THE BACK HORN、怒濤のバンド史上最長ツアー無事終幕
2009年5月1日 14:10 1
最新アルバム「パルス」リリース後からスタートし、計52本というバンド史上最長ツアーとなった今回のツアー。その終わりを見届けるべく数多くのファンが詰めかけ、スタンディング形式のアリーナはもちろん3階席まで埋まるほどの大盛況となった。
会場の興奮が飽和状態となった頃、会場の客電が静かに落ち、ライブはスタート。青白いライトがステージを照らす中物々しいSEが鳴り響き、オーディエンスはドラムのリズムにあわせて手拍子を鳴らす。美しく統制の取れた拍手に迎えられ、メンバー4人が姿を現すとホールには大歓声が沸き起こった。
緊張をほぐすようにステージで体制を整えるメンバーを前に、待ちわびたファンの声がホールいっぱいにこだまする。その声に応えるように、1曲目として鳴らされたのは「パルス」の冒頭を飾る「世界を撃て」。ライブの幕開けにふさわしいヘヴィかつ激しいナンバーで一気に攻めていく。その攻撃モードは2曲目の「グラディエーター」でさらに加速し、肉体に訴えかけるようなサウンドがフロアを揺らす。「ブラックホールバースデイ」ではボルテージの上がった岡峰光舟(B)がモニターの上に乗り、観客を煽ったかと思えばステージを縦横無尽に練り歩く。その一方で、山田将司(Vo)は身体全体を使い、歌詞を噛みしめるように歌い上げていった。
そんなシリアスなムードも松田晋二(Dr)の福島弁のMCで一変。松田は「10月から始まったツアーですが、52本というバンド史上最長ツアーでございまして、今日でツアーファイナルでございます」と優しくかしこまった口調で会場を和ませる。
中盤では山田の妖艶な歌声が耳に絡みつく「白夜」に続き、禍々しい真っ赤なライトを浴びながら演奏された「フロイデ」で雄々しいコーラスと客席のコールが重なり一体感を生み出す。岡峰、菅波、山田の3人は積極的にステージ前にせり出し観客を挑発しては、拳を上げるオーディエンスの姿に表情で呼応する。そして、本編のちょうど中盤に披露された「アカイヤミ」でライブは1度目のピークを迎えた。
脳髄を刺激するようなギターフレーズから始まった「アカイヤミ」は、曲が進むごとに激しさを増し、間奏で岡峰と菅波は即興でセッションを展開。スリリングかつ鬼気迫るパフォーマンスを観客が固唾を飲んで見守る中、山田が途中から菅波のギターのネックにすがりつくように弾き始め、気付けば菅波からギターを奪いギターコードをかき鳴らしオーディエンスを煽情する。一方の菅波はのけぞりながら雄たけびを上げたかと思えば、フロアに向かって指揮をする仕草を見せたり、マイクスタンドを掲げ絶叫したりと奔放に暴れる。曲の終盤では岡峰がベースをフロアに差し出しファンの手で弾かせ、菅波が客席に飛び込む冷や汗ものの瞬間も。その後も4人は攻撃態勢を崩さず、「人間」「罠」と重々しいナンバーでたたみ掛けオーディエンスを圧倒する。
「罠」を演奏し終えた後には静けさが広がり、繊細なシンバルの音色とギターのやわらかなアルペジオに導かれ「生まれゆく光」がスタート。優しい声が会場を大きく包み込み、岡峰も菅波もさっきまでの暴れモードを封印。一音一音を丁寧に紡いでいく。歌い終えた山田は「どうもありがとう」と一言だけ放つと、さざめくような拍手が起こった。
2度目のMCコーナーで松田は「昨年「パルス」というアルバムを出しました。瞬間的に感じたものを形にした生々しいアルバムができて満足しています」「(ツアーでは)全国でいろいろな反応があって、このライブで完成すると思ってます。「パルス」というアルバムを楽しんでもらいたいと思います」と、改めてアルバムやライブに対する思いを語る。
