第35回東京国際映画祭にて「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」が開催。ラインナップ作「
1992年に発表されたツァイ・ミンリャンの長編デビュー作である「青春神話」は、台湾・台北の繁華街、西門町に集う若者たちの姿を描く物語。リー・カンション、チェン・チャオロン、レン・チャンピンらがキャストに名を連ねた。
ツァイ・ミンリャンは「(東京国際映画祭に)帰ってきました!」と笑みをこぼし、「30年という時間は本当に早かったです。10本以上の長編を撮ってこれたこと、うれしく思います」とコメント。そして「『青春神話』を撮ったときに、映画を撮るって難しいんだなって思いました(笑)。一生のうちに10本映画を撮れればいいなと思ったんです。それが今は10本を超えている。神様が私にくれたプレゼントだと思います」と語る。
続くリー・カンションが映画を観たばかりの観客に「私、変わりましたかね? よりかっこよくなりましたか?」と茶目っ気たっぷりに尋ねると、会場からは大きな拍手が。彼は「映画が終わったあとに、監督と話していたんです。『拍手が聞こえないよね』って。もしかしてコロナが私たちの距離を遠くしてしまったのかなと思います。だから今日は私たちの距離を縮めたいと思っています」と挨拶した。
ツァイ・ミンリャンは「青春時代というのは思い悩む時期。どこに行けばいいのか出口を絶えず探している時期だと思います」と述べ、「『青春神話』を作ってから30年経ちましたが、新しい観客に鑑賞していただける。この映画の賞味期限が切れていないとうれしく思います」と喜ぶ。また観客から「『青春神話』の原題は『青少年哪吒』ですが、哪吒は30歳、40歳になったときどのようになっていると思いますか?」という質問が飛ぶと、ツァイ・ミンリャンは「皆さんご存知でしょうか? 哪吒は子供の神様なんです。反逆の精神を持っていて、絶えず現実に反抗している。哪吒が何歳になろうが、この精神が宿っていると思います」と回答した。
イベント終盤には本日誕生日を迎えたツァイ・ミンリャンに映画祭から花束が贈られる場面も。ツァイ・ミンリャンは「誕生日を迎えるのは恐怖なんです」と笑い、「楽しい気分で映画を観ていただきたい」「この世界がいい世界になるよう、心から祈りたいと思います」と願いを込める。そして、リー・カンションは「『黒の牛』という日本の映画に出ています。蔦哲一朗という才能あふれる監督の作品です。おそらく来年、再来年には観ていただけると思います」と紹介し、イベントの幕を引いた。
(毳毳)菩薩 @COCHINMOON1
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