ステージナタリー - 舞台・演劇の最新ニュースを毎日配信

いつ高2本立て開幕、三重の高校生キャスト「改めて十代っていいなと感じた」

91

三重県高校演劇部選抜ver.「いつだって窓際であたしたち」より。(撮影:西岡真一)

三重県高校演劇部選抜ver.「いつだって窓際であたしたち」より。(撮影:西岡真一)

三浦直之作・演出によるロロ「いつ高」シリーズの2本立て公演が、昨日8月24日に三重・三重県文化会館 小ホールにて開幕した。

三重県総合文化センターの開館25周年記念事業として行われる本公演では、「いつ高」シリーズよりvol.1「いつだって窓際であたしたち」と、vol.4「いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した」が上演される。「いつだって~」のキャストは三重県の高校演劇部選抜メンバー。「いちごオレ~」には初演オリジナルメンバーであるロロの森本華、青年団の多賀麻美田中美希恵が出演する。

満席状態の客席には、制服を着た高校生や出演者の家族と思われる観客など、さまざまな年代が集まった。開演と同時に三浦が舞台上に姿を現し「いつ高」シリーズについて簡単に説明。そして舞台袖に向かって、「高校生たち、準備はいいですかー?」と声をかけると、「はーい!」と高い声で元気な返事があって、1本目「いつだって窓際であたしたち」が始まった。

「いつだって~」では昼休みの教室を舞台に、高校生たちの日常が切り取られる。友達や異性との距離感がうまく掴めず戸惑ったり、何でもないことに笑ったり、興味の対象がどんどん変わっていったり、遠くから誰かを見つめたり……。高校生キャストの細やかな演技に観客の笑いは絶えず、盛り上がった空気のまま1本目が終演した。

2本目の「いちごオレ~」では、放課後の中庭を舞台に仲のいい女子3人が、他人の噂話で盛り上がる。失恋の痛み、恋が始まる偶然性など、“見つめる恋”の切なさを描いた本作では、友達といるときの高揚感と1人になったときの物憂げな気持ちを、俳優たちが巧みに“間”を使って表現。物語の面白さを余すところなく見せた。

初日終演後、三浦と高校生キャスト3名に話を聞いた。初日の手応えを、シューマイ役の川瀬琉斗(2年生)は「とりあえずひと山超えたかなと言う感じです」、朝役の石川百華(2年生)は「1日目の緊張感を2日目に持っていけたら」、白子役の谷川蒼(3年生)は「お客さんにも笑ってもらえて自信が持てた」と話す。三浦も「稽古期間が短かったのにここまで持ってこられたのは素晴らしい」と笑顔を見せつつ、「特にすごくうれしかったのは、ギャグではないセリフのところでも笑いが起きていたこと。登場人物の関係性やちょっとした細かいリアクションでお客さんが笑っていて、それは技術として本当に難しいことだから、そういった瞬間が高校生たちで作れたことはすごいなと思いました」と話す。

高校生たちの日常を描いた物語を、高校生たちはどう感じながら演じているのか。谷川は「第三者から見たら全然面白くないかもしれないような、くだらないことですごく笑ってしまうところが自分たちにもあるなと」と言い、石川も「大して楽しくないことでも、ノリやテンションで楽しめてしまうところが普段の自分にもあるなと思いました」と続ける。川瀬は、シューマイが自分の席に知らない人が座っていて戸惑う、というシーンになぞらえて、「自分の席に戻ろうとしたら知らない人が座っていて戸惑うって、僕の中ではよくあることで……」と話すと、笑いが起きた。

2本立て公演について、三浦は「お客さんが2作品を結びつけてくれる感じがあった」と言い、「今日はみんなの緊張感があって、その熱が『いつだって~』終演後も舞台に残っていた。それは技術では作れないことだと思いますし、『いちごオレ~』チームは“だからこそ技術でいく!”というような(笑)、十代じゃないからこそ、経験を積んだからこそできることを見せようという意気込みを感じました。そういうふうにお互いが影響し合っている感じを初日は特に感じて、いいなと思いましたね」と語った。

稽古での三浦の話で印象的だったことについて、石川は「稽古で三浦さんが言っていた目線の使い方が、『いちごオレ~』を観たらちゃんとお客さんに伝わっているなと感じました」、谷川は「これまでは、舞台上にいる登場人物たちの世界の中でどうすればいいか考えていたけれど、舞台上だけじゃなく奥にいる人たちがどういう状態かを想像するといい、と教えていただきました」、川瀬は「演技している人のことしか考えていなかったけれど、その周囲がどうなっているかを意識するようになりました」と真摯な答えが返ってきた。

最後に今回の公演がどんな体験になったかを尋ねると、谷川は「東京の劇団さんと三重がつながるっていうことは、改めて考えるとすごいことだし、ありがたいことだなと。他校さんと一緒に演技したのも初めてで楽しい時間になりました。来年就職するので、改めて十代っていいな、青春っていいなと感じる期間でした」とはにかむ。石川は「ワークショップや稽古、本番すべてから盗めることは全部持って帰りたい!という気持ちです(笑)」、川瀬は「プロの劇団の人の演出で劇を作れることってなかなかないので、そういう機会を持てたことがすごくうれしかったです。今後も演劇は続けていきたいです!」と続けた。

三浦は「ずっと『いつ高』シリーズを高校生と作ってみたいと思っていたので、こういう場を用意してもらえて、ようやくそれが叶ったのはめちゃくちゃうれしいなと。高校生たちに観てほしい、知ってほしいと思って始めたシリーズなので、『いつ高』シリーズが東京以外の人たちに上演してもらえるのは本当にうれしいです」と喜びを語った。

ロロ「いつ高」シリーズは、いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校を舞台にした“まなざし”がテーマの公演シリーズ。“10分間の仕込み公開”“上演時間60分以内”といった全国高等学校演劇コンクールの出場ルールに則り上演され、これまでに7作品が披露されている。

「三重県総合文化センター開館25周年記念事業 ロロいつ高シリーズ2本立て公演」は本日8月25日まで。

「三重県総合文化センター開館25周年記念事業 ロロいつ高シリーズ2本立て公演」

2019年8月24日(土)・25日(日)
三重県 三重県文化会館 小ホール

三重県高校演劇部選抜ver.「いつだって窓際であたしたち」

作・演出:三浦直之
出演:三重県高校演劇部より選抜メンバー

ロロver.「いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した」

作・演出:三浦直之
出演:森本華多賀麻美田中美希恵

ステージナタリーをフォロー