十代のためのクリエーションの学び舎・GAKUにて、
GAKUはファッションデザイナー / 教育者の山縣良和がディレクターを務める、十代のためのクリエイティブ教育の場。音楽、建築、食、ファッション、デザイン、アートなど、さまざまな分野のクリエーターが講師を務めるクラスが展開されている。
「新しい演劇のつくり方」では、山本と受講生が、範宙遊泳の代表作の1つ「うまれてないからまだしねない」のサイドストーリーを全7回の講義の中で作り上げ、来年2月に短編作品として上演。講義の様子は撮影され、演劇教育の導入を検討する教育関係者のヒントとなるようアーカイブされる。同プログラムの参加対象は中高生で、定員は10名まで。応募は10月1日よりGAKUの公式サイトにて受け付けられる。
なお同プログラムを無料で実施するためのGAKUによるクラウドファンディングが、社会問題に特化したクラウドファンディングプラットフォーム・GoodMorningにて行われる。支援の募集は本日9月27日から11月7日まで。
山本卓卓コメント
演劇創作の基本は集団創作にあります。
集団創作とは単に「みんなで一生懸命つくる」といった美しい言葉に集約されるものではありません。そこには衝突もあれば無理解もあるでしょう。我々は「みんなで~」と意気込む時、衝突や無理解を恐れるがあまり、個人の個性や思考や存在を無視しがちです。個人が無視された「みんなで~」は結局、その「みんな」の中にいる声の大きな人の利益にしかなりません。私自身も、個人として認識されないまま「みんな」のひとりとして学生生活を過ごしていました。この、個人として認めてもらえない寂しさ虚しさから、一歩先に進ませてくれたのが演劇だったように思います。このプロジェクトを通して参加者みんなが個人を取り戻す。主人公性を取り戻す。これが、私たちが今回取り組むビジョンです。
日本で演劇が教育として盛んに行われていない理由のひとつに「身近でなさ」があるのかもしれません。演劇や演技を行うことが、もっと趣味の一貫として日常に溢れていていいし、遊びのひとつとして認知されても良いと考えます。カラオケや変顔をTikTokに載せることに抵抗のない若者が、なぜ演技をすることに抵抗感があるのかについて、我々演劇関係者は真剣に考えてこなかったように思います。そもそも、我々の生活の中には演劇や演技が溢れており、テレビやYouTubeやTikTokの中にもその派生系がたくさん存在しています。
こうしたことについて参加者たちと気づき、生活に取り入れていくこと。たしかに専門的な文化ではあるものの、汎用的で一般的な、文化の源流であることを伝えていきたいと考えています。
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ステージナタリー @stage_natalie
範宙遊泳の代表作のサイドストーリーを十代と創作、GAKU×山本卓卓の演劇プログラム(コメントあり)
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