「バンド人生で一番だった」増子兄ィ男泣き!怒髪天が愛する“宝物”と一緒に歌った最高の夜

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怒髪天が5月から開催していたライブツアー「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」の最終公演が、7月14日に東京・新宿BLAZEで行われた。怒髪天は“笑撃的”なアーティスト写真も話題を呼んだ最新アルバム「more-AA-janaica」を携えて2カ月にわたり全国を行脚し、アルバム収録曲の「OUT老GUYS」を体現するかのごとく、奔放で暑苦しいパフォーマンスを各地で展開。ツアーファイナルの舞台となった新宿BLAZEには4人がツアーを完走する現場を見届けるべく多くのファンが集まり、フロアはすし詰めで蒸し風呂状態となった。

増子直純(Vo)(撮影:西槇太一)

増子直純(Vo)(撮影:西槇太一)

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「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)

「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)[拡大]

増子直純(Vo)(撮影:西槇太一)

増子直純(Vo)(撮影:西槇太一)[拡大]

おなじみのSE「男祭」がスピーカーから高らかに響き、増子直純(Vo)、上原子友康(G)、清水泰次(B)、坂詰克彦(Dr)が大漁旗の前に現れると、野太い歓声が会場を揺らす。コロナ禍には一切耳にすることのできなかった観客の声を一身に浴びた4人は「一択逆転ホームラン」を豪快に奏で、ツアーファイナルの口火を切った。ライブの定番曲「酒燃料爆進曲」で観客が手にした杯を高く掲げ、堰を切ったように大歓声をあげると、増子は感無量の様子で満員のフロアを見渡す。そして「すでにグッときております」と瞳を潤ませ、「新曲はみんなで歌って完成だから!」と宣言した。

上原子友康(G)(撮影:西槇太一)

上原子友康(G)(撮影:西槇太一)[拡大]

清水泰次(B)(撮影:西槇太一)

清水泰次(B)(撮影:西槇太一)[拡大]

続けて4人は清水のシンプルだが存在感のあるファンキーなベースや、哀愁たっぷりの増子のボーカルが映える「more-AA-janaica」の収録曲「ジャナイWORLD」をプレイ。その後もバンドの真骨頂ともいうべき、大人の哀愁と喜び、社会問題に切り込んだ痛烈かつユーモアたっぷりの“R&E(リズム&演歌)”ナンバーを怒涛の勢いで投下していく。中盤では上原子の切れ味の鋭いギター、清水の鼓膜を震わせるような重低音、坂詰が刻むタイトなビート、増子の怒気をはらんだ声が渾然一体となって轟くヘヴィロックチューン「OUT老GUYS」で、現在の怒髪天の在り方をオーディエンスの目と耳に刻み付けた。一方の観客はピースサインを高く掲げ、拳を天井に向かって突き上げ、はたまた3年半溜め込んだ切なる思いを歓声に乗せ、ステージ上の4人に届けた。

坂詰克彦(Dr)(撮影:西槇太一)

坂詰克彦(Dr)(撮影:西槇太一)[拡大]

怒髪天のスタンスをこれでもかと詰め込んだ「オトナノススメ」でフロアの心をひとつにまとめ上げたところで、増子による独壇場のトークがスタート。「最高すぎる!」と会場の盛り上がりを絶賛した彼は、コロナ禍に直面した悲喜交々を回顧しながら「こんなに待っててくれる人がいっぱいいて、胸がいっぱい」と万感の表情を浮かべる。そして「曲でしか気持ちは伝えられない! 最新最高のセットリストでツアーをやってきました」と述べつつ、「SNSで『クソ曲と名曲のアンバランス感がすごい。どういう気持ちで見たらいいのかわからない。でもけっこう楽しかった』みたいな書き込みを見てしまった」とユーモアを交えて報告。しかし、次の瞬間には「クソ曲って何? 名曲しかないよ!」と胸を張り、その名曲たちを同郷の友人たちがスナックで歌っているという心温まるエピソードを披露。さらにファンに向けての愛情を爆発させ、「俺らはファンの愛情にすがってるかわいい生き物。ピクミンですよ!」と自分たちを人気ゲームのキャラクターに例えて会場に爆笑の渦を巻き起こした。

「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)

「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)[拡大]

「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)

「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」新宿BLAZE公演の様子。(撮影:西槇太一)[拡大]

そんなMCから続いたのは、歳を重ねたことで見つけた“宝物”について歌った「たからもの」。怒髪天の4人は愛おしそうな表情で自分たちの宝物である観客1人ひとりを見つめながらこの曲を奏で、温かな空気でライブハウスを包み込んだ。「欠けたパーツの唄」「杉並浮浪雲」「はじまりのブーツ」「孤独くらぶ」という懐かしいナンバーを盤石のアンサンブルで披露したのち、増子が再び口を開く。「『1曲目から泣きました。号泣して観てられませんでした』とか観に来た人が書くことなんだよ! 自分で歌って、自分で泣いてるんだもん」とライブ序盤から泣いていたことを告白。「目の前に好きな人がいてカッコつけてられない!」となりふり構わず全力投球のパフォーマンスを繰り広げる理由を熱弁し、「うれしいからメンバー紹介しちゃう」と苦楽をともにする上原子、清水、坂詰を紹介した。ときには風刺混じりのシニカルなメッセージも歌い上げる怒髪天だが、ライブの終盤に披露したのは「Go自愛」や「セイノワ」といった真摯でポジティブな思いを刻んだロックチューンの数々。ラストナンバーとして自分たちのスタンスを「美学」に乗せて高らかに響かせたあと、増子は「生きててよかった、そんな夜を探して」と盟友フラワーカンパニーズの名曲「深夜高速」のワンフレーズを引用するも、「……いや探さない。ここにある! 今までのバンド人生で一番の夜だった」と熱烈な盛り上がりを見せたこの日のライブを絶賛。そして「生きてまた会おうぜ!」という再会を約束する言葉が、新宿の地下の一角から力強く響いた。

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怒髪天「more-AA-janaica TOUR ~もうええじゃないか、もう~」2023年7月14日 新宿BLAZEセットリスト

01. 一択逆転ホームラン
02. 100万1回ヤロウ
03. 酒燃料爆進曲
04. ジャナイWORLD
05. 天誅コア
06. HONKAI
07. 愛の出番だ!
08. 令和(狂)哀歌~れいわくれいじぃ~
09. GREAT NUMBER
10. SADAMETIC 20/20
11. OUT老GUYS
12. 押忍讃歌
13. オトナノススメ
14. たからもの
15. 欠けたパーツの唄
16. 杉並浮浪雲
17. はじまりのブーツ
18. 孤独くらぶ
19. ジャカジャーン!ブンブン! ドンドコ!イェー!
20. セイノワ
21. Go自愛
<アンコール>
22. 美学

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読者の反応

けーたろう @yukarih68

読んでたら涙が。
本当に素晴らしいライブでした。
長男もめちゃくちゃ感動してて忘れられないライブになりました。
写真も最高💕

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