「アイム・スティル・ヒア」尋問シーン捉えた新映像、暴力を視覚ではなく音で表現

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第97回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画「アイム・スティル・ヒア」より、尋問シーンを捉えた本編映像の一部がYouTubeで公開された。

「アイム・スティル・ヒア」場面写真

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「アイム・スティル・ヒア」ポスタービジュアル

「アイム・スティル・ヒア」ポスタービジュアル[拡大]

軍事独裁政権が支配する1970年代のブラジルを舞台とする同作。元国会議員であるルーベンス・パイヴァの妻エウニセは子供たちと穏やかな日々を過ごしていたが、スイス大使誘拐事件を境に政情が一変し、ルーベンスが軍に突然連行されて消息不明になる。絶望の淵に立たされながらも声を上げ、時代を揺るがしていくエウニセをフェルナンダ・トーレスが演じた。

映像はエウニセと娘が頭巾をかぶるよう指示され、移動させられるシーンからスタート。エウニセがルーベンスについて「当時から共産主義者と関係を?」「なぜ今もテロリストと関係を?」と尋問を受ける姿、廊下から「クソッ! 俺を殺す気か」という叫び声が聞こえる様子も収められた。

今作では暴力を視覚ではなく、音で表現する手法が取られている。実際に父の失踪を経験した原作者マルセロ・ルーベンス・パイヴァの「拷問を描かないでほしい」という強い要望を反映したもので、監督ウォルター・サレスは「見せないものが、しばしばもっとも強い印象を残す」という信念のもと、拷問の現場は映さず、音だけで暴力描写を伝える形を選んだ。音の演出を最大限に引き出すため、音声レイヤーは20以上重ねられている。

またサレスは「この映画を形にする7年間のあいだに、ブラジル社会は再び過去の暗い影へと危うく傾いた。まさにその現実が、この物語を『今』語らねばならないという切迫感を、私にいっそう強く抱かせた」「同じ過ちを繰り返さないための作品が必要だ」とコメントした。

「アイム・スティル・ヒア」は8月8日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で公開。セルトン・メロ、フェルナンダ・モンテネグロらもキャストに名を連ねた。

映画「アイム・スティル・ヒア」本編映像2

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©2024 VideoFilmes/RT Features/Globoplay/Conspiração/MACT Productions/ARTE France Cinéma

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映画『アイム・スティル・ヒア』公式 @imstillherejp

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