台湾映画「女の子 / Girl」(原題「女孩」)が本日11月23日に第26回東京フィルメックス内で上映され、東京・有楽町朝日ホールで行われたQ&Aに監督の
本作は、スー・チーの幼少期の記憶を下敷きにした半自伝的な作品。家庭内で愛情を求めながらも、母との複雑な関係や父の暴力に揺れる少女シャオリーが、親友リリーとの交遊や小さな冒険を通じて、閉ざされた世界にかすかな光を見出していく。バイ・シャオイン(白小樱)がシャオリーを演じ、シャオリーの父に
「黒衣の刺客」の撮影現場で、監督の
キャストにこうしてほしいとリクエストを伝えることはなかったそうで、スー・チーは「素晴らしい出演者の方々と一緒に仕事ができて、私は大変幸運でした」と笑みをこぼし、「ロイ・チウさんは成熟した俳優さんですし、すぐに役をつかんでいました。一方、9m88さんは情熱あるジャズ歌手で、彼女はスイートな感じの女性なんです。脚本を読んだ段階で、夫から暴力を受けている母親がなぜ娘であるシャオリーに暴力を加えてしまうのか? 『これはなぜ、これはなぜ』と聞かれることがかなりありました。私は彼女にその時代の背景、生活、シャオリーが家庭内で長女という立場にあることなどを説明しました」と思い返す。またラストシーンの意図について問われると「なぜあのようなラストにしたのかというと、あれが私たちの生活だからです。人間も社会もああいったことを繰り返し、それが連鎖していく。親子関係がねじれていた記憶、受けた痛みをシャオリーは忘れることはないのでしょう」と回答した。
長編デビュー作にして、第30回釜山国際映画祭で最優秀監督賞を受賞したスー・チー。そんな彼女は「幻想的なシーンを織り交ぜていくのが私のスタイルかなと思っています」と語る。シャオリーと妹が階段を上るシーンに登場する、赤い風船に話が及ぶと「主人公と妹の関係はかなり微妙です。愛し合うと同時に傷付け合う。しかし妹がポジティブでいられるのは、ストレスの多い生活の中でシャオリーが守ってくれているからです。彼女たちが、どうやってああいった生活から逃げ出すか? それをどう映画の中で表現しようかと考えたときに、ホウ・シャオシェン監督の『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』を思い出しました。あの赤い風船は、シャオリーの自由への憧れを表現しています」と明かした。
第26回東京フィルメックスは11月30日まで有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。
台湾映画「女の子 / Girl」(原題「女孩」)予告
「第26回東京フィルメックス」開催概要
開催日時・場所・料金
2025年11月21日(金)~30日(日) 東京都 有楽町朝日ホール、ヒューマントラストシネマ有楽町
前売料金 :一般 1700円~1800円 / U-30割 1200円~1300円
会期中料金:一般 2000円 / U-30割 1500円
オープニング作品
- 太陽は我らの上に(監督:ツァイ・シャンジュン)
クロージング作品
- 大地に生きる(監督:フオ・モン)
コンペティション(全10作品)
- The World of Love ※英題(監督:ユン・ガウン)
- 女の子(監督:スー・チー)
- ラッキー・ルー ※仮題(監督:ロイド・リー・チョイ)
- 枯れ葉(監督:アレクサンドレ・コベリゼ)
- アメーバ(監督:タン・スーヨウ)
- 左利きの少女 ※原題(監督:ツォウ・シーチン)
- アミールの胸の内(監督:アミール・アジジ)
- サボテンの実(監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ)
- グラン・シエル(監督:畑明広)
- しびれ(監督:内山拓也)
特別招待作品
- 市街戦(監督:モーリー・スリヤ)
- 家へ(監督:ツァイ・ミンリャン)
- ヒューマン・リソース(監督:ナワポン・タムロンラタナリット)
- Yes(監督:ナダヴ・ラピド)
- 手に魂を込め、歩いてみれば(監督:セピデ・ファルシ)
- 私たちの土地(監督:ルクレシア・マルテル)
- サマ(監督:ルクレシア・マルテル)
- 沼地という名の町(監督:ルクレシア・マルテル)
- 煙突の中の雀(監督:ラモン・チュルヒャー)
- ガール・アンド・スパイダー(監督:ラモン・チュルヒャー)
- ストレンジ・リトル・キャット(監督:ラモン・チュルヒャー)
メイド・イン・ジャパン
- 猫を放つ(監督:志萱大輔)
- 東北短編集:「ハーフタイム」「相談」「祝日」(監督:張曜元)
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両儀織 @Myfavorite_A_45
@eiga_natalie 少し老けたね、やっぱり。