第28回松本清張賞を受賞した波木銅の青春小説をもとにした本作は、将来が見えない町で暮らす少女たちが、未来を切り開くため“不適切な青春”に身を投じるさまを描いた物語。劇中では一獲千金を狙って同好会「オール・グリーンズ」を結成した少女たちが、禁断の課外活動を始める姿が描かれる。ダブル主演を務めた南がラッパーを夢見ながらも鬱屈した日々を送る朴秀美、出口が家庭で問題を抱える映画好きの矢口美流紅を演じ、吉田が大好きなマンガを自己形成のよりどころとしている毒舌キャラの岩隈真子に扮した。
1月16日に封切られ、ロングラン上映を続けている本作。児山は「3カ月ほど経ってもこうして、たくさんのお客さんに観にきていただけていることが本当にありがたいし、うれしいです」と挨拶する。
複数回観ているという観客もおり、中には学生に本作を鑑賞してほしいとの思いから、生徒たちとともに、映画館を訪れている教員もいた。これまでに、30人以上の中学生、高校生を引率し、「万事快調」を鑑賞しているそう。「今日引率してきた生徒たちも、すでに観た先輩たちがあまりにも面白いと言うもので、観たいと言って、一緒にきたんです」と明かし、「今の世の中は、閉塞感が漂っている。そんな中、中学、高校生が観たらいい刺激になるなと。彼らにこの作品を届けたいと思って引率してます。えらい感動して、感想文を配給会社に送った学生もいるんです」と語る。生徒からは「先生に連れてきてもらって感動して。普段、映画は2年に1本ぐらいしか観ないんですが、この2カ月でもう3回観てます」との声が。児山は「僕も、こんな先生に出会いたかったです」と笑顔を見せた。
Q&Aのコーナーでは学生から「原作と映画では、出てくる映画やアーティストに違いがありますが、どのように選んだのでしょうか?」という質問が飛んだ。児山は「原作に登場するものすべてを出すのが難しいということもあり、作劇を邪魔しないものを選んでいきました。また原作にないものも登場させています。小説に登場するものは1980年代、90年代のものが多かったんですが、もう少し主人公たちは幅広い年代のポップカルチャーに影響を受けていると思ったんです。若い人が映画を観てくれる際にも新しいものを入れたほうが面白い。だから原作者の波木先生に許可をいただいて、原作にないものも入れています」と述べた。
劇中で「太陽を盗んだ男」が登場することに触れ、「渋谷の東急百貨店跡地で撮影したのは、『太陽を盗んだ男』の影響なのか?」と問われると、児山は「もともと、あのシーンは、廃墟のような、消えゆくレンタルビデオ店で撮影する予定だったんです。ただちょうどいい店舗がなかった。撮影時期が近付いてきたときに、『太陽を盗んだ男』でも使われた東急百貨店本店の跡地で撮影できることになり、あそこで撮影しました」と振り返った。
続いて「オープニングで、キャストの名前が出る場面が好きで、何回も観にきてます」と話す観客から「監督の好きな場面を教えてください」というリクエストが。児山は「全部のシーンと言わせてください」と述べつつ、「オープニングのシーンは僕も好きです。タイトルの出し方は決めていたんですが、クレジットを出すのは撮りながら、あんなふうにすればかっこいいのではないかと決めました」と答えた。
イベント終盤には、劇伴とラップ監修を担った
最後に児山は「公開から時間が経っていますが、こうやってたくさんのお客さんが来てくださって、この映画は愛されているのかなと思っています。ここにいないスタッフ、キャストを代表してお礼を言わせてください」と感謝し、「自分は裏方だと思っているので、人前に立つのが苦手なんです。でもこうやって観客の皆さんの感想を聞くと、思いがけず自分のエネルギーになることを感じています。この作品が皆さんの大事な1本になっていたらとてもうれしいですし、そうでなくても記憶に留めておいていただけたら」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
「万事快調〈オール・グリーンズ〉」の下高井戸シネマでの上映は4月24日まで。このほかの上映劇場は公式サイトで確認してほしい。なお、本作は4月24日からイタリアで開催される第28回ウーディネ・ファーイースト映画祭のコンペティション部門に出品されている。
映画「万事快調〈オール・グリーンズ〉」本予告
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