11月21日から30日まで開催される第26回東京フィルメックスの全作品ラインナップが発表。コンペティション部門には
アジアの新進作家を中心に、世界から選りすぐった作品を紹介する本映画祭。「女の子」では、内向的な少女が自由奔放な同級生との出会いを通じて人生を模索し始めるさまが描かれる。さらにコンペ部門には、日本作品2本が3年ぶりに選出。「しびれ」は、内山の自伝的要素が刻まれた痛切な母子の愛憎ドラマだ。もう1本は、フランスの国立映画学校La Fémisの映画監督科を卒業した畑明広の初長編作「グラン・シエル」。同作はフランスにある巨大施設の建設作業員が次々と失踪する物語で、8月から9月に開催された第82回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門でワールドプレミアを果たしている。
さらに全編米ニューヨークロケで撮影した
特別招待作品のラインナップには、タイの監督
そのほか、アルゼンチンの監督ルクレシア・マルテルによる初のドキュメンタリー「私たちの土地」や監督作2本もスクリーンに。審査員として来日するスイスの監督ラモン・チュルヒャーの特集として、タイトルに「猫」「蜘蛛」「雀」が入った“動物3部作”も一挙上映する。作品一覧は後掲の通り。
プログラム・ディレクターの神谷直希は「今年のプログラムは、現代の映画、特にアジア映画の活発な『今』を映し出す、挑戦的で力強いラインナップとなりました。世界各地から集められた珠玉の作品群は、私たち観客の視覚と心を揺さぶり、映画という芸術の持つ大きな可能性を再認識させてくれるでしょう」と語った。
第26回東京フィルメックスは東京・有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催される。チケットは11月6日12時に発売。有楽町朝日ホールでの上映作品はLivePocket、ヒューマントラストシネマ有楽町での上映作品は劇場公式サイトおよび劇場窓口で購入できる。29歳以下なら割引価格で購入可能。前売券の料金はプログラムによって異なるため注意してほしい。詳細は映画祭公式サイトで確認を。
なお、11月13日から15日までは関連企画として「
「第26回東京フィルメックス」開催概要
開催日時・場所・料金
2025年11月21日(金)~30日(日) 東京都 有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町
前売料金 :一般 1700円~1800円 / U-30割 1200円~1300円
会期中料金:一般 2000円 / U-30割 1500円
オープニング作品
- 太陽は我らの上に(監督:ツァイ・シャンジュン)
クロージング作品
- 大地に生きる(監督:フオ・モン)
コンペティション(全10作品)
- The World of Love ※英題(監督:ユン・ガウン)
- 女の子(監督:スー・チー)
- ラッキー・ルー ※仮題(監督:
ロイド・リー・チョイ) - 枯れ葉(監督:アレクサンドレ・コベリゼ)
- アメーバ(監督:タン・スーヨウ)
- 左利きの少女 ※原題(監督:
ツォウ・シーチン) - アミールの胸の内(監督:アミール・アジジ)
- サボテンの実(監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ)
- グラン・シエル(監督:畑明広)
- しびれ(監督:内山拓也)
特別招待作品
- 市街戦(監督:モーリー・スリヤ)
- 家へ(監督:ツァイ・ミンリャン)
- ヒューマン・リソース(監督:ナワポン・タムロンラタナリット)
- Yes(監督:ナダヴ・ラピド)
- 手に魂を込め、歩いてみれば(監督:
セピデ・ファルシ) - 私たちの土地(監督:ルクレシア・マルテル)
- サマ(監督:ルクレシア・マルテル)
- 沼地という名の町(監督:ルクレシア・マルテル)
- 煙突の中の雀(監督:ラモン・チュルヒャー)
- ガール・アンド・スパイダー(監督:ラモン・チュルヒャー)
- ストレンジ・リトル・キャット(監督:ラモン・チュルヒャー)
メイド・イン・ジャパン
- 猫を放つ(監督:
志萱大輔) - 東北短編集:「ハーフタイム」「相談」「祝日」(監督:張曜元)
第26回東京フィルメックス 関連企画「マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品セレクション Manoel de Oliveira」開催概要
開催日時・場所
2025年11月13日(木)~15日(土)東京都 アテネ・フランセ文化センター
上映作品
- ドウロ河
- 春の劇
- 過去と現在ー昔の恋、今の恋
- フランシスカ
- 言葉とユートピア
- レステロの老人
第26回東京フィルメックス プレイベント「香港ニューウェーブの先駆者たち:M+ Restored セレクション」開催概要
開催日時・場所・料金
2025年11月14日(金)~18日(木) 東京都 ヒューマントラストシネマ有楽町
料金:一般 2000円 / 大学生 1500円 / 高校・中学・小学生 1000円 / シニア 1300円 / TCGメンバーズカード会員 1400円
上映作品
- 董夫人 レストア版(監督:トン・シューシュン / セシリア・トン)
- ザ・システム レストア版(監督:ピーター・ユン)
- 愛殺 レストア版(監督:パトリック・タム)
神谷直希(プログラム・ディレクター)コメント
今年のプログラムは、現代の映画、特にアジア映画の活発な「今」を映し出す、挑戦的で力強いラインナップとなりました。世界各地から集められた珠玉の作品群は、私たち観客の視覚と心を揺さぶり、映画という芸術の持つ大きな可能性を再認識させてくれるでしょう。
今年の大きな傾向の一つは、個人の内面と、人々を取り巻く世界の断絶や調和を深く掘り下げた作品の多さです。特にコンペティション部門には、社会の構造や制度、既存の価値観といった外から与えられた「枠」のなかで登場人物が葛藤し、自分なりの出口を見出そうとする作品が数多く並びました。世間の同情に抗う「TheWorld of Love(英題)」、家族の桎梏と闘う「女の子」や「しびれ」や「左利きの少女」、名門校のプロパガンダ教育に少女たちが反旗を翻す「アメーバ」、移民ギグワーカーが苦闘する「ラッキー・ルー」、家父長的共同体の同性愛者を描く「サボテンの実」、祖国残留と移住の間で揺れる「アミールの胸の内」...。こうした「枠」の存在は物語の基本構造であり今年だけの特色というわけではありませんが、今回は「枠組み/壁」がことのほか多様で、それらが現代社会の閉塞感の理由を映し出していると感じています。
そしてもう一つの特筆すべき傾向は、プログラム全体が、映画表現の最前線を切り拓く、革新的な作家性に満ちていることかもしれません。「枯れ葉」、「グラン・シエル」、「Yes」、「家へ」、そして「私たちの土地」といった作品たちは、既存のジャンルや形式にとらわれず、独自の映画言語を追求する映画作家たちの野心的な試みに溢れています。物語(ストーリー)の語り方だけでなく、音響の設計を含めて、映像そのものの表現方法を大胆に刷新しようとする作品群は、映画というメディアが持つ表現の自由さと、それを通して世界を捉え直す喜びを私たち観客に提供します。
スー・チーの映画作品
リンク
SYO @SyoCinema
北村匠海さんが主演、内山拓也さんが監督を務める『しびれ』だと…
気になってたショーン・ベイカー脚本・製作『左利きの少女』もある!!
第26回東京フィルメックスのラインナップ発表、北村匠海の主演映画やスー・チー初監督作 https://t.co/D5D39GOiSr https://t.co/ixlc2wQ4au