三重県総合文化センターの開館25周年記念事業として行われる本公演では、「いつ高」シリーズよりvol.1「いつだって窓際であたしたち」と、vol.4「いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した」が上演される。「いつだって~」のキャストは三重県の高校演劇部選抜メンバー。「いちごオレ~」には初演オリジナルメンバーであるロロの
「いつだって~」では、教室を舞台に生徒たちの他愛ない会話が描かれる。弁当を食べようとしていたシューマイは、自分の席に知らない女子が座っていて動揺する。ぼんやりと校庭を眺める彼女を、シューマイもぼんやり眺めていると、同級生たちが教室に現れて……。異性との距離を掴みかねて妙な“間”が生まれてしまう気まずさ、友達に対して感じる劣等感、人に言えないこだわりなど、ちょっとしたやり取りの中に垣間見える、リアルとも演技ともつかない恥じらいが作品のエッセンスとなり、客席に笑いを巻き起こす。
対する「いちごオレ~」では、瑠璃色、茉莉、海荷の3人が、軽音部の練習に時折耳を傾けつつ、同級生たちの噂話に花を咲かせる。すぐに肩を寄せ合い、ちょっとしたことにもコロコロと笑う女子高生たちの様子を、森本、多賀、田中が緩急利かせたテンポのよい演技で表現。また、観客には見えない同級生たちの存在を、3人が巧みな表情や仕草で立体的に作り上げ、作品の奥行きを感じさせた。
ゲネプロ終了後、作・演出の三浦に話を聞いた。ゲネの手応えについて三浦は、「高校生チームのクオリティと集中力が、昨日の通し稽古よりもまたぐっと上がってます。稽古ではセリフを話していないときに目線をどこに置くか、(セリフを話している場の)“外側”をどう使うかを意識してやってみようと言っていたのですが、そこへの感度がどんどん上がっているのがうれしかったです。対する『いちごオレ~』チームは、『高校生として“見せる”』という気合いを感じましたね」と笑顔を見せる。
「いつ高」シリーズは、フィクション性を含んだストーリーを、実際には高校生ではない俳優が演じる面白さが魅力の1つだ。そんなフィクションとリアルのバランスについて三浦は、「僕は高校生をリアルな高校生として描きたいわけではなくて、実際に今回の『いつだって~』も、高校生が演じているのは物語の中の高校生であってリアルではない。フィクションを演じるという点では、大人も10代も同じだと思うんです。その部分で今後、どういうアプローチをしていけるか。それを今日、ゲネプロを観ながら考えていました」と答える。
また三浦は、休憩中の高校生を見るのが楽しいと話し、「休憩中、ダラッと身体を寄せ合ったりしていて、あの抜けた身体でみんながすごく適当な話を楽しそうにしたりしているのを見るのが面白いですね。『ああいう瞬間をたくさん作りたいんだよな』と改めて思いました。また、まだ全然具体的ではないですけれど、もう少し意図的に、実際の高校生が演じることで大人が演じるのとは違う効果が生まれるような仕掛けが作れないかなと思っています」とアイデアの一端を明かした。
さらに明日の初日に向けては、「高校生たちは、1ステージでの伸び幅がものすごくてびっくりします。明日でまたよくなるだろうと思いますし、今回は2本立てなので、それぞれに共通して出てくる海荷やシューマイなどのキャラクターが、お客さんの中でもつながって、2作品で1本の長編に見えるようになればといいなと思います」と期待を語った。「三重県総合文化センター開館25周年記念事業 ロロいつ高シリーズ2本立て公演」は明日8月25日まで。
ロロ「いつ高」シリーズは、いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校を舞台にした“まなざし”がテーマの公演シリーズ。“10分間の仕込み公開”“上演時間60分以内”といった全国高等学校演劇コンクールの出場ルールに則り上演され、これまでに7作品が披露されている。
「三重県総合文化センター開館25周年記念事業 ロロいつ高シリーズ2本立て公演」
2019年8月24日(土)・25日(日)
三重県 三重県文化会館 小ホール
三重県高校演劇部選抜ver.「いつだって窓際であたしたち」
作・演出:
出演:三重県高校演劇部より選抜メンバー
ロロver.「いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した」
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