柄本明・石倉三郎らがトーク、ピンター作品は「わからないからこそ楽しい」

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寺十吾が演出する「誰もいない国」の公開トークイベントが昨日10月5日に東京・新国立劇場で行われ、演出の寺十、翻訳の喜志哲雄、出演者の柄本明石倉三郎が登壇した。

「誰もいない国」公開トークイベントより、左から喜志哲雄、柄本明、石倉三郎、寺十吾。

「誰もいない国」公開トークイベントより、左から喜志哲雄、柄本明、石倉三郎、寺十吾。

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左から柄本明、石倉三郎、寺十吾。

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ハロルド・ピンター作「誰もいない国」は、1975年にイギリス・ロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで初演された作品。台本を読んだ感想を問われた柄本が「ピンターに限らないのですが、よその人が書いたものなんかわからないですよ。自分の言葉じゃないですからね。だからそれを探しに行くんです。作品を探す旅に出るような気持ちです。そういう意味では、(難しいとよく言われる)ピンターはやはり好きな作家ですね」と答えると、石倉も「同じく、さっぱりわからないですね。でも演じるうえで、わからないからこそ楽しいですよね」と感触を述べる。さらに石倉は「柄本さんからお話をいただいて出演を決めたのですが、『この歳でこういう作品が来るというのは運命かな』と言ったら、柄本さんが『まったくその通りです』って(笑)。柄本さんとの共演は単純に楽しみですね。胸を借りるつもりです」と期待を語った。

「誰もいない国」チラシ

「誰もいない国」チラシ[拡大]

ピンター研究の第一人者として知られる喜志は「ピンターの作品はよく分からないとか、難しいとおっしゃる方が多いのですが、近代のリアリズム演劇によくある行動の動機がすべて明確な劇というのは、かえってリアルではない気がします。誰かがある行動を取るという場合でも、時としてその当事者自身がなぜそれをやったかわからない。むしろこれが普通であるように思います」とコメント。同劇場の演劇芸術監督に就任した小川絵梨子たっての希望で、本作の演出を担う寺十は「わからないなりにですが、ディスカッションし合う中で、このカンパニーにおいての方向性が見えてきました。もちろん正解というものはないのですが。わからないとおっしゃりつつも、柄本さんが声を発するとやはり心に入ってくるものがある。こういう手応えが数日の稽古でも手に入りましたね」と稽古の様子を明かした。

「誰もいない国」は、11月8日から25日まで新国立劇場 小劇場にて上演。本作には柄本、石倉のほか、有薗芳記、平埜生成が出演する。

なおステージナタリーでは、新国立劇場 2018/2019シーズン開始にあたって特集を展開中。同シーズンのオープニング3作品より、「誤解」を演出する稲葉賀恵、「誰もいない国」の寺十、そして「スカイライト」を手がける小川が、作品への意気込みや演出家としての思い、また新たな門出を迎えた新国立劇場への期待をざっくばらんに語った。

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「誰もいない国」

2018年11月8日(木)~25日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:寺十吾
出演:柄本明石倉三郎、有薗芳記、平埜生成

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高木登 Noboru Takagi @nueteki_0706

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