「モダンボーイズ」は
横内は「27年前に書いた作品をブラッシュアップする良い機会をいただきました。加藤シゲアキさんがご出演なさると知り、(作家役の)菊谷と主人公の奏、どちらでもできるようにプランしたのですが、『木村先輩がやったことを継承したい』『あわよくば“木村越え”を狙いたい』と……」と言うと、すかさず「そんなこと言ってないですよ!(笑)」と加藤のツッコミが。横内は笑いながら「今回はグッと大人のドラマにしようと大改訂しました。キャストの皆さんも一字一句にこだわってくださり、作家名利に尽きる舞台に仕上がったのではないかと思います」と手応えを述べた。また、演出の一色は歌手・作家・役者の顔を持つ加藤について「1日28時間あればあと2つか3つくらい舞台ができる、エネルギーとバイタリティのある人」と評し、「そのエネルギーすべてを奏役に注力してくれたときに、舞台上でマジカルなことが起きると確信しています」と期待を込める。
一方、矢萩奏に扮する加藤は、出演の決め手を「演劇を上演することもままならない時代に、どうやってブレイクスルーして作品を作っていくかという物語なのですが、今の時代とシンクロするところがある。試行錯誤しながらどう舞台を上演するかというのは演劇界だけではなく、エンタテインメント界が乗り越えなければならない壁。この舞台にヒントがあるのではないかと思い、参加させていただくことを決めました」と明かす。
また、菊谷栄役の山崎は「まずは個人的なことですが、吉川英治文学新人賞ありがとうございます」と、長編小説「オルタネート」で同賞に輝いた加藤のふりをして会場の笑いを誘ったあと、「幕を開ける以上は、エンタテインメントやライブは必要なんだと思っていただけるように全力で努めたい」と真面目に意気込みを語った。
武田はスター女優を目指す若月夢子を演じる。「私が今ここに立っていられるのは、稽古を付けてくださった一色さんやアドバイスをくれたキャストの皆さんに助けていただいたおかげだと思っています。今は自信を持って幕が上がるのを待つだけ。皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです」とコメントした。
オリジナルキャストの木村について話を振られた加藤は「恐れ多いですが、同じ役を演じるチャンスは2度とないと思うので、チャレンジさせていただきました」と告白。また、「モダンボーイズ」出演を木村に伝えるときに頭の中で台本を用意して挑んだというが、「やるんでしょ? 『モダンボーイズ』」と先に木村に言われてしまい、「僕の台本が総くずれでした(笑)。『あ、ハイ、ハイ!』とあわあわしてしまって。でも、『がんばってくれ』とエールをいただきました」とエピソードを披露した。
3年半ぶりの舞台出演については「いつもグローブ座での作品に出演することが多かったので、お客さんとして観ていた新国立劇場に立っているのが夢のよう。この作品も、夢の場所に立つというお話なので、今の気持ちが役にぴったりで小さな感動を毎日しています」と感慨深げだ。なお、加藤・山崎・武田は人見知りで「役のほうが仲が良いんじゃないか」(加藤)とお互いに不安に思っていたとか。山崎がムードメーカーになり、また、加藤の吉川英治文学新人賞受賞のお祝いをきっかけに、距離が縮んだという。最後に加藤は「4月になり心機一転、いろいろな心持ちでがんばる人も多いと思いますが、この舞台も一歩踏み出す勇気をもらえるような物語だと思います。観た方によっていろいろな部分で心に響く作品になったと思うので、ぜひ楽しんでいただけたら」と、初日前の意気込みを語り、取材会を締めくくった。
本作には坂口涼太郎、溝口琢矢、松田賢二、きづき、伴美奈子、羽子田洋子、清瀬ひかり、紺崎真紀、橋本菜摘、大川亜耶、須田拓未、加藤虎ノ介、神保悟志、大鷹明良も出演。東京公演は4月16日まで行われ、その後、28日から30日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールでも上演される。
「モダンボーイズ」
2021年4月3日(土)~16日(金)
東京都 新国立劇場 中劇場
2021年4月28日(水)~30日(金)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
作:
演出:一色隆司
出演:
※2021年4月27日追記:大阪公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。
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【会見レポート】加藤シゲアキ、3年半ぶりの舞台「モダンボーイズ」開幕!「いろいろな部分で心に響く作品に」 https://t.co/f9UnUv1eSQ