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「魂神楽」

2022年3月27日(日)
京都府 先斗町歌舞練場

脚本:戸部和久
演出:吉井盛悟
揮毫:鈴木敏夫
出演:益田市石見神楽神和会 / 尾上菊之丞、竹本織太夫、吉井盛悟

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咲寿太夫(さきじゅ)@人形浄瑠璃文楽太夫 @sakiju

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