吉本ばななの短編小説集「ミトンとふびん」に収められた一篇「SINSIN AND THE MOUSE」が日本と台湾の合作で映画化。
第58回谷崎潤一郎賞を受賞した「ミトンとふびん」に収められた「SINSIN AND THE MOUSE」は、最愛の母を亡くした女性・ちづみを主人公とした物語。旅先の台湾で、台湾人の母と日本人の父を持つ男性シンシンと出会ったちづみは、見知らぬ街の風景や何気ない会話の積み重ねを通して、喪失の中で少しずつ再生していく。
「ケイコ 目を澄ませて」で第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などに輝いた岸井が、ちづみ役で出演。シンシン役のツェン・ジンホアは、出演映画が連続で興行収入1億台湾ドルを突破したため「億万の幸運星(スター)」と呼ばれ、2025年に公開された「我家的事(原題)」で第62回金馬奨にて最優秀助演男優賞を受賞した台湾の俳優だ。
監督・脚本を「ボクは坊さん。」「すくってごらん」の
公開にあたり岸井は「ほんとうに大事なことはきっと誰もが知っているけれど、教えてもらうのはあなたでなければならないって時が、人生にはあるのだと思う」と作品を通しての思いを明かし、「ちいさくてあたたかくてやさしい映画です」とコメント。日本語での演技に初挑戦したツェン・ジンホアは「台北は私にとってとても馴染みのある場所ですが、この映画の中で描かれている台北は、これまでとは異なる感覚や視点があり、とても新鮮に感じました」と振り返った。原作者の吉本、監督の真壁、プロデューサーの阿部豪によるコメントは後掲の通りだ。
本作は金馬映画祭のFilm Project Promotion(FPP)部門で優秀企画に選出され、日台合作での映画化が実現。スコットランドで開催された第22回グラスゴー映画祭でワールドプレミア上映され、早々に完売するなど注目を集めた。映画祭に参加した真壁は「原作が持つ普遍性、キャストのお芝居は、国や世代を超えて、観客の心を揺さぶっていました」と手応えをのぞかせている。
本作の公開を記念しジャパンプレミアの開催も決定。ツェン・ジンホアが来日し、岸井と真壁とともに舞台挨拶に登壇予定だ。詳細は後日公式サイトなどで発表される。
「シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE」は東京・新宿バルト9、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。配給をカルチュア・パブリッシャーズが担当する。
吉本ばなな(原作者)コメント
その瞬間 吉本ばなな
ねずみ、じゃなくてちづみ役の岸井ゆきのさんがあまりにも美しく、どの表情も見逃せず、まるでこちらが恋をしているような気持ちになった。今の年齢の彼女をこんなにも美しく撮って残すことができるなんてすばらしい。恋に落ちていくときの独特の集中力をリアルに感じた。その中では音がとても重要な要素であることも。
原作者が言うのもなんだが、「おい君、確かにたいへんだったがいつまでもくよくよしてないで飯食って寝ろ」と言いたくなるような話ではある。でも、人間にはそうやってくよくよしている時期が必ずあるのではないだろうか。何をしていても死んだ親しい人のことを思ってしまうときが。ずっと目に涙がたまっているような時期が。
その中に彗星のように現れる新しく無邪気なトラウマ爆発美青年の勢い。彼に心が貪欲に集中していくこと。
立ち直りの瞬間を描いた美しい映画だった。
岸井ゆきの コメント
ほんとうに大事なことはきっと誰もが知っているけれど、教えてもらうのはあなたでなければならないって時が、人生にはあるのだと思う。
私は自分の足りないところばかりが目に付いて、ちょっとした長所も見失うことがありますが、たとえ自分が好きな自分じゃなくても、そばにいてくれるひとの言葉や温度をちゃんと見つめることが出来れば、それさえ出来ればきっと大丈夫なのだと思えた撮影期間でした。
ちいさくてあたたかくてやさしい映画です。
ぜひスクリーンで観てくださいね。
ツェン・ジンホア(曾敬驊)コメント
「シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE」の撮影に参加できたことをとても嬉しく思っています。台北は私にとってとても馴染みのある場所ですが、この映画の中で描かれている台北は、これまでとは異なる感覚や視点があり、とても新鮮に感じました。また、この作品を通じて初めて日本語に触れ、大きなスクリーンの中で自分が日本語を話している姿を見て、その体験に不思議な気持ちが湧くと同時に、深く感動しました。
さらに、映画の中で描かれる二人の登場人物の巡り合わせと率直な心の交流が、小さなねずみの物語によって結びつき、互いに癒し合っていく様子は、たとえ短い時間であっても真実の感情が込められていると感じました。旅は悲しみや喪失の感情を和らげてくれるものであり、そこで出会う新しい人々や風景の一つひとつが、かけがえのない大切な贈り物なのだと思います。
真壁幸紀(監督)コメント
東京と台北の物語をスコットランドの映画祭で初上映したのですが、原作が持つ普遍性、キャストのお芝居は、国や世代を超えて、観客の心を揺さぶっていました。
そんなヨーロッパのお客さんの反応を目の当たりにして、ある一つの条件さえ満たせば、この映画が皆さんの心に届く事を確信しました。
それは、映画館のサウンドで観てもらう事。
是非、小さな音、声まで体感してもらえたらと思います。
阿部豪(プロデューサー / ロボット)コメント
「シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE」は日本と台湾のスタッフ・キャストが国境を越えて共に作り上げた作品です。異なる文化や言語の壁を越え、人と人が出会い、心を通わせていく過程を描いています。
本作が、多くの方の心に届き、作品として長く愛されることを願っています。
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なほ @knaho
今回台湾と日本の間の調整役として参加しています。
#岸井ゆきの さんと、#曾敬驊 さんが素晴らしいので、是非多くの皆さまに見ていただきたいです。
曾敬驊さんが来日予定です! https://t.co/4eXOmvKA8G