「トリツカレ男」佐野晶哉が祖母から100点コメントゲット、観客とはダンスで一体に

劇場アニメーション「トリツカレ男」の初日舞台挨拶が本日11月7日に東京・新宿ピカデリーで行われ、声のキャストである佐野晶哉（Aぇ! group）、上白石萌歌、柿澤勇人、山本高広、主題歌を担当したAwesome City Club、監督の髙橋渉が登壇した。

いしいしんじの同名小説をもとにした本作は、何かを好きになると無我夢中になってしまう“トリツカレ男”ジュゼッペが、風船を売っている女の子ペチカに恋をすることから始まるミュージカル。佐野がジュゼッペ、上白石がペチカを演じ、柿澤がジュゼッペの相棒であるハツカネズミのシエロに声を当てた。

公開初日を迎えての反響を聞かれると、佐野は「いろいろな人から『面白かったよ！』という言葉をいただきました」とにっこり。家族が大阪プレミアに来場したと打ち明け、「ショッピングモールの7Fで行い、そのまま6Fで合流して一緒にごはんをたべました。グッズやチラシを持ったお客さんの中にいてもまったくバレなくて（笑）」と回想する。祖母からは「新たなまーちゃんの魅力を知ることができて“とりつかれた”」と感想をもらったそうで、「100点のコメントじゃないですか？」と喜んだあと「実は今日も観てるんですよ！ ばあばー！」と手を振っていた。

上白石は、両親が前の回の舞台挨拶を九州で配信視聴していたそうで「『すごく涙が出た』とさっそくメッセージをいただきました。うれしいですね」とほほえみ、「さっきお散歩したんですけど、今日だけ春みたいな日差し。まるでこの映画の温かさが世界に浸透しているようでした」と報告する。柿澤は「まーちゃんと同じで……家族から『楽しかった』と感想をもらいました」とはにかみ、「今まで温かい性格のキャラを演じたことがあまりなくて、人を追い詰めるような役が多かったんです。だからシエロみたいな最高にかわいいやつの声を担当させていただけて本当にうれしかった」と感慨深げに述べた。

街のギャングであるツイスト親分に声を当てた山本は「僕の声だと気付かれずに終わることが多いんです。間違いなく僕が演じていますから！」と訴える。Awesome City Clubのatagiが「15分前に父から『本当に素晴らしい物語で音楽もよかった。ようがんばったね』って連絡が来て、今めちゃくちゃ泣きそうです」と伝えると、山本は「そういうときにいい言葉がありますよ。『地球に生まれてよかったー！』」と織田裕二のモノマネを繰り出して会場を沸かせていた。

注目ポイントを問われると、佐野は「ジュゼッペとシエロの関係性です。シエロは『こんな相棒いてほしい！』と思えるほどに救われる存在で、ええこと言いよるんですわ～」と顔をほころばせる。「そうでしょ？」と目線を送る柿澤は「ジュゼッペは“めんどくさい”男だけれど、シエロは絶対に突き放さない。その理由が冒頭に描かれています」とコメント。上白石は「好きなシーンがありすぎる……」と悩むも「季節の描写がたくさんあって、春から夏、夏から秋へと移り変わりが描かれていく。ちゃんと時間の流れを感じるのが個人的に好きなんです。どのシーンも画が美しいので、額装して家に飾りたいくらい」とアピールした。

本作には数々の劇中歌が登場する。収録の印象を聞かれると、髙橋は「コンサートに来ているくらいの気持ちで、ジュゼッペ、ペチカ、シエロが歌っているのを最前列で楽しませていただいた。ずっとニコニコしていましたよ」と述懐。「曲を合わせたときに耳から涙が出ました」と言うと、佐野から「目ではなく耳ですか？（笑）」とツッコミが。髙橋は「（ハンカチではなく）綿棒を持参して観ていただけたらと思います」と呼びかけた。

イベントの中盤には劇中歌「ファンファーレ ～恋に浮かれて～」のオリジナルダンスを観客と一緒に踊るコーナーが実施された。佐野は「最初に右手を挙げて！」とレクチャーを始め、「そっか、僕だけ“鏡合わせ”の状態になるから……」と向かい側にいる観客を気遣う様子も。自らアカペラで歌唱しながら数回の練習をしたのち、全員で一体となってダンスを楽しんだ。

最後に上白石は「切り口はすごくポップですが、ビターな部分もある多面的な作品です。大人になるにつれて何かに熱中することは難しくなってくるけど、一生懸命に心を注ぐことが素晴らしいと思える映画になっています」と言葉を紡ぐ。そして佐野は「僕はまだ23歳ですが……これまでの人生において『楽しかったことは』と考えると、常に何かにとりつかれている瞬間だなと思うんです」と吐露。「事務所に入ってアイドルにとりつかれ、メンバーと切磋琢磨して去年デビューをさせていただいた。そしてまたもっと大きな夢を目指してがんばっています。くじけそうになる瞬間もあったけど、必死になることは無駄じゃなかったんだなって、この映画が思わせてくれました」と力強く述べ、「夢中になるという感情を大切にしてください。この映画を大切な人と何度も観に行ってくれたらうれしいです。全国の皆さんがとりつかれますように」と挨拶した。

「トリツカレ男」は全国で公開中。

映画「トリツカレ男」予告編