SPACが“切なさ”と“お祭り感”と共に立ち上げた「忠臣蔵2021」が閉幕

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「忠臣蔵2021」が6月5・6日に静岡・舞台芸術公園 野外劇場「有度」で上演された。

静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」より。(c)猪熊康夫

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静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」より。(c)日置真光

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「忠臣蔵2021」は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせて実施される「静岡県文化プログラム」の一環として上演されるもの。昨夏に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で公演中止となっていた。

静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」より。(c)猪熊康夫

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「忠臣蔵」は主君のあだ討ちのために47名の赤穂浪士が立ち上がり、吉良上野介の首級をあげた江戸時代の事件。1999年に本作を書き下ろした平田オリザは、「忠臣蔵」で日本人特有のコミュニケーションに焦点を当て、武士道の忘れ去られた平和な時代を生きる登場人物たちが、“空気を読みながら”討ち入りを決定していく様子を描いた。今回は総合演出を宮城聰が担い、SPACの俳優・寺内亜矢子と牧山祐大が演出を担当。キャストには公募で選ばれた42名の市民と、SPAC俳優ほか12名の計54名が名を連ねた。

静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」より。(c)猪熊康夫

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去る6月5日の初日後、宮城と平田が出演者に向けてコメントを発表した。宮城は「戯曲の内容と、皆さんの実人生での出来事がぴったり重なるような形になっていて、それがまた“ある種の切なさのあるお祭り感”として舞台から観客に伝わってくる。何かこの人たちにとっては人生の中で切実なことがあって、いま参加しているんだろうな、というのが薄々伝わってくる。そういう“切なさ”と“お祭り感”にお客さまも感動してくれたのではないかと、終演時の熱心な拍手を聴いて思いました」とあいさつ。

静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」より。(c)猪熊康夫

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また平田は「年を追うごとに自分の書いたものを他の人がやってくれるということが、不思議な感覚になってきています」と打ち明け、「宮城さんもおっしゃっていたように、『私たちが置かれた状況自体が非現実的だ』と台詞がとてもリアルになってしまったので、この時期に(舞台に)立っていただいて本当に有難いなと思っております。私実は赤穂市のアドバイザーもしているので、いつかこれを赤穂市でもやっていただければと思っております (笑)。本当にありがとうございました」とキャストたちをねぎらった。

宮城聰 コメント

初日お疲れ様でした。この作品は、「討ち入りをお祭りの構造でやっている」ものですね。あるいは「討ち入り自体をお祭りとして捉える」その恐ろしさみたいなことも描いている。表裏、楽しいのと空恐ろしいのと、という作品ですけれども。それが皆さんが人生の中で、今回わざわざ参加しているというモチベーション、皆さん一人一人の目的はちょっとずつ違うのに、最後は一つの大きなお祭りになっているというのが、戯曲の内容と、皆さんの実人生での出来事がぴったり重なるような形になっていて、それがまた“ある種の切なさのあるお祭り感”として舞台から観客に伝わってくる。何かこの人たちにとっては人生の中で切実なことがあって、いま参加しているんだろうな、というのが薄々伝わってくる。そういう“切なさ”と“お祭り感”にお客さまも感動してくれたのではないかと、終演時の熱心な拍手を聴いて思いました。自分の人生の一部分を誰かが演じてくれているような、そういう気持ちをお客さまは少し持ってくれているのだと思う。

平田オリザ コメント

年を追うごとに自分の書いたものを他の人がやってくれるということが、不思議な感覚になってきています。海外で、他の国の言葉でも上演していただけるので、そのたびに劇作家というのはいい仕事だなぁといつも思います。あともう一つは、「忠臣蔵」は何度もやっていただいているんですけれども、こんなくだらない戯曲にこんなたくさんの人に関わっていただいて申し訳ないなと思っています。

宮城さんもおっしゃっていたように、「私たちが置かれた状況自体が非現実的だ」と台詞がとてもリアルになってしまったので、この時期に(舞台に)立っていただいて本当に有難いなと思っております。私実は赤穂市のアドバイザーもしているので、いつかこれを赤穂市でもやっていただければと思っております (笑)。本当にありがとうございました。

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静岡県文化プログラム / SPAC「忠臣蔵2021」

2021年6月5日(土)・6日(日)※公演終了
静岡県 舞台芸術公園 野外劇場「有度」

作:平田オリザ
総合演出:宮城聰
演出:寺内亜矢子、牧山祐大
音楽:棚川寛子
振付:北村明子
劇中曲作曲:山貫憲彦

出演:吉植荘一郎、大高浩一、加藤幸夫、貴島豪、大道無門優也、若宮羊市、武石守正、石井萠水、吉見亮、榊原有美 / 大石宣広、蔭山ひさ枝 / 伊藤清美、井上さつき、井上萌、宇佐美順子、内山怜菜、大石夢子、大野博美、小又旭、笠原麻美、片山晴絵、川上司恩、小林清美、小林紅葉、小林玲子、小谷野桂子、佐伯彰彦、澤田唯、柴田彰、白神久吉、高澤利衣、竹内芳、土屋保子、戸塚博之、中川瑛梨、仲澤剛志、中村彩乃、生井みづき、藤江灰(Ash)、藤見花、星善之、細田あい、前田展子、松本真由美、水野樹里、藤崎沙南英、山田としみ、山梨まどか、山本真緒、山本佑次、山本幸恵、湯澤祐美子、吉田美音子

※高澤利衣の「高」ははしご高が正式表記。

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