The Novembersが歩んだ20年の軌跡、憧れの渋谷公会堂から新たな“いい未来”へ

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The Novembersのワンマンライブ「Your November」が11月20日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催された。

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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2005年に結成し、今年で20周年を迎えたThe Novembers。バンド名にちなみ毎年11月には特別なライブを行ってきたが、今年は彼らが長年憧れを抱いていた渋谷公会堂を舞台に、初のホール会場でのワンマンを繰り広げた。チケットはソールドアウトを達成し、11月11日には上條淳士のマンガ「To-y」より、渋谷公会堂が登場するシーンを用いたコラボビジュアルを公開。当日の会場もこの場面と同じく、開場時間前から多くの観客でごった返していた。

The Novembersと「To-y」のコラボビジュアル。

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そうさ とことんまで行け

2016年に東京・新木場STUDIO COASTで行われた結成11周年ワンマン「Hallelujah」や、今年結成記念日の3月28日に栃木・HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2で開催されたワンマン「The Novembers 20th Aniversary -バースデイ-」など、The Novembersにとって重要なライブは荒天になることが多かった。一方で本公演当日は、バンドの晴れ舞台を祝うかのように、秋のさわやかな風が感じられる晴天となった。

hide with Spread Beaverの「HURRY GO ROUND」、L'Arc-en-Cielの「Cradle」など、The Novembersに多大な影響を与えたバンドの楽曲がBGMとして流れる中、「Hallelujah」冒頭のギターフレーズがかすかに聴こえ始める。間髪入れずに小林祐介(Vo, G)のハミングがフロアを包み込むと、ステージ前方の透明な緞帳を隔てた先には、The Novembersの4人がスタンバイしていた。彼らはオーディエンスから割れんばかりの歓声を受けながら、記念すべき渋谷公会堂ワンマンの幕を開けた。

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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そっと静かに どこまでも激しく

「GIFT」の演奏に入ると透明な緞帳が開かれ、舞台上が大量のスモークに覆われていく。その景色は幻想的なサウンドと相まって、どこか非現実的な様相を呈していた。このムードを維持するように、The Novembersはバンド独自の美学を端的に示した「美しい火」、シンセポップ調のアレンジが冴え渡る「Morning Sun」など、美しさと力強さを兼ね備えた楽曲を次々と披露。観客たちをリードするように、圧倒的な存在感を存分に表した。

穏やかなスローチューン「アマレット」、ドリーミーで浮遊感に満ちた「Misstopia」といった初期曲が続く中、「dysphoria」からはThe Novembersのダークかつ凶暴な側面が徐々に表出。高松浩史(B)と吉木諒祐(Dr)によるうねりながらもボトムの効いたリズム、ケンゴマツモト(G)のかき鳴らすノイジーな即興ギター、小林が全力で振り絞るシャウトがぶつかり合い、禍々しさをも感じさせる緊張感が張り詰めた。

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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なんて美しい日々なんだろう

4人が生み出す異様な雰囲気はとどまるところを知らず、Suicide「Ghost Rider」カバーでは原曲のミニマルなサウンドを踏襲しつつ、体に強い振動を感じさせるほどの轟音を巻き起こした。そこから「楽園」では民族音楽からの影響を感じさせるプリミティブな要素が盛り込まれ、芸能山城組「KANEDA」のカバーへとシームレスに移行。よりダンサブルな「New York」では小林のアジテーションに応え、観客たちは思い思いに体を揺らしていた。

MCを挟まずノンストップで「BOY」まで演奏を終えると、小林は渋谷公会堂に対する思い入れを語り、「多くの先人たちが通過地点にしてきた、この会場でライブを行うことを目標にしてきました。たくさんの人が集まってくれて光栄です」と感謝の思いを明かす。さらに「今日まで過ごしてきた時間や日々に対し、『俺たちこれでよかったよね』という思いを込めます」と告げ、本編ラストナンバー「今日も生きたね」の演奏を開始。4人は20年間の軌跡を振り返りつつ、お互いを称え合うように音を重ねた。

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」の様子。(Photo by Yosuke Torii)

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愛なき世界を 爆音で震わせる

およそ1時間半にわたるライブを終え、万雷の拍手を浴びたThe Novembersは、感慨深い様子でフロアを一望。互いに笑みを交わして談笑し、ワンマンの余韻を味わっていた。しばらくして自身の持ち場に戻った小林は「最後に1曲、一番大きな音を出します」と宣言し、壮大なスケールで迫る「いこうよ」をアンコールでプレイ。ホール中にありったけの爆音を炸裂させ、これからも突き進んでいくバンドの未来を堂々と示した。

これ以上ないフィナーレを飾った4人は、バンドの出囃子として恒例のジーン・ケリー「Singin' in the Rain」をバックに、肩を組んで一礼。そして小林は「またいい未来で会いましょう!」とおなじみの挨拶を交わし、大舞台の幕を下ろした。

全楽曲の演奏を終え、礼をするThe Novembers。(Photo by Yosuke Torii)

全楽曲の演奏を終え、礼をするThe Novembers。(Photo by Yosuke Torii) [拡大]

「Your November」の模様は2026年3月にスペースシャワーTVにて放送。詳細な放送日時は追ってアナウンスされる。またThe Novembersの公式WEBストアでは、会場で販売されたぬいぐるみ「ほろ酔いのともだち」「ともだち」の受注販売を受け付けている。各ぬいぐるみは2026年1月中旬から順次発送される予定だ。

ほろ酔いのともだち(左)とともだち(右)。(Photo by Masami Kikuchi)

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セットリスト

「The Novembers 結成20周年記念公演『Your November』」2025年11月20日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

01. Hallelujah
02. GIFT
03. 美しい火
04. Morning Sun
05. Rainbow
06. アマレット
07. Misstopia
08. ANGELS
09. dysphoria
10. Hamletmachine
11. 再生の朝
12. Ghost Rider
13. 楽園~KANEDA
14. New York
15. BOY
16. 今日も生きたね
<アンコール>
17. いこうよ

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きでひ(´ω`) @hidetener

ともだち可愛すぎる笑 https://t.co/9kz0DjESWd

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