しかし、真面目一色な語りではいけないと思ったのか「グダグダMCをします」と宣言し、メンバーに「ツアーはどうでしたか?」とロングツアーの感想を求める。だが、菅波は笑顔でうんうんと頷くだけで「マイク使って喋ってくれますか?俺しかマイク使ってない」と松田から注意を受ける始末。それを受け「楽しかったです。まだ(ツアー)は終わってないけどね」と発言するも、照れ隠しかムーディーなギターを弾きだし誤魔化す仕草も。そんな中、おもむろに山田は「今日は何食べたんですか?」とメンバーに振ったりと始終ダルダルなMCを繰り広げる。あまりのゆるさに業を煮やした松田は「結局中身があることを喋ってない……」とボソリとつぶやき、リーダーらしくゆるみきった空気を正すように「感じるものがたくさんあったツアーなので、今後を楽しみにしてほしいです」と締めくくり後半戦へと繋げた。
後半は「蛍」からスタートし、「サニー」「声」などTHE BACK HORNの中でも疾走感あふれるナンバーが次々と続く。本編ラストの「コバルトブルー」ではドライブ感とエネルギッシュなパフォーマンスでフロアを揺らす。その勢いはフロアにも伝染し、次々とクラウドサーファーたちがステージに向かって泳いでいく場面が見られた。
4人がステージから去っても会場の熱気はあがるばかり。即座にアンコールを求める拍手が起こり、メンバーが再び姿を現す。松田はアンコール前に「1コお知らせがあります」と前置きした後で、今回のツアーの模様が7月にDVD化されることをファンに報告。「自分たちでも観るのが楽しみなんですけど、52本のライブで感じてきたものが皆さんと共有できたらと思います」とアピールした。アンコール1曲目は「無限の荒野」。疾走感あふれる16ビートのリズムと明るいサウンドにあわせ、客席からは自然と合唱が沸く。和太鼓のような太いドラムに導かれ始まった「刃」では、オーディエンスの腕が一斉に掲げられ壮観な光景が広がった。
4人が火をつけた興奮は1回目のアンコール終了後も冷めず、自ずとダブルアンコールを求める拍手が起こる。改めてステージに戻ってきた山田は「今日は本当にここに集まってくれてありがとう」と改めて感謝を伝え、「本当の意味で「パルス」が完成するんだと思います。「パルス」をこれからもよろしく」と口にした。
静かなドラムに導かれ始まった「泣いている人」で、再び優しい空気で会場を包み込んだ彼ら。山田はひとつひとつの言葉を噛みしめながら歌を響かせ、間奏では感慨深げに空を仰ぎみる仕草を見せる。そしてチルアウトした雰囲気を切り裂くように「覚醒」のイントロが鳴り、いよいよライブはクライマックスへ。力を振り絞るように歌う山田の声は時折かすれ気味に。しかしそれを払拭するようにメンバーのアグレッシブなパフォーマンスにあわせて絶叫を繰り返し、ライブはいつも以上に攻めの1曲でライブは締めくくられた。
昨年は結成10周年という節目を迎え、ベスト盤のリリースや初の日本武道館ライブを開催するなどアニバーサリーイヤーを華々しく祝ったTHE BACK HORNの4人。しかし、その祝福ムードに流されることなく最新アルバム「パルス」を携えて小さなライブハウスからハードなツアーをスタートさせたのが昨年の10月のこと。「パルス」の世界観は約半年をかけてメンバーの肉体を通じて作り上げられ、この日ロングツアーに幕を下ろした彼らの背中からは、ツアーを終えた万感とネクストレベルへと足を踏み入れた気合がにじみ出ていた。
「『KYO-MEIツアー』~創造のパルス~」
2009年4月29日 JCBホール セットリスト
01. 世界を撃て
02. グラディエーター
03. ブラックホールバースデイ
04. 白夜
05. フロイデ
06. 赤い靴
07. アカイヤミ
08. 人間
09. 罠
10. 生まれゆく光
11. 蛍
12. サニー
13. 声
14. コバルトブルー
EN-01. 無限の荒野
EN-02. 刃
EN2-01. 泣いている人
EN2-02. 覚醒
リンク
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音楽ナタリー @natalie_mu
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