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「ワンダーストラック」トッド・ヘインズ、20年ぶりの来日に「恋しかった!」

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「ワンダーストラック」舞台挨拶の様子。左から鈴木福、トッド・ヘインズ、鈴木梨央。

「ワンダーストラック」舞台挨拶の様子。左から鈴木福、トッド・ヘインズ、鈴木梨央。

ワンダーストラック」の試写会が本日3月20日に東京・神楽座で行われ、監督のトッド・ヘインズが舞台挨拶に登壇した。

見失ってしまった大切なものを探すため、ニューヨークへと旅に出る2人の子供を主人公にした本作。1977年のミネソタに住む母親を亡くした少年ベンを音声ありのカラー映像、1927年のニュージャージーに住む聴覚障害を持つ少女ローズをサイレントの白黒映像で交互に捉えていく。脚本を原作「Wonderstruck」の作者であるブライアン・セルズニックが手がけ、ベンをオークス・フェグリー、ローズをミリセント・シモンズが演じた。

1998年に公開された「ベルベット・ゴールドマイン」のプロモーション以来20年ぶりの来日となったヘインズ。「この美しい街、東京に戻ってくることができて本当にうれしいです。とても恋しかったです!」と笑顔を見せ「ブライアンの脚本は、想像力を刺激し子供の可能性を追求するものが多いんです。私が今まで撮った作品ではそこにフォーカスしたものはありませんでした。今回はその点と、なぜ2つの物語が同時に描かれているのかに着目してみてください」と語る。

実際に聴覚障害を持つシモンズをローズ役に起用した経緯について、ヘインズは「作品にリアリティと彩りを与えるためです。全米でオーディションを行いましたが、アマチュアの人をキャスティングすることに責任を感じていました。ですがミリセントはカメラの前で自然に演技ができましたし、私たちの望んでいたことをすべてやってみせてくれたんです」と述懐。また、本作でシモンズ以外にも聴覚障害者が多くキャスティングされていることに触れ「サイレントが主流だった時代には、多くの聴覚障害者が映画に出演していたようです。彼らは非常に豊かな身体表現ができるんです。そういった部分を生かしていきたかったし、聴覚障害を持つ人たちとこの映画のつながりを強いものにしたいという希望もありました」と話した。また、劇中でデヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」を使用している理由を問われると「ボウイの曲が大好きなんです。『ベルベット・ゴールドマイン』の時は権利の都合で使えませんでしたが、今回はボウイの財団から許可をもらい、使うことができました」と明かし、「夢を叶えるのには時間がかかるものですね」と苦笑する。

イベントには、ベンとローズと同年代の鈴木福鈴木梨央も登壇。ヘインズに花束とオオカミのぬいぐるみをプレゼントする。英語で挨拶を始めた鈴木福は途中で「なんだっけ……」と詰まってしまったが、すぐに思い出し「俳優を続けていくために大事なことはなんですか?」と質問。ヘインズは「君はもういっぱい演技をしてきているのだから、答えは知っていると思うよ」「情熱を持っていろんな作品にチャレンジして、自分のやりたいことを一生懸命やることが重要なんじゃないかな」とアドバイスした。また、鈴木梨央は手話を交えながら英語で「こんにちは、鈴木梨央13歳です。この映画から学んだことは、幸せになるために重要なのは勇気だということです」と挨拶。驚いたヘインズは思わず「ブッ飛んだよ!」と漏らす。

ヘインズは、鈴木福と鈴木梨央に「スペイス・オディティ」のレコードをプレゼント。2人がレコードに触れるのは初めてと言うと、MCが「今日はレコードプレーヤーは持ってきてないんですか?」と振り、ヘインズはポケットを探るふりをしながら「ポケットに入って……いや入ってないです」とジョークを飛ばし会場を沸かせる。そして「来てくれて本当にうれしかったです。日本でのリメイク版をこの2人で撮りたいくらい!」と喜びをあらわに。最後にヘインズは「この映画は私が信頼を置くクリエイティブな人々とともに、心を込めて撮りました。子供たちのイマジネーションを広げるものであると同時に、ニューヨークと映画に対するラブレターでもあります。ほかの映画と比べて、音声よりも映像での表現に重点を置いた作品であるという点も含めて楽しんでください」と呼びかけ、イベントを締めくくった。

「ワンダーストラック」は4月6日より、東京・角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開される。

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