映画「
本作は、吉本ばななの短編小説集「ミトンとふびん」に収められた一篇「SINSIN AND THE MOUSE」を日本・台湾の合作で映画化した物語。母を失い喪失感を抱えた主人公ちづみが旅先の台湾でシンシンという男性に出会い、止まっていた心を動かしていくさまが描かれる。岸井がちづみを演じ、「我家的事(原題)」で第62回金馬奨の最優秀助演男優賞を受賞したツェン・ジンホアがシンシンに扮した。
撮影から2年が経ち、岸井とツェン・ジンホアは久しぶりの再会となったそう。岸井は「なんにも変わってなくて! あまり時間を感じなかったですし、自然に再会できました」と声を弾ませる。一方のツェン・ジンホアも「本当にたくさんの思い出があるんです。撮影が終わって、監督とゆきのさんと抱き合って感激したのを覚えています。そのときの写真を日本に来る際に見返しました」と笑みをこぼした。
役作りに話が及ぶと、岸井は「ちづみは母を失った喪失感を抱えて、台北に行きます。ちづみにとっての母親と、私にとっての母親とでは少し違っていて、ちづみとお母さんは助け合っているというよりは、一緒になって少し絡み合ってしまっているような感じ。そこはすごく大事に演じたいと思っていました」と真摯に伝える。ツェン・ジンホアは「本作はまるで自分の過去の傷を癒やしてくれるような、温かみのある出口を見つけ出すような物語です。シンシンはすごく誠実で素直。短い時間ですが、ちづみと出会って、心からの交流をします」と紹介し、「私にとって、日本語でお芝居することは大きな挑戦でした。この作品に参加させていただいて、いろんなパワーをいただきました」と口にした。2人の話を横で聞いていた真壁は「お二人のお芝居が素晴らしいというのは言わずもがなだと思います。2人の空気感、相性のよさが出ればいいなと思っていたんですが、ロケ現場に岸井さんとジンホアさんが入った瞬間から、その空気ができあがっていました。2人の素晴らしい空気感が確実にこの作品には映っています」と自信を見せる。
イベント中盤には現場でのコミュニケーションについて3人が振り返る場面も。岸井は「残念ながらカットされちゃったんですが、お洋服を体に当てて『いいよ』というシーンがあって。その『いいよ』が我々の合言葉みたいになっていました。ことあるごとに『いいよ』でコミュニケーションを取って、それがすごくかわいくて。ジンホアが『いいよ』って言うと、純度100%のグッドなんです」とほほえむ。ツェン・ジンホアが「初日にちづみさんを、ねずみさんと言い間違えちゃいました」とはにかむと、岸井は「初日だけじゃないよ!(笑)」とツッコミを入れ、会場を和ませた。
撮影の2カ月前から日本語の勉強を始めたツェン・ジンホア。「最初は50音から始めようと思ったんですが、それだと間に合わない。だから途中から脚本の内容にフォーカスしました。ちづみさんの言葉や感情も理解しなければならないので、そういったことも覚えていきました」と振り返り、「自分が幸運だったのは、真壁監督がずっと日本語の練習に付き合ってくれたことです。監督の励ましとサポートがなければ、あんなふうに演じられなかったと思います」と感謝する。近くでツェン・ジンホアが日本語に向き合う姿を見ていた岸井は「本当に努力の人だなと思います。作品への向き合い方も誠実。ずっと日本語の練習をしていたんですが、驚いたのは字がきれいなこと。ひらがなもすごく上手で驚いて! 以前、書道のドラマをやっていて、そのために半年かけて練習したそうなんです。すごい熱量で習得されたんだなと思いました」とたたえた。
続いて、作品の内容にちなみ「旅先で出会ってよかったものは?」という質問が飛ぶ。岸井は英・ロンドンで出会ったフラットピーチを挙げ「もう本当においしくて! 一番好きな食べ物になるぐらい好きになりました」と笑顔を見せる。ツェン・ジンホアは「最近、山にこもって生活していたんです。そこで鹿や猿に出会いました。大自然の中で規律のある循環を感じました」と述べ、「私は山登りが好きなんですが、日本の山はまだ登ったことがないので、いつか登ってみたいです」と期待を込める。また、真壁は「この映画の制作が旅のようなものでした。原作を読んで、ちづみ役は岸井さんしか考えていなかったんですが、シンシン役は決まっていなかった。台北でいろんな人に話を聞いて、ジンホアさんのお名前が出てきたんです。オファーして、断られて、オファーして断られてみたいなことがありつつ、必然の出会いの中で映画を制作できたと思っています」と言及した。
最後にツェン・ジンホアは「『シンシン アンド ザ マウス』はぬくもりを感じられる作品です。ファンタジー、ロマンチックな要素もあるラブストーリー。ぜひ皆さん、味わってください」とアピール。岸井は「生きているといろんなことがあると思います。好きだったものが嫌いになったり、好きじゃない自分に出会ったり、仕事でうまくいかないとか。シンシンが教えてくれるのはシンプルですごく大切なこと。そこに目を向けられたら、少しだけ出口が見える。本当に大切なことに気付ける映画になっていると思います」と言葉に力を込める。そして真壁は「シーンやセリフが心に残ればいいなと思って作りました。このあと台湾でも公開しますので、ほかの都市で観ていただくのもいいかなと思います」と語った。
「シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE」は6月26日より東京・新宿バルト9、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。藤原季節、中田青渚、柄本時生、伊勢佳世、飯田基祐、余貴美子もキャストに名を連ねた。
岸井ゆきのの映画作品
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2年前に撮影したの😳 https://t.co/1oDtbSwqM8