本日11月6日に東京・明治大学のリバティタワーで「現代の日本メディアが抱える問題点」をテーマにパネルディスカッションが行われ、
自身が監督を務めた「
まず森は映画鑑賞後の観客を前に「今日観ていただいたこのバージョン、実は(劇場版と)編集が変わってます。だからもう1回映画館に観に来てください」とアピールし、場を和ませる。また同大学で特任教授を務めている森は、会場を見渡し自身のゼミ生が来ているかをチェック。ゼミ生の姿が見えなかったようで「若い人間がこういうことに関心を持たないといけない」と嘆いた。
望月は「自分が映画に出ることによって『あの時代はひどかったな』と映像で振り返ることができると思ったんです」と出演理由を明かす。そして「宮本から君へ」の助成金取り消し問題などに触れながら「でも、撮影していた当時より規制が強まっています。この映画を日本の民主主義が機能しているのか、改めて考えるきっかけにしていただけたら」と呼びかけた。続いて本作を観た感想について「食べてるシーン、道に迷っているシーンを撮られていると思ってなかったので、正直ものすごく恥ずかしかったです」と苦笑しつつ話す。「でも自分がスクープを狙っていたとき、幹部が本音をポロッと漏らして『オフレコね』と言われても、次の日に1面ドーンとかやってましたから」と述懐。「こんな女性記者に2年間付きまとわれている菅(義偉)官房長官も大変だなと感想を持つ方もいるかもしれませんが(笑)、あれだけ密着してもらったからには、望月をどう切り取るかは森監督が決めていくものだと思ってます」と森への信頼をのぞかせた。加えて自身が映画の題材になった理由を「切り取りやすかったのかなと思います」と分析。「森さんは『みんなが望月さんだと困りますよね』って東京新聞の人間にインタビューしてました」と撮影中の裏話を披露し爆笑を起こした。
学生から「妨害を受ける中で、官邸に質問を続けるモチベーションはどこにあるのか?」と尋ねられた望月は「1人で2年間、妨害を受け続けることはできなかったと思います」と気持ちを吐露。「視聴者や読者の方からいただく応援のメッセージがとても力になりました」と思いを口にする。「もちろん批判もありましたが『望月だけは守ってくれ。東京新聞も取りますから』という声もありました。皆さんのメッセージによって取材を続けなければいけないと再認識できている。『よくそんなエネルギーが?』と言われることもありますが」としみじみ語った。
イベント中盤には真実を知ることが難しい時代であることに話が及ぶ。森は「メディアは切り取るものです。情報はすべて主観的なもの。客観的な情報なんて存在しません」と断言。「現実は多面的です。この意識を持つことが大切。僕は僕の映画が真実だなんて口が裂けても言わないです。いろんな真実があるんです」と力強くコメントする。さらに集団の中で個を大切にすることについて問われた森は「僕も望月さんも意識的に個であろうとしてないんです。個になっちゃうの。空気読まないよね?」と問いかけ、それを受けた望月も苦笑しながら同意。「オウム(真理教)の映画のときも、『撮っていいですか』とオウムに聞いたら『撮っていいです』って返ってきたから映画にしたんです。でもあの時代はオウムと関わったらバッシングされるという懸念がみんなあったんですよ。それに僕は全然気付けないんです」と打ち明けた。
「新聞記者」のプロデューサーである河村光庸が企画と製作を担当した「i-新聞記者ドキュメント-」は11月15日より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開。
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