本作は女性として初めて世界最高峰エベレストの登頂に成功した登山家・田部井淳子をモデルにした物語。吉永演じる多部純子を主人公に、エベレストへの挑戦や晩年の闘病など、余命宣告を受けながらも亡くなる直前まで山に登り続けた生涯を壮大なスケールでつづる。
会見には、吉永、のん、天海、佐藤、監督の
2024年8月にクランクインし、関東6県のほか、長野県、山梨県、福島県、富山県と全国各地で撮影された本作。吉永は「本当に過酷な撮影でした。朝早くから栃木県で撮影して、その足で富士山に行く。でもなんとかやり遂げることができてホッとしています」と胸をなで下ろす。そして「田部井淳子さんが“てっぺんの向こう”から『よくやったね、がんばったね』って言ってくださっているような気がします」と笑みをこぼした。
吉永と同じ役を演じることに「巨大なプレッシャー」を感じたというのん。役作りでは田部井のことを調べたほか、吉永の出演作もたくさん観たそうで「私は吉永さんの瞳の力にすごく魅了されているので、どうにか1%ぐらい、その瞳のパワーを表現できないかなと研究していました」と明かす。撮影期間は「スマホアプリのゲームをやめたり、パソコンを触るときはブルーライトカット眼鏡をかけたり(笑)。画面を見ることをやめていました」と目を労っていたことも話して、笑いを誘った。
田部井本人とラジオ共演で縁があったという吉永は「素敵な方で本当にファンになりました。田部井さんをモデルにした役を演じることができて幸せです」と吐露。演じるうえでは会った際に印象的だった福島弁を取り入れたそう。「その言葉を聞いたとき、“人ごみの中にそを聴きにゆく”ではないんですけど、とっても懐かしい感じがして。もし田部井さんを演じることができるなら、福島の言葉を入れたいと思ってたんです。それで監督にご相談して」と自ら打診したことを打ち明ける。
阪本は田部井が後年ピアスを付けていたことから、吉永も撮影前にピアスの穴を開けたことを証言。その真意について、吉永は「この役は開けるしかない!と思いました。大変だったのは(開けてから)1カ月間、泳いじゃいけないと言われたこと。それは我慢しました。時代劇はピアスの穴が開いてるといけないと言われますけども、この年齢になって、時代劇はもうオファーがないかもしれないと思って。とにかく今回の役に没頭するためには開けよう、と。すごく解放されたようないい気持ちです」と明かす。この日もピアスを着けており、「これは田部井淳子さんが着けていたものをいただいた本物なんです」と披露した。
登山のシーンについて聞かれると、吉永は田部井が実際にトレーニングしていた埼玉県日高市の日和田山を紹介。吉永が「素敵な山で、岩場もあるし、トレーニングに素晴らしい場所。高度は低いんですけど、けっこうハードで汗びちゃびちゃになりながら撮影しました。でも常に佐藤浩市さんが引っ張ってくださるシチュエーションだったので助かりました。この映画もできましたので、久々に報告として山に行ってみたいと思ってます」と振り返ると、佐藤は「吉永さんは撮影中に一言も『疲れた』とか『しんどい』とかをおっしゃらない。横で本当に感動しました」と明かす。
雪山での撮影も行われた本作。のんは「洗礼を受けました。うまいこと吹雪がやってきて、待機していたバスの中に霜が降りていたんです。呼びに来てくださった助監督さんもひげが凍っていたり。登山指導の方からは『凍傷になるので手足の指を動かし続けて』とアドバイスをいただいたり」と過酷な撮影を回想する。純子の若き日を演じたのんについて、吉永は「とてもかわいくて、自分の娘にこんな子がいたらいいなと思うぐらい、素敵でした。のんさんとは坂本龍一さんの東北ユースオーケストラでそれぞれ朗読をしてきたご縁があるので、そういうつながりでも心が通い合ってましたし、今回の役をやっていただいて本当によかった」と言葉を贈った。
キノフィルムズが配給する「てっぺんの向こうにあなたがいる」は10月31日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。なお今回の発表で、
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のんちゃんが実在人物演じるのってミー坊以来か https://t.co/zyJy5SFJlf