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第18回東京フィルメックス最優秀作品賞はインドネシアの女性監督2人が同時受賞

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第18回東京フィルメックス授賞式の登壇者たち。

第18回東京フィルメックス授賞式の登壇者たち。

第18回東京フィルメックスの授賞式が本日11月25日、東京・有楽町朝日ホールにて行われた。

本年の最優秀作品賞にはインドネシアのモーリー・スリヤ監督作「殺人者マルリナ」、同じくインドネシアのカミラ・アンディニ監督作「見えるもの、見えざるもの」の2作品が選ばれた。「殺人者マルリナ」はインドネシアの僻村を舞台に、強盗団を殺害したマルリナが自らの正当性を証明するため、はるか離れた町の警察署へ向かう旅路を描いた物語。スリヤは「フィルメックスのコンペティションにインドネシア映画が初めて出品された中で、インドネシア映画2本が受賞できたのはまさに誇りに思うべきことだと思います」と喜びを述べる。

もう1本の「見えるもの、見えざるもの」は、脳障害により病院のベッドに寝たきりの双子と、彼らを看病する10歳の少女を軸とした幻想譚。アンディニは「インドネシアの映画監督として誇りに思います。モーリーも私も映画を作る手法はまったく違いました。ですからインドネシア映画の多様性をこの場でお見せすることができたのでは」とスピーチした。また審査委員長を務めた原一男は「議論を尽くし、この2本を同列で最優秀作品賞にしました」と語ったうえで、スリヤには「闘うヒロイン像を作り出した、イキのいい痛快な傑作の誕生です」、アンディニには「新しくて懐かしさに満ちた傑作です」と国際審査員を代表して選定理由を読み上げた。

観客賞は原の新作ドキュメンタリー「ニッポン国VS泉南石綿村」が受賞。同作には、大阪・泉南地域の石綿(アスベスト)工場の元労働者とその親族が損害賠償を求め国を訴えた8年にわたる闘いが記録されている。原は同作が山形国際ドキュメンタリー映画祭2017の市民賞を獲得していることに触れ、「上映が終わって『面白かったです』と言ってくれる人がたくさんいてうれしかった。あ、面白いのか!とやっと自分で思えたんです。ここで観客賞が2度目。だから自信持っていいんだなあと、心底うれしく思います」と吐露。また同作と並行して水俣病に関する撮影を進めていたことを明かし、「撮影を始めて12年経ったけどいまだに作品にならない。水俣病の問題は60年以上経っても解決しないし、それどころか混迷を深めている」と語る。そして「次の課題が大きいものなので、がんばろうと素直に思います。なんとかして1年後に完成させる!と自分に言い聞かせて……。1年後にまたここで水俣(に関する作品)を上映できるように。うれしいです」と喜びをかみ締めた。さらに学生審査員賞には五十嵐耕平ダミアン・マニヴェルの監督作「泳ぎすぎた夜」が選出された。

最後に総評として、原は「作家を育てるのが映画祭。でもあえて言うと、映画祭と言うより観客が作家を育てます。観客の映画を読み解く能力が低いと作家は育ちません」と主張。「『自分はどう生きるかということを探りながら映画と向き合う』。72歳の私は、私より若い人たちにそんな“アジテーション”をプレゼントしたいと思います」と観客に呼びかけ、締めの挨拶に代えた。

第18回東京フィルメックスは東京・有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇にて明日11月26日まで開催。

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