第24回東京フィルメックスのクロージングセレモニーが本日11月29日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、コンペティション部門の受賞結果が発表された。
最優秀作品賞はインドの監督による「サボテンの実」
最優秀作品賞に輝いたのは、インド出身のローハン・パラシュラム・カナワデ監督作「サボテンの実」。都会暮らしのアナンドは父の死で故郷に戻り、親族たちから結婚を急かされる中で幼なじみの青年バリヤと再会し安らぎを見出す。秘めていた絆を深め合う2人の関係性と、地方の農村における伝統社会を忠実に描いた作品だ。
国際審査員のラモン・チュルヒャーは本作について「宗教的な厳格さに特徴付けられる社会の中で、2人の青年が距離を縮めていく旅路を描いている。繊細な脚本と緻密な映像によって導かれたこの静かな物語は、誰もが自由に呼吸できる世界への願いを表している」とコメント。カナワデ監督はビデオメッセージで「観客の皆さんが私たちの作品の体験を楽しんでくださっていたら何よりです」と感謝を述べた。
審査員特別賞は内山拓也監督「しびれ」
審査員特別賞には、
内山は「すべてのスタッフ、キャストの美しい仕事を誇りに思っています。また、私の人生に携わってくれたすべての人々に感謝したい」と述べたうえで、「この映画は私の個人的経験に根ざした物語です。地方の貧困層に生きる青年を通して、経済的な問題だけでなく、社会のあらゆる階層に存在する“心の貧困”、そうした存在に光を当て祝福したいと願いました。国内外を問わず、さまざまな状況で生きる人々が、心穏やかに映画を楽しめる世の中になることを願っています」と作品に込めた思いを語った。
国際審査員の
「枯れ葉」が学生審査員賞とスペシャル・メンションをW受賞
学生審査員は「絵画のように形や色が立ち上がる美しさがある。その映像の中で、人や動物、車が独特の奥行きを感じさせる。何かが映っている、何かが“動いている”という感覚こそが映画なのだと思わされた」と魅力を語った。またスペシャル・メンション授与にあたり、国際審査員の
観客賞は台湾映画「左利きの少女」
観客賞には、台湾のツォウ・シーチンによる「左利きの少女(左撇子女孩)」が選ばれた。台北の夜市で麺屋台を営むシングルマザーと2人の娘が、経済的困難に向き合いながら絆を保とうと奮闘する姿を丁寧に描いた作品だ。ツォウはビデオメッセージで「この物語は台北での思い出から生まれました。東京でも共感していただけたことに心から感謝します」と伝えた。
「光だけでなく、闇にも向き合った作品群」
最後に、審査員のラモン・チュルヒャーは今年のラインナップを振り返り、「アジア映画の豊かな多様性を旅することができ、それぞれのユニークな声やアーティスティックな個性に出会えた。人生の光だけでなく、闇や影にも向き合う作品が多かったことはとても重要です。また来年もこの場で映画を祝福できれば」と述べ、セレモニーを締めくくった。なおクロージング作品としてフオ・モン監督作「大地に生きる」が上映された。
第26回東京フィルメックスは明日11月30日まで有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。
「第26回東京フィルメックス」受賞結果
最優秀作品賞
サボテンの実(監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ)
審査員特別賞
しびれ(監督:内山拓也)
スペシャル・メンション
枯れ葉(監督:アレクサンドレ・コベリゼ)
学生審査員賞
枯れ葉(監督:アレクサンドレ・コベリゼ)
観客賞
左利きの少女 (監督:ツォウ・シーチン)
タレンツ・トーキョー・アワード
Glenn BARIT
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第26回東京フィルメックス、最優秀賞はインドの青年たちの物語 内山拓也も受賞(写真14枚) https://t.co/yeKAgSJEuC