フランスの現地時間5月17日、第76回カンヌ国際映画祭で
同映画祭のコンペティション部門に出品されている「怪物」では、ある郊外の学校で起きた子供同士の喧嘩が大人や社会、メディアを巻き込んで大事になっていく様子が描かれる。シングルマザーの早織を
是枝に続き、安藤、永山、黒川、柊木、脚本を手がけた
「怪物」チームが2200人の観客を収容する会場内に拍手で迎えられると、公式上映が開始。エンドロールが始まると会場からは拍手が起こり、音楽を手がけた
囲み取材にて観客のリアクションについて問われると、坂元は「どれくらいのレベルかわからず、監督を見たらほほえんでいたので、いい反応だと思いました。胸が震えるような思いがしました」、永山は「『怪物』に携われて、今まで俳優をやってこれてよかったなと思いました」と語る。安藤は「地響きのような拍手で圧倒されました」と話し、夜遅い上映時間だったため一緒に鑑賞できなかった黒川と柊木に言及し「(この反応を)しっかり2人に伝えたいなと思います」とコメントした。
脚本について坂元は「1人ひとりの登場人物が物語に振り回されないように、1人ひとりが生きている物語を作りたいなと心がけました」と振り返る。「演じるうえで気を付けたことは?」という質問に対し、永山は「過去とか未来を頭で考えることをやめて、今、共演者やカメラの前に立ったときに思考せず本能的に感じられるか。今回は教師で子供と向き合う役だったのですが、とにかく余計なことを考えず、監督を信じてやりました」と回答。撮影期間は“触れ合うこと”を意識していたという安藤は「息子との距離感だったり、(田中裕子が演じた)校長先生もそうですし、そのちょっとした触れ合いで距離感が変わる作品なので、そこは繊細にやりました」と話した。
また坂本とのやりとりに関して是枝は「(坂本は映画を)観た直後、音楽室のシーンがすごく好きだと言ってくれて、『あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思った』という意見をもらいました」と明かす。そして「映画の中から聞こえてくるような曲になったんじゃないかなと、おこがましいけれど思いました」と真摯に言葉を紡いだ。
21作品が出品されているコンペティション部門の審査員長を務めるのは、昨年「逆転のトライアングル」でパルムドールを受賞したリューベン・オストルンド。授賞式は現地時間5月27日に行われる。
「怪物」は6月2日に全国で公開。
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映画『怪物』での坂本龍一の音楽づくり。自身のスコアよりも、劇内の音響やシーンを優先させる晩年の教授のスタイル。
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「音楽室のシーンがすごく好きだと言ってくれて、『あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思った』という意見をもらいました」
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