100年先も残る映画を育てていきたい、ツァイ・ミンリャンと深田晃司が映画を語らう

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映画監督であるツァイ・ミンリャン深田晃司のトークショーが、本日10月29日に東京のmicro FOOD & IDEA MARKETで行われた。

左から深田晃司、ツァイ・ミンリャン。

左から深田晃司、ツァイ・ミンリャン。

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ツァイ・ミンリャン

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本イベントは、第35回東京国際映画祭と国際交流基金(JF)の共催プログラムの一環である「交流ラウンジ」として開催されたもの。是枝裕和を中心とする検討会議メンバーの企画のもと、世界各国から集う映画人と第一線で活躍する日本の映画人が東京で語り合う場だ。

深田の監督作「淵に立つ」を鑑賞したツァイ・ミンリャンは「人物像が非常にリアル。例えば朝ごはんの食卓風景での動作、会話などから家庭環境が見えてきました。浅野忠信さん演じる男が現れてから、一転して空気が変わる瞬間が非常にうまく作り上げられていた」と絶賛する。深田は「本当に必要なセリフを脚本に落とし込むことを僕は意識しているのですが、ツァイ・ミンリャンさんもそれを長年徹底されている。ツァイ・ミンリャンさんの作品は、物語を物語るために、映像もセリフも消費されていない感覚が素晴らしいなと思います」とコメントした。

深田晃司

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またツァイ・ミンリャンは「なじみの役者と一緒に映画を作ることが習慣的になっているのでは? 私もそうです。お互いによく知った仲ですから、言葉がなくても映画を作り上げることができたのではないでしょうか」と、深田との共通点を挙げた。深田は「いきなり長年寄り添った夫婦を演じてもらうケースもあるわけですから、俳優さんと話し合う時間があまり取れないのは嫌なので、普段からコミュニケーションを取るようにしています」と述懐する。

報道陣から「アジアのマーケットで韓国が台頭していることについてどう思われますか?」と質問が及ぶと、ツァイ・ミンリャンは「映画もドラマも勢いがありますよね。興行、流通のシステムがしっかりしているのだと思います」と述べ、深田も「韓国の映画業界から学ぶべきところはある。KOFIC(Korean Film Council)と呼ばれる映画振興委員会の存在が挙げられますが、日本では今、action4cinemaの活動としてKOFICのような助成システムの構築を目指しています」と語った。

さらに、2人から互いの興行成績についてのエピソードも飛び出す。深田は「(自身の作品の興行成績は)絶好調です……と言うと嘘になりますね(笑)。ただ、観てほしい人には届いていると思います」と話し、ツァイ・ミンリャンは「一緒です(笑)。私は爆発的にヒットするような映画を作る監督ではなく、賞味期限の長い映画を撮れる監督だと思っています。深田さんもそのような歩みをたどっていく監督だと感じています」と明かす。深田は「光栄です! 100年先も残る映画を育てていきたい」と喜びをあらわにした。

このトークショーの模様は後日、東京国際映画祭のYouTubeチャンネルにて公開される。

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