「EXPO2025!! REVUE OSAKA」より。

テンミニ!10分でハマる舞台

翼和希率いるOSK日本歌劇団「EXPO2025!! REVUE OSAKA」公演レポート

日舞&洋舞レビューで魅せる歌劇の奥深さ、懐の深さ

PR「EXPO2025!! REVUE OSAKA」

圧倒的な存在感と確かな実力、華やかさとしなやかさをあわせ持つトップスター・翼和希。翼率いるOSK日本歌劇団が、大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで、大阪愛が詰まったレビュー「EXPO2025!! REVUE OSAKA」を上演中だ。荻田浩一が総合演出を務める本作では、第1部「菊秋萬白蘭盛宮(あきはよろずのはなのにぎわい)」で日舞、第2部「METROPOLIS」で洋舞を軸にしたステージが展開。大阪の過去、現在、未来、さらに地球のこれからまでをも感じさせる「EXPO2025!! REVUE OSAKA」とは一体どんな作品なのか。ステージナタリーでは、作品の見どころを舞台写真とともにレポートする。

構成・/ 熊井玲

日本の秋から時空間を超えた世界へ、日舞レビュー「菊秋萬白蘭盛宮」

OSK日本歌劇団のレビュー「EXPO2025!! REVUE OSAKA」が9月19日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開幕した。本作は、「大阪・関西万博」開催時に、国内外からの来阪者に大阪の文化芸術を楽しんでもらうことを目的に実施される「大阪国際文化芸術プロジェクト」の1プログラム。タイトルに“OSAKA”を掲げる本公演では、荻田浩一が総合演出を務め、大阪の人や歴史、人、カルチャーなどをふんだんに盛り込んだシーンが展開する。

第1部は、日舞レビュー「菊秋萬白蘭盛宮」。琴の音とともに暗転し、拍子木の音で再び明かりが入ると、菊の黄色がまず目に飛び込んできた。“花ざかりのOSK”という歌詞の通り、山吹や藍など落ち着いた色彩の装束を身にまとった人々が穏やかな笑顔を交わし合う中、中央には武士の長者(翼和希)と菊の御方(千咲えみ)の姿が。舞台後方の大きなスクリーンに、幾重にも折り重なった菊の絵が映し出されると、劇場内は一気に秋の風に包まれた。そのまましっとりとした曲調に変わると、帽子に紅葉の小枝を挟んだ翼が再び舞台に姿を現す。すると今度は舞台一面に紅葉の絵が広がって、秋の深まりを感じさせた。華やかでありつつ儚さ、切なさといった日本の秋の美しさを感じさせる印象的なプロローグに、グッと心をつかまれる。

「EXPO2025!! REVUE OSAKA」より。

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第1部ではその後、山へ狩りにやってきた平維茂(天輝レオ)と菊理姫実は鬼女(千咲)との攻防、冷たさと妖艶さを併せ持つ菊慈童(翼)が魅せる魔性の世界など、幻想的なシーンが展開。また「EXPO2025!! REVUE OSAKA」の文字と共に始まった4場「この地球の続きを」では、白地に赤の格子、煌びやかな青の帯を締めた翼を中心に、色違いの格子柄の着物を着た面々が、手話を交えた振りで、未来への希望を込めて、明るく舞い踊った。さらに荒海の中で繰り広げられる磯女と知盛のやり取り、ゆったりと軽快な動きが印象的な「鳩間節」、素早く激しい動きが集団力の力強さを感じさせる「魂をコンドルにのせて」と、エネルギッシュかつ多彩なシーン展開で、一気に第1部のラストまで駆け抜けた。

大阪の今、地球の未来を感じさせる洋舞レビュー「METROPOLIS」

「EXPO2025!! REVUE OSAKA」より。

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第2部「METROPOLIS」では一転して、洋舞を軸としたレビューが繰り広げられる。スタイリッシュなデザインが目を惹く、モノトーンの衣裳が印象的な1場「蜃気楼都市」「MIRAGE CITY」では、紳士と淑女が夢のように優美なステップを繰り広げる。
しかし2場「OSAKA METROPOLIS」では、見慣れた看板が並ぶ、現代の大阪の街の風景が映し出され、翼扮するリーマンが仕事にあくせくする姿や、千咲演じる可憐なマドンナと出会い、距離を縮めていく様がダンスで描かれる。

