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「i-新聞記者ドキュメント-」TIFFで上映、森達也「死ぬまで縁がないと思っていた」

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左から森達也、河村光庸。

左から森達也、河村光庸。

第32回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門出品作「i-新聞記者ドキュメント-」。同作のワールドプレミア上映が本日11月1日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督の森達也とプロデューサーの河村光庸が出席した。

「i-新聞記者ドキュメント-」は、東京新聞社会部の記者・望月衣塑子の活動を追うドキュメンタリー。報道の問題点、ジャーナリズムの地盤沈下、社会が抱える同調圧力や忖度の正体に迫る。

森はまず「こっちは正義でこっちは悪とか、右翼左翼とか、分けるのが好きじゃないんです。映画は勧善懲悪ものが多いけど、現実では簡単に分けられるものじゃない。互いに攻撃し合っているのは居心地が悪いです」と日本の現状に触れる。河村は「誰かにムカッとしてる映画ではないです。官邸やマスコミだけが悪いと言いたいわけでもなくて、自分たちにも問題はあるんじゃないかってこと」と作品の趣旨を伝え、「同調圧力や忖度のような、実態のないもので世の中が動いているのが怖い。それが蔓延すると世の中はどうなっていくんでしょうか」と問いかけた。

タイトルの「i」について聞かれた森は「意味わかりましたか? ラブです……まあそれは冗談ですけど」と言い、会場を和ませる。「最初は『衣塑子が来た』のようなタイトルも考えたんですけど、なんだか気恥ずかしいし、これまでの作品と同じようにアルファベットにしようと。衣塑子の『i』というところから始まり、アイアムやアイデンティティの『i』になっていった気がします」と振り返った。また映画でアニメーションを使った意図を問われると、森は「ドキュメンタリーだけを撮ってるわけではなくて、いつでもドラマも撮りたいと思っています。音楽やナレーションのない、ダイレクトシネマをやってきたので今回は違うものにしようかなって。アニメーションは周りから反対されましたけど、入れたかったので入れました」と説明する。

また河村は「i-新聞記者ドキュメント-」を若者に観てもらいたいと語る。「『ボヘミアン・ラプソディ』は中年の音楽ファンが支持し、それが若者にもつながっていった。この映画も最初は中高年の方が観ると思いますけど、森さんは若い人にも人気があるからつながっていけばいいなと。本来は独立系の映画館で上映する作品ですが、新宿ピカデリーや丸の内ピカデリーでもやります」とアピールした。

そして森が「東京国際映画祭とは死ぬまで縁がないと思っていました。最初に河村さんから上映について聞かされたときは『何戯言を言っているんだ』と。無理だと思っていたので、この映画を上映してくれたことに感謝します」と映画祭に感謝を示し、イベントを終えた。

「i-新聞記者ドキュメント-」は11月15日より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開。

(c)2019『i –新聞記者ドキュメント-』

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