札幌座の斎藤歩、「肝っ玉おっ母とその子どもたち」で“日本の今”に迫る

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札幌座が、9月23日から28日まで北海道・サンピアザ劇場にて、ベルトルト・ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子どもたち」を上演する。

「肝っ玉おっ母とその子どもたち」チラシ

「肝っ玉おっ母とその子どもたち」チラシ

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札幌座は、北海道・札幌を拠点に演劇活動を行っている、北海道演劇財団付属の劇団。同財団の20周年記念事業として、ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子どもたち」を上演する。脚色・演出・音楽を手掛けるのは、札幌座チーフディレクターの斎藤歩

上演に際し斎藤は、「自分が生きるため、子どもを生かすため、とにかく目の前にある現実に真正面から立ち向かい続ける母・アンナの姿を通して、70年も戦争を経験していない国で暮らす私たちは、舞台上に何を観るのでしょうか」とコメントしている。

斎藤歩コメント

「肝っ玉おっ母とその子どもたち」。なんとも古風なタイトルですが、わが国の演劇の世界では古くから有名なタイトルで、ブレヒトというドイツの劇作家の代表作とも呼ばれる音楽劇の大作です。世界中あちこちで数々の有名演出家・音楽家の手で舞台化がなされ、日本でも名のある大女優さんたちが「母・アンナ」の役を演じてきました。
17世紀のヨーロッパにおける30年戦争と呼ばれる長い長い戦争の最中、「私が産んで育てた子どもたちを兵隊になんかやりたくない」と願い戦争を呪いながらも、戦争を糧にした商いで生計を立てている母・アンナは、ひとたび停戦・平和が訪れてしまうと仕入れた品物が売れず、商売が成り立たず愚痴をこぼし、そして再び戦争が始まると、生き生きとビジネスを始めるのです。
「70年もの間、戦争を経験していない国があるが、そんな国には国民を把握する帳簿もないから、徴兵もできない」というようなセリフがあります。私たちの国でも最近になってついに、国民すべてを把握する帳簿に相当するマイナンバーが割り振られました。戦争放棄を謳った憲法を書き換えようという議論もなされ始めています。
自分が生きるため、子どもを生かすため、とにかく目の前にある現実に真正面から立ち向かい続ける母・アンナの姿を通して、70年も戦争を経験していない国で暮らす私たちは、舞台上に何を観るのでしょうか。
札幌の町はずれ、新札幌のサンピアザ劇場で、櫻井幸絵の母・アンナと子どもたち、彼女たちに次々と襲い掛かる男達による音楽大活劇を、ぜひ目撃してください。

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札幌座「肝っ玉おっ母とその子どもたち」

2016年9月23日(金)~28日(水)
北海道 サンピアザ劇場

作:ベルトルト・ブレヒト
翻訳:岩淵達治
脚色・演出・音楽:斎藤歩
出演:櫻井幸絵、斎藤歩、宮田圭子、佐藤健一、山本菜穂、高子未来、市川薫、熊木志保、納谷真大、彦素由幸、小佐部明広西田薫、福士惠二、伊東潤山田百次

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