THE BACK HORN、“ホームであり原点”の歌舞伎町から踏み出した新たな一歩

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THE BACK HORNの全国ツアー「THE BACK HORN『KYO-MEIワンマンツアー』~Dear Moment~」が6月8日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)にてファイナルを迎えた。

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)

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深い深いライブハウスでディープな夜に

1月にリリースした最新アルバム「親愛なるあなたへ」を携え、2月から全国19カ所を回ってきたTHE BACK HORN。山田将司(Vo)の足の負傷などのハプニングを乗り越えファイナルへと辿り着いた彼らが1曲目にセレクトしたのは、アルバムのオープニングナンバーでもある「親愛なるあなたへ」だ。山田は「親愛なるあなたへ歌うよ」という歌詞をオーディエンスに届けてライブの幕開けを飾った。

山田将司(Vo)(撮影:西槇太一)

山田将司(Vo)(撮影:西槇太一)[拡大]

菅波栄純(G)(撮影:西槇太一)

菅波栄純(G)(撮影:西槇太一)[拡大]

「Running Away」「Mayday」がドロップされたあと、「暗闇でダンスを」からはディープで混沌とした楽曲が立て続けに披露される。「透明人間」では松田晋二(Dr)の性急なビートのうえで山田がまくし立てるように歌い、観客も拳を突き上げて呼応。新たなライブアンセムの誕生を予感させた。「コワレモノ」では菅波栄純(G)が「神様だらけの」「スナック」のコール&レスポンスを繰り広げ、「ジャンクワーカー」ではめまいを覚えさせるような山田のリバーブのかかった歌声が場内にこだまする。また男女の色恋のもつれを描いた「修羅場」では岡峰光舟(B)がお立ち台に上がり、高速タッピングやスラップで観客の狂騒に拍車をかける。その様子を見た松田は、会場のZepp Shinjuku(TOKYO)のフロアが地下4階にあることについて触れつつ、「深い深いライブハウスでディープな夜になってます」と笑顔を見せた。

新機軸のアルバム楽曲群

MCでは、20数年前に歌舞伎町に入り浸っていたという4人が思い出話に花を咲かせる。山田がドン・キホーテでギターを買い新宿コマ劇場前で弾き語りをしていたこと、岡峰がボウリング場にベースを置き忘れてきたこと、当時新宿LOFTでバイトしていた岡峰に菅波が血まみれの手でドリンク引換券を差し出してきたことなどが語られ、松田が「歌舞伎町はある種ホームというか原点ですね」と締めくくった。

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)[拡大]

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)

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続くブロックはMC前とは打って変わって穏やかで心温まるアルバムの収録曲が並ぶ。モータウン調の「光とシナジー」では黄色いライトに照らされた空間でファンが手拍子を打ち鳴らし、幸せなムードが充満する。裏打ちのレゲエ風味のギターを基調とした「ヘッドフォンチルドレン」がブリッジとなり、THE BACK HORNには珍しいスカナンバー「SUN GOES DOWN」へとつながると、夕日を模した照明でオレンジ色に染まったオーディエンスが気持ちよさそうに体を揺らす。時間の経過を表すように「月夜のブルース」でライトは青に変わり、観客はアダルトなバラードナンバーにじっと聴き入った。このブロックを締めくくったのは「目覚めると俺は / 夜の底まで / 落ちていたよ / 真っ暗な部屋の中」という歌い出しで始まる「空、星、海の夜」。地下深いライブハウスに集まった観客は菅波の力強いストロークによる轟音を浴び、大歓声で喜びを表現した。

興奮冷めやらぬ中ダブルアンコールへ

岡峰光舟(B)(撮影:西槇太一)

岡峰光舟(B)(撮影:西槇太一)[拡大]

松田晋二(Dr)(撮影:西槇太一)

松田晋二(Dr)(撮影:西槇太一)[拡大]

山田が「ライブってこの瞬間にすべてをかけて、みんなもエネルギーを返してくれて、それがあるから27年も続けることができました。これからもまだまだTHE BACK HORNは続いていきます。これからも、ともに歩んでいきましょう!」と語り、ライブはラストスパートへ。バグパイプを取り入れたアイリッシュパンク「グローリア」で一気にギアを上げた4人は、「戦う君よ」でその勢いをさらに加速させる。岡峰がかがみ込むような姿勢からタッピングを繰り出して始まる「太陽の花」では松田も椅子から立ち上がってオーディエンスを煽り、息つく暇もなくキラーチューン「コバルトブルー」へなだれ込むという怒涛の展開を見せる。4人が放つサウンドが渾然一体となってフロアに襲いかかり、オーディエンスも負けじとモッシュしたり拳を突き上げたりして会場の熱気は最高潮に。そして菅波のオクターブ奏法によるストロークがまるで光のシャワーのように降り注ぐ「タイムラプス」で本編は終了した。

THE BACK HORN(撮影:西槇太一)

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アンコールでは松田が「最高です! みんなのおかげで素晴らしいファイナルになりました」と破顔し、充実感を滲ませる。そして頭サビの爆発力満点の「刃」で再び観客のボルテージを最高潮に引き上げ、アルバムのラストを飾る「明日世界が終わるとしても」をドロップ。光に包まれるような幸福感の中でツアーを締めくくった。かに思われたが、興奮冷めやらぬファンたちは再度アンコールを求める手拍子を打ち鳴らす。その声に応えて急きょダブルアンコールとして「無限の荒野」が届けられ、4カ月におよんだツアーの幕は大団円を迎えた。

なおTHE BACK HORNは6月14日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にてワンマンライブ「THE BACK HORN『爆音夢花火 2025』~LAST 野音 NIGHT~」を開催する。

セットリスト

「THE BACK HORN『KYO-MEIワンマンツアー』~Dear Moment~」2025年6月9日 Zepp Shinjuku(TOKYO)


01. 親愛なるあなたへ
02. Running Away
03. Mayday
04. 暗闇でダンスを
05. 透明人間
06. コワレモノ
07. ジャンクワーカー
08. カラス
09. 修羅場
10. 光とシナジー
11. ヘッドフォンチルドレン
12. SUN GOES DOWN
13. 月夜のブルース
14. 最後に残るもの
15. 空、星、海の夜
16. グローリア
17. 戦う君よ
18. 太陽の花
19. コバルトブルー
20. タイムラプス
<アンコール>
21. 刃
22. 明日世界が終わるとしても
<ダブルアンコール>
23. 無限の荒野

公演情報

THE BACK HORN「爆音夢花火 2025」~LAST 野音 NIGHT~

2025年6月14日(土)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

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THE BACK HORN @THEBACKHORNnews

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THE BACK HORN
「KYO-MEIワンマンツアー」
〜Dear Moment〜

6/8(日)at Zepp Shinjuku
「ナタリー」
https://t.co/W0eub3HSZQ

#ナタリー #DearMoment
#THEBACKHORN #バックホーン #バクホン https://t.co/wWpcvQ502b

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