「吉例顔見世大歌舞伎」第3部「花競忠臣顔見勢」に出演する
「花競忠臣顔見勢」は、赤穂浪士の討ち入り事件を題材とした「仮名手本忠臣蔵」の名場面の数々を、石川耕士と猿之助による新演出でドラマチックかつスピーディに展開する作品。本作で幸四郎は桃井若狭之助と清水大学の2役、猿之助は高師直、戸田の局、河雲松柳亭の3役を演じる。
上演の経緯について、幸四郎は「『忠臣蔵』は、通しで上演すると1日かかります。そこを凝縮して、(コロナ禍の)この興行形態でもできる『忠臣蔵』を考えよう、ということで実現しました」と語る。猿之助は「最初は『忠臣蔵』の大序から大詰まで、古典を縮めて上演しようと思っていましたが、『仮名手本忠臣蔵』は作品として完成されているので、下手にいじるとすべてが崩れてしまう。そこで、最近はあまり皆様にお見せできていない“忠臣蔵外伝”部分を描くスピンオフとして上演するのはどうかと。幕の内弁当のような、良いとこ取りの『忠臣蔵』で、ひと味もふた味も違う作品となっています」と話した。
本作には、幸四郎、猿之助のほか、二十代から三十代の若手俳優が多く出演する。幸四郎は「今は上演される部ごとに一座がわかれていて、一緒に舞台に立つ機会がなかなかない。今回、この年代の若手の人たちが、一緒に舞台に立つこと、そして大きな役を勤めることで、これからの歌舞伎に希望を持ってほしいという思いがあります。ということで、若手みんなに活躍してもらいます」とコメント。猿之助は配役について「それぞれの場面の主役には、将来この役を当たり役にしてほしい、という方をキャスティングしています。(幸四郎と)2人で四十七士すべて演じてしまいたいくらいですが、今回は涙をのんで脇に……(笑)」と冗談交じりに思いを述べる。
幸四郎は「『忠臣蔵』の数日間にわたる物語の展開を、肌で感じていただけるような構成となっておりますので、客席にいらっしゃる皆さんにも、義士になった感覚で観ていただけるのではないでしょうか。また『あのお芝居の名場面だ!』というシーンが、今の状況でも上演できる形に生まれ変わっていますので、(そういった部分も)ドラマを追いながら楽しんでいただきたいです」と作品の魅力に言及。猿之助は「セリフ劇として、ドラマ仕立てで作っていますので、凝縮された時間の中でじっくりとご覧いただけるかと。いつもは大序から厳かに始まりますが、そこに一工夫加えているので、知っている方がご覧になると『あれ?』と思うかもしれません。驚きの発端になっておりますので、そのあたりも楽しみにご覧いただきたいです」と期待を煽った。
「吉例顔見世大歌舞伎」は11月1日から26日まで、東京・歌舞伎座にて行われる。
「吉例顔見世大歌舞伎」
2021年11月1日(月)~26日(金)
東京都 歌舞伎座
第1部
一、「神の鳥(こうのとり)」
作・演出:水口一夫
出演
狂言師右近実はこうのとり(雄鳥) / 山中鹿之介幸盛:片岡愛之助
狂言師左近実はこうのとり(雌鳥):中村壱太郎
仁木入道:中村種之助
傾城柏木:上村吉弥
赤松満祐:中村東蔵
二、「井伊大老 千駄ヶ谷井伊家下屋敷」
作・演出:北條秀司
出演
井伊直弼:松本白鸚
仙英禅師:中村歌六
老女雲の井:市川高麗蔵
お静の方:中村魁春
第2部
一、「十世 坂東三津五郎七回忌追善狂言 寿曽我対面」
出演
工藤左衛門祐経:尾上菊五郎
曽我五郎時致:坂東巳之助
曽我十郎祐成:中村時蔵
小林朝比奈:尾上松緑
八幡三郎:坂東彦三郎
梶原平次景高:坂東亀蔵
化粧坂少将:中村梅枝
秦野四郎:中村萬太郎
近江小藤太:河原崎権十郎
梶原平三景時:市川團蔵
大磯の虎:中村雀右衛門
鬼王新左衛門:市川左團次
後見:坂東秀調
二、「連獅子」
作:河竹黙阿弥
出演
狂言師右近後に親獅子の精:片岡仁左衛門
狂言師左近後に仔獅子の精:片岡千之助
浄土僧専念:市川門之助
法華僧日門:中村又五郎
第3部
「花競忠臣顔見勢(はなくらべぎしのかおみせ)」
作:河竹黙阿弥、渡辺霞亭
補綴:戸部和久
構成・演出:石川耕士
演出:
出演(五十音順)
顔世御前後に葉泉院 / 大鷲文吾:尾上右近
河瀬六弥:中村歌之助
源蔵姉おさみ:市川笑也
高師直 / 戸田の局 / 河雲松柳亭:市川猿之助
晋其角:市川猿弥
大星由良之助:中村歌昇
井浪伴左衛門:中村錦吾
桃井若狭之助 / 清水大学:
足利直義 / お園:坂東新悟
寺岡平右衛門:澤村宗之助
大星力弥:中村鷹之資
塩冶判官 / 槌谷主税:中村隼人
龍田新左衛門:大谷廣太郎
赤垣源蔵:中村福之助
小浪:中村米吉
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