YU-Mエンターテインメント所属タレントと代表の山田昌治。

アイドルが考える、健康な心と体 (後編) [バックナンバー]

私たちの生理の乗り越え方と、新時代の根性論

みんなが生きやすくなる道の途中

19

811

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 215 553
  • 43 シェア

YU-Mエンターテインメント(以下、YU-M)所属の女性アイドルとYU-M代表の山田昌治が、「アイドルの心と体のヘルスケア」を考える座談会の後編。普段ステージ上で激しく歌って踊り、苦しむ姿を表に出さない女性アイドルたちは、どのように自分の体と向き合い、生理を乗り越えているのだろうか。山田とともに座談会に参加したのは、和田彩花、ぱいぱいでか美、アップアップガールズ(仮)の関根梓と鈴木芽生菜、アップアップガールズ(2)の鍛治島彩、アップアップガールズ(プロレス)のらく。男女間、女性間で相互理解を深めていくことは、生理というピンポイントの事象だけでなく、自分たちを取り巻く生活や健康、そして1人ひとりの“生きやすさ”につながっていくのではないかと、彼女たちは口をそろえる。後半では自身の具体的な生理の乗り越え方や、YU-Mが目指す新しい時代の根性論について話し合ってもらった。

取材・/ 羽佐田瑶子 撮影 / 小財美香子 構成 / 瀬下裕理

私の生理の乗り越え方。生理期間は「自分を思いっきり甘やかす」

観客が密集したライブハウスや炎天下での野外ライブ、MCなしのノンストップライブ。近年、スポーツ選手並みの運動量で汗だくになって歌ったり踊ったり、ストイックなステージパフォーマンスをするアイドルが増えている。しかも、ライブだけでなく握手会やリリースイベントなどでも稼働が続き、体を休ませる時間を作ることがなかなか難しいケースもあるだろう。多くのアイドルが出演するライブイベントでは、大変な場面に出くわすこともあるという。

「3年前、ライブ終わりの楽屋裏で、前を歩いていたアイドルのスカートが汚れていたことがありました。本人はまったく気付いていない様子だったので、『すみません、アプガ(2)の鍛治島と申します』と自己紹介をしながら、背後を隠すように急いで近付いて(笑)。同じタイミングで別のグループの子も気が付いて、協力プレイでトイレまでその子を連れていったことがあります。アイドル同士の絆を感じたし、そこからその子たちと友達になってLINEを交換しました」(アップアップガールズ(2)鍛治島彩)

「私も、以前出演したアイドルフェスで、名前も知らない子に生理用品をあげたことがあります。急に生理になって困っている、とメンバー同士でこそこそ話しているのが聞こえてしまったので、偶然自分が持っていた生理用品をあげました。やっぱり、何かあったときはまず近くにいるメンバーに相談するんだなと思ったと同時に、常日頃からマネージャーが備品として持ち歩いてくれるのが当たり前になったら、アイドル側も安心できるだろうなと思いました」(ぱいぱいでか美)

左から和田彩花、ぱいぱいでか美。

左から和田彩花、ぱいぱいでか美。

左から和田彩花、ぱいぱいでか美。

左から和田彩花、ぱいぱいでか美。

あまりに突然の出来事。ライブ中だと衣服の汚れに気が付かないこともあるという。また、大事なライブや撮影を控えているときに体に不調が生じてしまうと、仕事に集中できないという事態に発展してしまったりもする。だが、「我慢と気合い」だけでそれを乗り越えることは難しいし、無理をしてまで乗り越える必要もない。アイドルたちは普段、どのように生理の悩みやつらさを乗り越えているのか、個々人が実践している「私の生理の乗り越え方」を聞いてみた。

