モーリー・スリヤとヤン ヨンヒが“女性監督”と“留学経験”の共通点で意気投合

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トークシリーズ「『アジア交流ラウンジ』モーリー・スリヤ×ヤン・ヨンヒ」が本日11月5日に東京都内で行われた。

トークシリーズ「アジア交流ラウンジ」の様子。左からモーリー・スリヤ、ヤン ヨンヒ。

トークシリーズ「アジア交流ラウンジ」の様子。左からモーリー・スリヤ、ヤン ヨンヒ。

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第33回東京国際映画祭では新企画として、アジア各国・地域を代表する映画監督と日本の第一線で活躍する映画人が語り合うオンライントークを連日開催。4回目となる本日はモーリー・スリヤがインドネシア・ジャカルタよりリモートで参加し、会場のヤン ヨンヒとトークを繰り広げた。

モーリー・スリヤ

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2008年に「フィクション。」でデビューし、2013年の東京国際映画祭出品作「愛を語るときに、語らないこと」で注目を集めたスリヤ。3作目「マルリナの明日」は東京フィルメックスに出品され、2019年に全国で劇場公開された。彼女の作品をすべて鑑賞したうえでヤンは「まさに“映画祭が育てる監督”だなと思いました。作品ごとに世界へ羽ばたいていく監督の成長がくっきり見えて、そのプロセスが痛快でした」と敬服する。「マルリナの明日」は強盗団に襲われながらも、首領の首をはねて窮地から脱出する勇ましい女性マルリナを主人公とした作品だ。ヤンは「つらい思いをした女性が悩む映画は多くありますが、マルリナは『絶対に許さない』という気持ちで果敢に立ち向かう。残酷なのに笑えちゃったりするバランスも素晴らしく、あっぱれという印象でした!」とスリヤの手腕をたたえた。

ヤン ヨンヒ

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在日コリアン2世であるヤンは、実体験をもとにした劇映画「かぞくのくに」やドキュメンタリー「ディア・ピョンヤン」といった映像作品を手がけたほか、小説の執筆活動も行っている。スリヤは「かぞくのくに」を「エモーショナルな映画」と評し、「私は北朝鮮や在日朝鮮人のことをよく知らなかったので、映画によって学べました。感情がリアルで、物語の最初から引き込まれ、でも共感する部分もあって。こんな家族いるよねという気もしました」とヤンが描く普遍性に言及。この日が初対面ながら互いに賛辞を贈り、スリヤは「映画を作り続けるモチベーションになります」、ヤンは「元気が出ます」と画面越しにほほえみ合った。

左からモデレーターの石坂健治、モーリー・スリヤ、ヤン ヨンヒ。

左からモデレーターの石坂健治、モーリー・スリヤ、ヤン ヨンヒ。[拡大]

ヤンの「あまり“女性監督”であることは意識してない」という言葉に、スリヤは「私も1作目を撮るまでは意識していませんでしたが、取材で『女性監督』として質問されたことで初めて気付きました」と大きくうなずく。「インドネシアも女性監督やプロデューサーが多くいます。でも予算の大きな仕事はたいてい男性に行ってしまう現状もあります。一方で『マルリナ』の原案は男性が書いたのですが、女性の視点を入れたいからと私にそのアイデアをくれたんです。そのときは自分が女性でよかったと思いました」と話し、「インドネシアも家父長制が強い国で、女性が意見しないように育てられるので、私も最初は自信のない部分がありました。女性と男性は違う感性を持っているので、もっと女性監督も増えてほしいですし、女性の視点を社会が受け入れていかなければいけないと思います」と主張した。

ヤンも「日本でも女性監督が多く活躍していますが、それで満足しているわけではありません。今は過渡期だと思いますし、女性たちにももっと出てきてほしいと思います」と賛同する。また「私の場合は自分のバックグラウンドを題材にしているので、そちらのほうでしんどいことが多いです。例えば“帰国事業”に関する映画を作るとしたら、いちから説明を入れなければならない。広く知られるためには、映画であれドラマであれ書籍であれ、もっとたくさん作らなければならない。そうすることで後輩たちも、このような映画を作っていきやすくなると思うんです」と後進への思いも述べた。

ヤンは米ニューヨーク、スリヤはオーストラリアと、それぞれ留学経験があるという共通点も。スリヤが「幼い頃はインドネシアが独裁政治下にあったので、音楽では国歌しか歌えず、美術では同じものしか描けなくて、自由な思考を抑圧されていました。留学したら視点が変わり、自分が再形成されました。でも帰国後は友達と話が合わなくなったりつらいこともあって。もうここは自分の故郷ではないのかなと感じてしまうこともありました」と吐露。ヤンは「私も朝鮮学校で教育を受け、高校の途中から反抗的な生徒になりました。ずっと悶々としていて、30代後半で留学したら『私のままでいいんだ』と背中を押された気がしました」と共感する。2人は留学を通しての経験や葛藤ですっかり意気投合。スリヤは「今日はお互いの魂に触れられた感じがしました。いつか直接お会いできれば楽しい時間になると思います」と対面を熱望し、ヤンも「絶対、何があっても、必ず会いましょう!」と言葉に力を込めた。

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