フランスの現地時間5月18日、第76回カンヌ国際映画祭で「
同映画祭のコンペティション部門に出品されている「怪物」では、ある郊外の学校で起きた子供同士の喧嘩が大人や社会、メディアを巻き込んで大事になっていく様子が描かれる。シングルマザーの早織を安藤、教師の保利を永山、早織の息子・湊を黒川、湊の同級生・依里を柊木が演じた。
公式会見で是枝は、本作が生まれた経緯について「実際にそこには存在しない怪物というものを人は見てしまう、そういうプロセスを、観客を巻き込みながら進めていくようなストーリーテリングが本当に面白くて、読んですぐに参加させていただく決断をしました」と述懐。また是枝は「僕は主には映画を作っていましたし、坂元さんはテレビのドラマを作られているので、違うフィールドのように見えたかもしれませんが、同時代に生きながら、ネグレクトの問題であったり、犯罪の加害者家族の物語だったり、疑似家族のモチーフだったり。時代とともに彼が注視しているトピックと、僕が自分の中で引っかかって題材にしていたものは、時期は多少ずれるのですけど、すごくリンクしていました」と語る。
「万引き家族」に続いて是枝監督作への参加となった安藤。彼女は「監督の現場はそこにいるスタッフ・キャストを尊重し、みんなが同じ目線で意見を交わし合っている。作品に関わっていくことを心から楽しみながら志を持って、ストレスなくいられる現場を作ってくださいました」と口にする。黒川は「現場ではみんなが本当に優しくて、撮影しているときはとても……なんだか1つの家族みたいな感じで、とても楽しかったです」、柊木は「自然な感じで撮影に取り組むことができたのは監督のおかげかなと思います」とコメントした。
脚本へのアプローチを聞かれた永山は、シナリオの時間軸が複雑なため、自分用の台本をノートに書き、芝居の一貫性を保ったことを説明。「現場でどういう見え方になるのかというのは是枝監督にもちろんお任せして、僕自身は保利という役をシンプルに受け止めました」「頭で思考していくことよりも、肌で感じていくことを大事にして現場に挑みました」と明かした。
30年ほど前に観光でカンヌ国際映画祭を訪れ、いつかこの場で映画を発表することを夢見ていたという坂元。「あっという間に30年が経ちました。その間、是枝監督が数々の作品をカンヌで発表しているのを見ながら、憧れと少しのヤキモチを抱いてきました」と素直に打ち明けつつ、「自分になくて是枝監督にあるのは、社会に対する強い責任感と他者への優しさ。この3日間一緒にカンヌにいるだけでも常に感じるんです。私にはそれが少し足りない。それをこの映画に少し足しました。それが今回ご一緒した利点、長所かなと思います」と話した。
昨年「逆転のトライアングル」でパルムドールを受賞したリューベン・オストルンドが審査委員長を務めるコンペティション部門。授賞式は現地時間5月27日に行われる。
「怪物」は6月2日に全国で公開。
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