……が、以降は予想を超えた展開に! リーマンに失恋した可憐なマドンナは、大阪の“OBACHANG”たちからヒョウ柄のベストを受け継ぎ、アメちゃんをもらい、たくましく大阪ナイズしていくのだった! このシーンでは、先ほどまでうっとりと舞台を観ていた観客も、思わず笑い声を上げていたほど。さらにNANIWA ROCKETのエネルギッシュなラインダンスが、会場を沸かせた。

続く3場では一気に時間が進み、ロボットたちの世界へ。翼演じるロボット・The Manは、人間とロボットでは持っている時間の長さが違うことを知り、誰もいない世界で1人、あふれる思いを歌に託すのだった……。
「EXPO2025!! REVUE OSAKA」より。

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フィナーレは、男役・娘役ともに真っ赤な衣裳で登場。情熱的な音楽に娘役がドレスの裾をはためかせると、まるで本当にメラメラと炎が燃えているようだった。またフィナーレでは、OSKの群舞の美しさが際立つ。的確にフォーメーションを変えながら、一糸乱れることなく踊り続けるその姿は、OSKのダンス力、団結力が感じられ、胸が熱くなる。さらに翼、千咲を含めたスターたちが客席通路に降りてきて、観客の至近距離で歌声を響かせたほか、ラストはおなじみの「桜咲く国」で、舞台上にピンクのパラソルの花が咲いた。

劇中、さまざまな“大阪らしさ”が登場する本作について、翼は初日前の会見で「大阪らしい、OSKらしいレビューショーを作っていただきました」と語った。しかしまさにOSKこそ、大阪を象徴する存在の1つではないか。OSKが生み出すレビューの懐の広さ、粋さ、きらびやかさ、温かさを臨場感たっぷりに感じられる「EXPO2025!! REVUE OSAKA」。大阪やOSKを愛する人はもちろん、大阪をもっと身近に感じてみたい人に、ぜひ体感してほしい。公演は9月23日まで行われる。

OSK日本歌劇団「EXPO2025!! REVUE OSAKA」

EXPO2025!! REVUE OSAKA

開催日程・会場

2025年9月19日(金)~23日(火・祝)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

スタッフ

第1部 日舞レビュー「菊秋萬白蘭盛宮」

演出:荻田浩一

第2部 洋舞レビュー「METROPOLIS」

演出:荻田浩一

出演

翼和希 / 千咲えみ / 華月奏 / 城月れい / 天輝レオ / 壱弥ゆう / 唯城ありす / OSK日本歌劇団

公演・舞台情報

OSK日本歌劇団(オーエスケーニホンカゲキダン)

OSK日本歌劇団ロゴ

松竹創業者の白井松次郎の発案により、1922年4月に松竹楽劇部として大阪に誕生。23年に関西初の洋式劇場となる大阪松竹座のこけら落としで「アルルの女」を上演し、26年には以降恒例となる「春のおどり」を開催する。宝塚歌劇団、姉妹劇団の松竹歌劇団(SKD、1928~1996年)と共に、日本三大少女歌劇の1つとして日本のレビュー文化を牽引し、笠置シヅ子、京マチ子、秋月恵美子らのスターを輩出した。2003年に一時解散するがOSK存続の会が立ち上げられ、2004年に大阪松竹座にて存続の会旗揚げ公演「春のおどり」を上演。2007年に現在のOSK日本歌劇団に改称し、52年ぶりに京都・南座公演を行う。2013年には73年ぶりに「春のおどり」東京公演を日生劇場で実施し、2014年には東京・新橋演舞場で「夏のおどり」を上演。以降、新橋演舞場での公演が定期的に続いている。2022年に劇団創立100周年を迎えた。

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