日本デビュー4周年記念日、1曲目から花火
日中は気温が35℃近くまで上がったものの、夕方に差しかかる頃には日差しもやや和らぎ、味の素スタジアムには心地よい風が吹き抜けていた。開演時間が近付くと、壮大なバンドサウンドが会場の高揚感を煽り始め、やがてスタジアム中央に据えられたステージセットがゆっくりと回転。そこに姿を現したENHYPENのメンバーは、グループがアンバサダーを務めるPRADAのロゴがさりげなくあしらわれた、シックなオールブラックの衣装に身を包んでいた。
7月6日は味の素スタジアム公演の最終日であると同時に、日本デビュー4周年記念日という記念すべき1日。そんな“始まりの日”のオープニングを飾ったのは、「Brought The Heat Back」だった。楽曲が終盤に差しかかるとスタジアム上空には豪快な花火が打ち上がり、花火の爆音とそのパワーに呼応するようにENGENE(ENHYPENファンの呼称)はかけ声をより大きく、高く響き渡らせた。
ENHYPENとENGENEは一生一緒
オープニングを終えると、メンバーはENGENEに向けて次々と和やかな挨拶や公演の意気込みを述べていく。NI-KI(ニキ)は「ENGENE、元気だった? 僕は昨日の公演の余韻で眠れなかったんですけど……ENGENEの皆さんはいい夢を見れましたか?」と優しく語りかけ、SUNOO(ソヌ)は「今日もENGENEだけを見つめるSUNOOです」と自己紹介しつつ、「真夏の夜の夢のような、素敵な時間をお届けします」とロマンチックなメッセージを送る。JUNGWON(ジョンウォン)は日本デビュー4周年を迎えた喜びを口にしつつ、「今日はデビュー当時と同じ気持ちで、昨日に続いて素敵なパフォーマンスを用意しました」と語り、特別な夜になることを予感させた。
ひと際観客の心をつかんだのが、JAY(ジェイ)による“宣誓”。「ParadoXXX Invasion」のロゴがプリントされた紙を掲げた彼は、「1! ENGENEとENHYPENが一緒だ! 暑さもいい!」「2! 日本でのデビュー4周年。よりももっと! これからも永遠を約束!」と高らかに声を上げる。JAYに呼応するように観客席のENGENEもその言葉を繰り返し、スタジアムに一体感が広がっていく。最後に彼が「僕たちと一生一緒になれる準備ができたENGENEは、叫べー!」と投げかけると、割れんばかりの歓声が沸き起こった。
ウォーターキャノン連続発射
JAYが手に持っていた紙を投げ捨てたタイミングで、ENHYPENはそのまま「ParadoXXX Invasion」のパフォーマンスへ。JUNGWONの「皆さんがひんやり涼しくなるような演出も用意しましたよ!」という言葉通り、ステージの序盤、ステージ前方から勢いよくウォーターキャノンが噴き出し、水しぶきが会場上空に舞う。クライマックスでHEESEUNGが「みんな叫べ!」とシャウトすると今度は前方だけでなく客席後方からもウォーターキャノンが発射され、夏のスタジアムらしい爽快な演出がステージを彩った。
「Tamed-Dashed」や「Go Big or Go Home」など、以降の楽曲でもウォーターキャノンは繰り返し登場。さらに「Your Eyes Only」「Orange Flower(You Complete Me)」では、メンバーがトロッコに乗ってアリーナ外周を巡りながら、手にした水鉄砲でENGENEに向けて水を放つなど、猛暑の中でステージを楽しむ観客の暑さを和らげるような演出が繰り出された。
多彩な演出はさらに続き、ステージ前方が激しく燃え上がった「Given-Taken」や無数のマイクに囲まれた講壇のセットに立つJUNGWONの力強い歌唱で始まった「Future Perfect(Pass the MIC)」をはじめ、それぞれの楽曲に込められた世界観が照明や特効を駆使したダイナミックな演出によって鮮やかに表現されていく。また「Blessed-Cursed」ではJAYのギター、「XO(Only If You Say Yes)」ではHEESEUNG(ヒスン)のピアノ演奏が行われるなど、メンバーが持つ多彩な才能も余すことなく演出に盛り込まれていた。
1つひとつの星に向けて
ライブの終盤では、メンバーそれぞれが公演の感想とENGENEへの思いを順々に述べていく。JUNGWONは「コロナの時期に300人のオーディエンスの方々の前でスタートしましたが、今こうやって数万人の皆さんの前に立てています」と穏やかな表情で述べ、JAKE(ジェイク)は、「こんなふうに多様な方々でいっぱいのこの会場で楽しく公演をすることができたことで、この仕事に対して改めて胸がいっぱいになっています」と、老若男女、幅広い年代のENGENEと公演をともにした喜びを感慨深げに語った。
HEESEUNGは「ENGENEの皆さんが見ていらっしゃらないところで、僕たちはさまざまな紆余曲折がありましたし、大きな失敗もありました。そんなときにはいつもENGENEの皆さん思いを馳せながら、『今、がんばってるんだ』というふうに踏ん張ることができたと思います」と吐露。そして無数のENGENE棒(ENHYPENのペンライトの呼称)が果てしなく広がる会場を一望し、「今見えているこの景色はまるで星のようなんです。この1つひとつの星によりよい影響を届けられる人になれるように努力していきたいと思います」と、まっすぐな眼差しで宣言した。
手紙と誕生日ケーキ
次々とメンバーがコメントを述べる中、NI-KIは「ENGENEに向けて手紙を書いてきました」と明かし、ファンだけでなくメンバーも驚かせる。NI-KIが手紙を読み上げている間、スクリーンには彼の達筆な文字でつづられた文面が映し出されていた。なおNI-KIはコメントを終えたあと、手紙をひらひらと揺らしながら「これ、ほしい人?」と照れたように呼びかける、愛らしい一面も見せた。
NI-KIの粋なサプライズによって感動ムードに包まれた会場。するとJUNGWONが「僕も用意しました!」と声を上げ、ステージ後方に視線を向ける。その視線の先からは、軽やかでハッピーな音楽を奏でるバックバンドの演奏とともに、美しいネイビーブルーの巨大なケーキが登場。まるで夏の夜空のようなケーキを前に、メンバーが“4歳”の誕生日を祝うバースデーソングを歌い出すと、ENGENEも阿吽の呼吸で歌声を重ね、会場全体がひとつになって記念すべき一日を祝福した。
本編終了後、2023年リリースの人気日本語曲「BLOSSOM」を皮切りに公演はアンコールへ突入。メンバーはステージの端から端まで軽やかに駆け巡ったのち、再びトロッコに乗り込んで客席をゆっくりと移動。ラストの瞬間までENGENEとのかけがえのない時間を慈しむように、笑顔でステージをあとにした。
メンバーの最後の挨拶全文
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