「わたしたち」ユン・ガウンが6年ぶり新作で17歳の機微を描く、主演俳優と来日

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第26回東京フィルメックスのコンペティションに選ばれた韓国映画「The World of Love(英題)」が本日11月29日、東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のユン・ガウン、主演のソ・スビンがQ&Aに登壇した。

韓国映画「The World of Love(英題)」Q&Aの様子。左から監督のユン・ガウン、主演のソ・スビン

韓国映画「The World of Love(英題)」Q&Aの様子。左から監督のユン・ガウン、主演のソ・スビン

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「わたしたち」で知られるユン・ガウンの6年ぶりの新作は、快活で物怖じしない17歳の女子高生ジュインが主人公。怒りに任せて発した言葉が学校内に騒動を巻き起こし、匿名の手紙が届き始め、彼女の日常が揺らぎ始める。過去の秘密が公になり、周囲の視線が変わっていく中で、自分の人生を取り戻そうともがく少女の姿を繊細に描いたドラマだ。

「The World of Love(英題)」場面写真

「The World of Love(英題)」場面写真 [拡大]

大きな拍手で迎えられ、ユン・ガウンは「9年前、初長編の『わたしたち』をフィルメックスで上映してもらい、この映画祭が一番好きになりました。また作品を作ったら招待してほしいと願っていたので本当にありがとうございます」と笑顔で挨拶。ソ・スビンは「日本映画が大好きなので、招待していただいて本当に本当に光栄です」と日本語で喜びを口にした。

キャスティングにあたり、ユン・ガウンは長期間にわたり多くの新人俳優と会っていたという。ソ・スビンに出会ったのはその終盤だった。「彼女と1対1で話したとき、活気にあふれた姿に惚れ込んでこの役をお願いしました」と振り返る。一方のソ・スビンは、ユン・ガウンの長編2作目「The House of Us(英題)」を観て俳優を志したと明かし、「ずっとオーディションに落ち続けていましたが、監督に会う機会をいただけて。食事をしたり話したり、これまでのオーディションとはまったく違いました」と自身の運命を変えた出会いについて語った。

「The World of Love(英題)監督のユン・ガウン

「The World of Love(英題)監督のユン・ガウン [拡大]

観客から注目が集まったのが、ジュインが感情をむき出しにする洗車場のシーン。ユン・ガウンは「あの場所を見つけるだけでも大変でした」と述べ、低予算作品のため複数のカメラでさまざまな角度から撮ることができず、後部座席にカメラを固定して離れた場所から息を潜めて見守るというシンプルな撮影方法を選んだと説明する。結果として、より印象的なシーンに仕上がったという。ソ・スビンにとっても特別な場面であったが、このシーンだけはユン・ガウンが意図的にリハーサルを行わなかったそうで、「不安のまま1人で練習して挑みました」と述懐。撮影前にはユン・ガウンからメッセージが届いたと明かし、「『これまで私たちが見たことないジュインの内面をのぞき込もう』『あなたは一人じゃない』と言っていただいて、信じていいんだと思えました」と回想した。

「The World of Love(英題)主演のソ・スビン

「The World of Love(英題)主演のソ・スビン [拡大]

物語の鍵となる匿名の手紙について質問が挙がると、ユン・ガウンは「韓国語では主語で性別を区別しないので、(送り主の)男女を特定せず受け取れる形にしたかった」と説明。現場の若いスタッフや俳優に文字を書いてもらい、その中から性別が特定できない筆跡を選んだという。また本作は“当事者”やその家族の心情に深く寄り添う物語でもある。ユン・ガウンは「脚本を書く以上に、多くの事例を調べ、関係者に話を聞く時間に費やしました」と述べ、実際の声を丁寧に作品へ反映させたと解説する。

「The World of Love(英題)」場面写真

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劇中にたびたび登場するりんごについての質問も。韓国語の「사과」は「りんご」と「謝罪」の両方の意味を持つが、それを指摘されたユン・ガウンは「まったく意識していませんでした。韓国でも同じような解釈を聞いて驚いたくらいでした」と回答する。そして「りんごは“疑問符”として置きたかったんです。ジュインがりんごを嫌う理由を説明しないのも、それがトラウマなのかどうかを明かさないのも、観客の皆さんに疑問符を持ち帰ってほしかったから。自分にとっての“りんご”とは、相手にとっての“りんご”とはなんだろうと、この疑問符を持ち続けてほしいという思いがありました」と意図に言及した。なお「The World of Love」はビターズ・エンド配給により日本公開が予定されている。

第26回東京フィルメックスは11月30日まで有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。

韓国映画「The World of Love(英題)」予告編 - 第26回東京フィルメックス

「第26回東京フィルメックス」開催概要

開催日時・場所・料金

2025年11月21日(金)~30日(日) 東京都 有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町
前売料金 :一般 1700円~1800円 / U-30割 1200円~1300円
会期中料金:一般 2000円 / U-30割 1500円

オープニング作品

  • 太陽は我らの上に(監督:ツァイ・シャンジュン)

クロージング作品

  • 大地に生きる(監督:フオ・モン)

コンペティション(全10作品)

  • The World of Love ※英題(監督:ユン・ガウン)
  • 女の子(監督:スー・チー)
  • ラッキー・ルー ※仮題(監督:ロイド・リー・チョイ)
  • 枯れ葉(監督:アレクサンドレ・コベリゼ)
  • アメーバ(監督:タン・スーヨウ)
  • 左利きの少女 ※原題(監督:ツォウ・シーチン)
  • アミールの胸の内(監督:アミール・アジジ)
  • サボテンの実(監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ)
  • グラン・シエル(監督:畑明広)
  • しびれ(監督:内山拓也)

特別招待作品

  • 市街戦(監督:モーリー・スリヤ)
  • 家へ(監督:ツァイ・ミンリャン)
  • ヒューマン・リソース(監督:ナワポン・タムロンラタナリット)
  • Yes(監督:ナダヴ・ラピド)
  • 手に魂を込め、歩いてみれば(監督:セピデ・ファルシ)
  • 私たちの土地(監督:ルクレシア・マルテル)
  • サマ(監督:ルクレシア・マルテル)
  • 沼地という名の町(監督:ルクレシア・マルテル)
  • 煙突の中の雀(監督:ラモン・チュルヒャー)
  • ガール・アンド・スパイダー(監督:ラモン・チュルヒャー)
  • ストレンジ・リトル・キャット(監督:ラモン・チュルヒャー)

メイド・イン・ジャパン

  • 猫を放つ(監督:志萱大輔)
  • 東北短編集:「ハーフタイム」「相談」「祝日」(監督:張曜元)

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読者の反応

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てぃむ 🕊️ 差別は論外 @129_I_II_IX

東京フィルメックスでThe world of love見たんですが、とても素晴らしい映画だったので一般公開されたらみなさん見てください何卒 https://t.co/50ThQKXSR9 https://t.co/AgyZYE7Dcb

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