「死刑にいたる病」白石和彌が学生にメッセージ「自分の衝動と向き合って」

5

248

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 42 188
  • 18 シェア

死刑にいたる病」のティーチインイベントが4月23日に東京・早稲田大学で行われ、監督の白石和彌が参加した。

「死刑にいたる病」ティーチインイベントの様子。

「死刑にいたる病」ティーチインイベントの様子。

大きなサイズで見る(全6件)

「死刑にいたる病」ティーチインイベントの様子。

「死刑にいたる病」ティーチインイベントの様子。[拡大]

櫛木理宇の同名小説を映画化した本作は、24人もの若者を殺した連続殺人鬼・榛村から届いた冤罪証明の依頼をきっかけに、大学生の雅也が事件を独自に調べていくサイコサスペンス。阿部サダヲが榛村、岡田健史が雅也を演じた。

本イベントは映像制作者たちが制作にまつわるさまざまな事柄を語る早稲田大学の講義「マスターズ・オブ・シネマ」として行われ、講師の谷昌親も同席。「『凶悪』と構図が似ている」と谷が言及すると、白石は「連続殺人鬼の榛村というキャラクターが素晴らしかったので、僕自身が見てみたいと思って映画化を決めた」と経緯を語り、「『凶悪』の面会室のシーンは主に切り返しのカットでしたが、今作では違うアプローチができた。『凶悪』を意識したからこそできた映画だと思う」と自信をのぞかせる。

阿部サダヲ演じる榛村の目について語る白石和彌。

阿部サダヲ演じる榛村の目について語る白石和彌。[拡大]

また谷から「普段のイメージとは違う役をキャスティングしていて俳優の使い方がうまい」と称賛の言葉が送られると、白石は「違うことをやってもらうのが僕にとっても重要。仕事の話が来たときに俳優さんも『なんで私に?』と感じて、『この監督は自分の違う面も見てくれているんだ』と思うと、今までとは違うアプローチを意識してくださる。なので、演出の大部分はオファーの時点でクリアしているのではと思う」と述懐。主演の阿部について白石は「『彼女はその名を知らない鳥たち』で阿部さん演じる陣治が満員電車で男性を突き飛ばすシーンがあるのですが、そのときに“5分前に人を殺してきた目で見てほしい”とリクエストしたんです。ゾクゾクして、印象に残る目をしていた」と表現力を絶賛した。

白石和彌

白石和彌[拡大]

イベントでは学生とのQ&Aも行われた。映画全体を通して、暴力や性的なシーンを入れるうえでの表現の目的について問われた白石は「あくまで物語を語っていく中で必要だと吟味しながらやっている。暴力なしで描ける物語もあるかもしれないが、あえて選んでいるというのはあります。個人的にテレビと色分けをしたいという意識が強いのと、背伸びして観られる映画が僕自身好きだったので、若い頃に“観ちゃいけないものを観ている”と感じた、そういう映画をイメージしながら作っている」と語った。

続けて白石は「今の世の中、社会全体が抱えているものを見せなかったりするので、そこに疑問を感じている。ただ、テレビのように無料で誰でも見られるものは規制が必要だと思う。お金を払って観る映画はクローズドで、表現はいろんな幅があるべきだし、多様性が必要。今の日本の映画界は、メジャー作品含めそういうものが作れなくなってきている」と述べ、「『凶悪』は隙間産業で少しでも目立つ監督になれるかなと思って取り組んだ。監督をやりながら観客の皆さんにどう楽しんでもらえるか考えながら作っています。映画業界は考えなきゃいけない問題がたくさんあって。それによって表現を委縮するのは間違っているけれど、表現するうえで配慮しなければならないことはたくさんあると思う」と見解を示した。

最後に白石は「若い頃はいろんな可能性を持っている。ただ、だんだん年齢を重ねていくと、これをやりたいという衝動が薄れていくので、先々を計算しすぎずに自分の衝動と向き合って過ごしてもらいたいです。『死刑にいたる病』も榛村というキャラクターの物語を見てみたいという衝動で作ったので、ぜひご覧いただけたらうれしいです」とアピールした。

「死刑にいたる病」は、5月6日より全国でロードショー。

この記事の画像・動画(全6件)

(c)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会

読者の反応

  • 5

タヌえもん @3t4uAbmx

「死刑にいたる病」のティーチインイベントが4月23日に東京・早稲田大学で行われ、監督の白石和彌が参加した。 / https://t.co/xPhSy0jGjs / 「死刑にいたる病」白石和彌が学生にメッセージ「自分の衝動と向き合って」 - ナタリー https://t.co/jwdrX4Hwrr

コメントを読む(5件)

関連記事

リンク

関連商品

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 死刑にいたる病 / 白石和彌 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。