第70回トニー賞は「ハミルトン」11冠、演劇作品賞に「ザ・ヒューマンズ」

本日6月13日（現地時間12日）にアメリカ・ニューヨークのビーコン・シアターにて第70回トニー賞授賞式が開催され、受賞結果が発表された。

演劇作品賞には「ザ・ヒューマンズ」、ミュージカル作品賞には「ハミルトン」、演劇リバイバル作品賞には「橋からの眺め」、ミュージカルリバイバルに賞は「カラーパープル」が輝いた。演劇主演男優賞は「ザ・ファーザー」のフランク・ランジェラ、演劇主演女優賞は「夜への長い旅路」のジェシカ・ラング、ミュージカル主演男優賞は「ハミルトン」のレスリー・オドム・ジュニア、ミュージカル主演女優賞は「カラーパープル」のシンシア・エリヴォが受賞。「ハミルトン」は、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、演出賞など、最多11部門での受賞を果たした。

司会を務めるジェームズ・コーデンは、まず12日未明に起きたオーランドの銃乱射事件に触れ、「全ての人にとっての悲劇だ」と語り、哀悼の意を表した。その後「第70回トニー賞授賞式」が開幕。「ハミルトン」のパロディや、トニー賞70周年の歴史を振り返る、歴代のミュージカルをふんだんに詰め込んだパワフルなパフォーマンスが披露されていく。

ミュージカル主演男優賞を受賞した「ハミルトン」のレスリー・オドム・ジュニアは、「（楽曲・脚本・出演の）リン＝マヌエル・ミランダは、新しいビジョンを与えてくれた。無限の可能性と友情に感謝したい。いろいろ役柄に疑問があったが、その疑問を払拭したのは愛情です」とコメント。ミュージカル主演女優賞を受賞した「カラーパープル」のシンシア・エリヴォは「メイクさんに怒られるから絶対に泣かない」と言いながら涙を流し、「時代を選ばない、ずっと通じる物語です。ストーリーを語る必要な手立てを作ってくれて、ステージ上で私をより強い女性にしてくれてありがとう」と語った。

「ハミルトン」は銃乱射事件を受け、小道具のマスケット銃を使用せずパフォーマンス。オープニングではレスリー・オドム・ジュニア率いるキャストが「ALEXANDER HAMILTON」でコーデンとコラボレーションを披露する。舞台では、映像で「若者のエネルギーをヒップホップで表現している。アメリカの夢、若者のハングリーが描かれている」とオバマ大統領夫妻のコメントを投影。キャスト勢ぞろいでエネルギー溢れる「HISTORY HAS IT’S EYES ON YOU」を披露し、会場は大いなる盛り上がりをみせた。

主演男優賞を受賞した「ザ・ファーザー」のフランク・ランジェラは「感謝の名前を読み上げるよりも、オーランドで起こったことを話したい」と言い、「悪い事が起きたとき我々には3つの選択肢がある。定義づけられるか、破滅するか、強くなるか……。厳しい現実に直面したが、ぜひみんなに強くなってもらいたい。1歩ずつみんなと共に歩んで行きたい」と強く語った。主演女優賞を受賞した「夜への長い旅路」のジェシカ・ラングは「夢が叶いました。今日は悲しい日なんですが、最高の気分です」と挨拶する。

パフォーマンスタイムには、「スクール・オブ・ロック」から、アレックス・ブライトマンと子役キャストたちとで「YOU’RE IN THE BAND」を、「シャッフル・アロング」から「BROADWAY BLUES」が披露された。「シー・ラヴズ・ミー」からは「ILONA」「SHE LOVES ME」「VANILLA ICE CREAM」の3曲を上演。「屋根の上のヴァイオリン弾き」では「SUNRISE,SUNSET」「THE WEDDING」の2曲で、結婚式のパフォーマンスが披露された。

さらに「ブライト・スター」からは、カルメン・キューザックが「IF YOU KNEW MY STORY」を熱唱。「春のめざめ」からは「MAMA WHO BORE ME」「THE BITCH OF LIVING」が手話のダンスで披露され、「ウェイトレス」からは「OPENING UP」「SHE USED TO BE MINE」、「カラーパープル」からは、「MYSTERIOUS WAYS」「I’M HERE」がお披露目された。ノミネート作品以外からは、自伝ミュージカル「オン・ユア・フィート！」から、グロリア・エステファンがパフォーマンスを見せる。

各賞のプレゼンターとしては、バーブラ・ストライサンド、オプラ・ウィンフリー、ケイト・ブランシェット、キャロル・キング、ジェイク・ギレンホール、ネイサン・レイン、スティーブ・マーティンらが、ドレスアップして登場した。

本授賞式の模様は、6月18日19:00のWOWOWプライム「演劇・ミュージカルの祭典！トニー賞直前SP」にて、再放送される。