第78回カンヌ国際映画祭で脚本賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した本作は、若くして妊娠した女性を支援する施設でともに暮らす5人の少女を描いた群像劇。貧困や暴力などさまざまな問題を抱え、なるべき家族像を見出せないまま母になる少女たちが、押し寄せる孤独感にのみ込まれそうになる姿が映し出される。YouTubeで公開された本編映像には、少女たちが共同生活の中で支え合い、母としての生活力を養う様子を収録。原によるイラストには、母子支援施設を卒業する少女のためにパーティが開かれている場面が描かれた。
是枝は「素晴らしかった。しかし『脚本賞』は最も似つかわしく無い作品だとも感じた。全てのシーンで事前に『脚本』があったとは思えないほどに、一瞬一瞬を人が生きていた」と述べ、予告のナレーションを担当した有村は「この矛盾した世界にも温かい手は存在していて彼女たちの空が、ずっと青くあってほしいと願わずにはいられません」と伝えた。
また産科医療の現場を描いたマンガ「コウノドリ」で知られる鈴ノ木は「『あんたの人生は、あんたの母親の物語から始まったんだぜ!』この映画にそう言われたような気がしました」と、「八月の母」などで知られる小説家の早見は「愚直に愛を叫べばいい。どうせ明日は希望と繋がっているのだから。“彼女たち”の煩悶がそれを解き明かしてくれている」とコメント。尾崎は「『観る』じゃなくて『見る』ことしか許されないような作品だったし、『出会えて良かった作品』じゃなくて、『出会わなければいけない作品』だった」と、宇垣は「互いに支え合う若い母親たちの姿に、これからの人生に光在らんことを、と願わずにはいられなかった」とつづった。著名人11名のコメント全文は後掲している。
「そして彼女たちは」は3月27日より東京・Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。
映画「そして彼女たちは」本編映像
是枝裕和(映画監督)コメント
素晴らしかった。しかし「脚本賞」は最も似つかわしく無い作品だとも感じた。全てのシーンで事前に「脚本」があったとは思えないほどに、一瞬一瞬を人が生きていた。生々しく。壊れやすく。力強く。
有村架純(俳優)コメント
コンクリート状に固くなった胸の中が
ほろほろ落ちていく音がしました。
この矛盾した世界にも
温かい手は存在していて
彼女たちの空が、
ずっと青くあってほしいと
願わずにはいられません。
鈴ノ木ユウ(マンガ「コウノドリ」作者)コメント
この世のすべての人は母親のお腹の中から生まれ、そして人生が始まる。
「あんたの人生は、あんたの母親の物語から始まったんだぜ!」
この映画にそう言われたような気がしました。
上間陽子(琉球大学教授 / 特定妊婦施設おにわ代表)コメント
だれかの面影を宿した女の子たちでした。命の責任を抱えるには何もかも足りない。でもかろうじて残ったその選択を軸足に、自分の考える最善の方へと歩みをすすめる。スーパーマーケットで、駐車場で、街角で、たったひとりでベビーカーを押している、たくさんの女の子のことを思いながら見ました。
早見和真(小説家)コメント
愚直に愛を叫べばいい。
どうせ明日は希望と繋がっているのだから。
“彼女たち”の煩悶がそれを解き明かしてくれている。
蓮田健(産婦人科医)コメント
三歩進んで二歩下がるような歩みでも、そこには確かな希望がある。
負の連鎖から完全に抜け出すことは容易ではない。
それでも、少しずつ変えようとする力は確かに存在する──そのことを、静かに教えてくれる作品でした。
ブレイディみかこ(ライター)コメント
産むべきか、育てるべきか、手放すべきか。答えのない問いに揺れる少女たちを、淡々と支える大人たちのまなざしが深く心に残った。砂糖をまぶした映画ではないからこそ、一筋の確かな光がそこに射している。
尾崎世界観(クリープハイプ)コメント
「観る」じゃなくて「見る」ことしか許されないような作品だったし、「出会えて良かった作品」じゃなくて、「出会わなければいけない作品」だった。
西村ゆか(Webディレクター時々物書き)コメント
悲しみや痛みは比較されなくても、人は幸せの形に正解を求めてしまう。心に空いた穴を埋めるのではなく抱えたまま進む少女たち。その「一歩踏み出す勇気」が、見る者の胸に静かであたたかな希望という名の火をともす。
宇垣美里(フリーアナウンサー / 俳優)コメント
なぜ彼女たちばかりがこんな思いをしなければならないのか。
共に悩むべきもう1人の親の無責任さや再生産される環境が淡々と、しかし寄り添うような眼差しでリアルに描かれる。
互いに支え合う若い母親たちの姿に、これからの人生に光在らんことを、と願わずにはいられなかった。
勅使川原真衣(組織開発者 / 著作家)コメント
血縁は尊くも、壊れた「家族」の痛みは深い。そこへ母子支援施設という「他人」のケアが、少女たちが生きる土台になっていく。これを「愛」と呼ばずして何と呼ぼう。涙が止まらない。いま私たちに何ができるかを問いかける一作。
映画ナタリー @eiga_natalie
是枝裕和「一瞬一瞬を人が生きていた」
ダルデンヌ兄弟「そして彼女たちは」を有村架純、鈴ノ木ユウ、早見和真、尾崎世界観、宇垣美里ら11人が語る
原倫子による描き下ろしイラストも到着
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#そして彼女たちは https://t.co/EJcegDIFPm