1971年製作の「オルエットの方へ」は、パリで働くジョエルが、友人のカリーンとともに、親戚のキャロリーヌが持つ海辺の別荘へバカンスに出かけることから始まる物語。3人で気ままに楽しんでいたある日、ひそかにジョエルに好意を寄せていた上司ジルベールが偶然を装って現れる。退屈しのぎにちょうどいいジルベールと一緒に過ごす彼女たち。そんな中、ジョエルは浜辺で出会ったヨット乗りの青年に惹かれていく。
日付で章立てされ、日記のようにつづられた本作。2023年に行われた特集上映「みんなのジャック・ロジエ」の際にはレストアが間に合わなかったため、今回が待望の劇場公開となる。YouTubeで解禁された予告編には、1つのベッドに横たわった3人の「できれば1日中横になっていたい」「そうすれば?」というやりとりや、彼女たちが水着姿で砂浜を駆ける様子などが映し出されている。ポスタービジュアルのデザインは「みんなのジャック・ロジエ」も手がけた塚本陽が担った。
「ジャック・ロジエ監督特集」には、ロジエの短編第2作「ブルー・ジーンズ」の2Kレストア版のほか、「
映画「オルエットの方へ」4Kレストア版 予告編
「オルエットの方へ」+ジャック・ロジエ監督特集
2025年7月5日(土)~ 東京都 ユーロスペース
上映作品
- オルエットの方へ
- ブルー・ジーンズ
- アデュー・フィリピーヌ(2Kレストア版)
- トルテュ島の遭難者たち(4Kレストア版)
- メーヌ・オセアン(4Kレストア)
- フィフィ・マルタンガル(デジタル・レストア版)
- バルドー/ゴダール(2Kレストア版)
- パパラッツィ(2Kレストア版)
ギョーム・ブラック(映画監督)コメント
ジャック・ロジエの映画は23年も前から私と共にあり、そして「オルエットの方へ」が私にとっての決定的な啓示となりました。
私はこの日、ほんの僅かなことから映画を作ることができ、そしてこの僅かなことを十分に信じてさえいれば、とても大きなものにできることを理解しました。
何よりもまず、私たちはロジエの子供のような視点を再発見し、どこに誘うのかわからない冒険に出発し、予期せぬことや偶然の出来事もゲームのように受け入れ、笑って、たくさん笑って、驚嘆しなければならないのです。
どの作品も、まるで初めて作る作品のように、そしてこれが最後の作品になるかのように取り組む。
思い出になる前に、今を映し取る。
ジャック・ロジエの映画は、常に同じ方向──危険、不確かなもの、自由──を指している不思議な羅針盤のようなものなのです。
(2023年 / 特集上映「ジャック・ロジエのヴァカンス」に寄せて)
浅井 剛志 Asai Goshi @go_asai
気ままなバカンスを日記のように紡ぐ、ジャック・ロジエ「オルエットの方へ」4K版公開(予告映像あり) https://t.co/q1Dwv79oTh