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坂手洋二「野鴨中毒」で、結城座とベトナム青年劇場が初の協同制作

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約380年の歴史を持つ江戸糸あやつり人形 結城座が、ベトナム青年劇場とともに、3月16日から21日まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて「野鴨中毒」を上演する。

ベトナム青年劇場は、1978年創設の国立劇場。2014年にベトナム青年劇場が来日した際、同劇場の副館長が結城座の公演を観て「ぜひ結城座と共に創る舞台を実現させたい」と申し出たのが、本企画始動のきっかけになった。2015年には古典公演や人材育成を目的としたワークショップなどをベトナムで開き、事前準備を重ねてきたが、いよいよその成果が作品として立ち上がる。

「野鴨中毒」は、イプセンの「野鴨」からを想を得た、燐光群・坂手洋二によるオリジナル作品。坂手と結城座は、今回が初顔合わせとなる。上演にあたり坂手は「『野鴨中毒』では日本の伝統芸能である能の、複式夢幻能の形式を踏まえている。その上で、伝統的な人形演劇の人形と遣い手の分離による批評性が、イプセンの描いた人間たちの営みを深く鋭く照射する」と演出の構想を語っている。なお本作品は、5月にハノイのベトナム青年劇場、6 月にルーマニアのシビウ国際演劇祭でも上演される予定だ。

坂手洋二 演出メモ

江戸糸あやつり人形 結城座 日越国際協働制作「野鴨中毒」は、ノルウェーを代表する劇作家イプセンの「野鴨」をベースにした作品である。
原作は、富む家と貧しい家、相反する二つの家の三世代に渡る親と子と更にその子どもの秘められた関係が、正義を掲げる者によって暴かれていく、近代劇の形式をとっている。
近代劇とは、行動する主人公を中心に現在進行形で話が進んでいくが、「野鴨中毒」では日本の伝統芸能である能の、複式夢幻能の形式を踏まえている。その上で、伝統的な人形演劇の人形と遣い手の分離による批評性が、イプセンの描いた人間たちの営みを深く鋭く照射する。
能の主人公であるシテは場所に憑く亡霊であり、旅人であるワキがその話を聞いているうちに過去としての物語が現前してくるという設定である。
今回は自殺した娘、ヘドウィグの棺桶を入れる墓を探しに森を彷徨っている葬列その ものが、原作で徐々に明かされていく“出来事”を振り返って物語を辿っていく。また、原作では語ることのできない野鴨がある形を借りて今作では登場する。
森=野鴨=自然を体現する者と繋がる役割を、レ・カインらベトナム俳優が演じ、人間たちを描く人形演劇と対峙する。
130年以上前に上演された北欧の家族劇をベトナムの俳優と共に人形の魔術により現在の日本に蘇らせる。

「野鴨中毒」日越国際協働制作

2016年3月16日(水)~21日(月・祝)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

原作:ヘンリック・イプセン
脚本・演出:坂手洋二
翻訳:Nguyen Duong Do Quyen
人形美術・衣装:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資(バイオリン)
舞台美術:島次郎
出演:十二代目結城孫三郎、結城千恵、結城育子、結城数馬、レ・カインほか結城座、ベトナム青年劇場

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