「まず生理中は、『自分を甘やかしてもいい期間』と考えるようにしています。いつもより負担がかかっているのに体はがんばってくれているし、私自身もがんばっているので、こういうときは食べたいものを食べようって決めて。私は生理になると食欲が出るタイプなので、期間中は好きなものをたくさん食べて、終わったらダイエットしてきれいになろうと思っています。あとは体がつらくて起き上がれないときは、今まで撮り溜めていたドラマを観たり、気になっていた本や雑誌を読んだり。生理が来ると精神的に落ち込むけれど、『甘えてもいいよ』と自分自身に声をかけるだけでポジティブになれます。だから周りに生理中でつらそうな子がいたら『Uber Eats送るねー!』みたいに気軽に声をかけたいので、相談してほしいですね」(アップアップガールズ(仮) 鈴木芽生菜)

「私も好きなものをガンガン食べますね。生理中なんてどうせ肌は荒れるし、むくむし、この時期の私はそういうものだと理解して、好きなように過ごします。あとは、自分だけのお守りみたいなものがあるといいですよね。私はプラシーボ効果が出やすいというか、気の持ちように体が影響されやすいタイプなので、『貧血気味なら鉄分!』と思ってほうれん草とかをよく食べます」(でか美)

「私は自分の体質に合った生理グッズを使って、つらさを軽くできるよう心がけています。例えば、私は生理痛が重めだったんですが、レンジで温めた肩こり解消用のあずきをお腹に乗せたりすると、体が温まって痛みが引いたりとか。あと肌に優しい布製のナプキンを使ったりして、生理中のストレスを和らげています」(アップアップガールズ(プロレス) らく)

上から鍛治島彩(アップアップガールズ(2))、らく(アップアップガールズ(プロレス))。

上から鍛治島彩(アップアップガールズ(2))、らく(アップアップガールズ(プロレス))。

また生理中は体だけでなく、心もセンシティブになる期間。和田彩花は「とにかく楽すること」を心がけているという。

「先日、インタビューで『ハーブティーを淹れるなど、生理期間に特別なことはしますか?』って聞かれたんですけど、私はむしろ手を抜くことばかり考えているなと。とにかく体がつらいので、お茶を淹れるのもしんどくなってしまうんですよ。だから、すぐ飲める常温の水を用意しておいて、服も締め付けが弱いものにする。あと私は婦人科に通って、自分の症状に合う薬を処方してもらってから、体調が安定するようになったと思います」(和田)

婦人科に通ってプロの手を借りるのもいいし、まずは生理になったときの自分の体を観察し、自分の体と心に向き合うことも、グッと気持ちを軽くする手立ての1つだ。生理不順で悩んでいたというアップアップガールズ(仮)の関根梓は、自分の体の変化を記録することで「心の持ちようが変わった」と話す。

「突然、ライブの前に生理が来たり大事なイベントの前にお腹が痛くなったりして、 『今なの!?』と驚くことがよくありました。それで、もっと心のほうの準備も必要だと思って。それからは、自分の体の基礎体温と生理周期を日記に記録するようになりました。自分の体のことを学ぶと心の持ちようが変わるし、新しいことにチャレンジする目処が立てられるようになりました」(関根)

「日記をつけるのが面倒だと思う人は、生理専用のアプリを使うのもオススメです。私は自分の体調や睡眠時間、食べたものなど記録できる有料アプリを使っているんですが、周期がずれたときは教えてくれるし、経血量が多いと『婦人科に行ってみては?』と通知が来たりします。今はアプリの種類もたくさんあると思うので、試しながら自分に合うものを探すのがいいですよね」(鈴木)

左から鈴木芽生菜、関根梓(ともにアップアップガールズ(仮))。

左から鈴木芽生菜、関根梓(ともにアップアップガールズ(仮))。

次のページ
一番大事なのは体。自分を犠牲にしてまでがんばらなくていい

読者の反応

山田社長(ヤムエンターテインメント) @YUMYamada

定期お知らせ

私たちの生理の乗り越え方と、新時代の根性論 | アイドルが考える、健康な心と体 (後編) https://t.co/ipGtlJcic1

コメントを読む(19件)

和田彩花のほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 和田彩花 / でか美ちゃん / アップアップガールズ(仮) / アップアップガールズ(2) の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。